機能面で強化された点の1つが、音楽関係だ。「着うたフル」への対応はもちろんだが、「ノンセキュアAAC」に対応したことが大きい。「ボーダフォンからの要望で、ノンセキュアAACに対応した」と馬場氏。
一般にAACは著作権保護対応がなされており、SD-Audioと呼ばれる方式が使われる。専用の転送用PCソフトとセキュア対応のSDカードリーダーライターが必要だ。一方ノンセキュアAACは、iTunesでCDからリッピングしたファイルなどが該当する。つまりノンセキュアAACに対応していれば、iTunesからファイルを普通にminiSDカードにコピーするだけで、その音楽が再生できることになる(8月26日の記事参照)。ただしノンセキュアMP3には対応していないので、MP3形式でリッピングしているユーザーは再エンコードが必要になる。
また別売りの光デジタル変換ケーブルを使えば、オーディオ機器と903SHを接続して音楽をminiSD内に録音できる。この場合データ形式はセキュアAACとなる。
最後に、ユーザーインタフェース(UI)面の変更点を見てみよう。「他メーカーに移っても共通UI──ということで、(前機種では)UIを共通にしたが、ユーザーから多くのコメントをいただいた」(馬場氏)。このUIの変更が、ボーダフォンの3G端末の中でも大きなトピックだろう。
馬場氏がいくつか挙げたのは下記の点だ。
また、メールのUIはユーザーから多くの要望をもらった点でもあるという。「これまでは本文を打ってから、宛先などを設定していくスライド形式。これはこれで利点もあったが、903SHではPDCライクな、1画面の中ですべて入力できる形にした」(馬場氏)
UIに関しては、これまでのPDCが最高に優れていたわけではない。いわゆる“過去の遺産”を引きずっていてチグハグな部分があったのも確かだ。902SHでは、あまりにジャパニーズスタンダードと離れてしまったことで、使いにくさが目立ったが、903SHでは全く新しいUIに生まれ変わった。UIが再構成されたことで、903SHと、兄弟機種である703SHは、ボーダフォンの3G端末のベース機といってもいい端末に仕上がっている。FeliCaやテレビなどの点から見ると、他キャリア向け端末から1サイクル遅れているともいえるが、ベースの端末としては非常にいい出来だ。購入して後悔しない1台といえるだろう。
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