「W31S」 付属バージョンのSonicStageはやや非力携帯はオーディオプレーヤー替わりになれるか? Vol.3

» 2005年12月20日 19時43分 公開
[北島武仁,ITmedia]

 前回に引き続き、今回はau「W31S」をポータブルオーディオプレーヤー的に利用する方法を見ていこう。前回までの「P901iS」以上にポータブルオーディオプレーヤー機能を強くアピールしている機種なので、個人的には非常に期待している。さていかに。

au「W31S」。スライド式ボディにより、液晶を開け閉めしなくてもプレーヤー機能が操作できるスタイルを採用する

 W31Sのポータブルオーディオプレーヤー機能は、ATRAC3、メモリースティックDuo(PRO DUO)、SonicStageという、ソニー製品のごくスタンダードな組み合わせ。基本的な使い方は、SonicStageでCDリッピングとライブラリ化、メモリースティックへのデータ転送する。USBケーブルでつないで、W31S本体をカードリーダー/ライターとして利用可能だ。このあたりのごく基本的な作法は、ほかのポータブルプレーヤーと変わりはない。

 唯一気をつけるべきは、ATRAC3再生のミュージックプレーヤーに使えるのはMagic Gate対応のメモリースティックDuo(128Mバイトまで)だということ。端末自体はメモリースティックPRO DUOにも対応しており、1Gバイトまで動作保証されているが、PRO DUOでは音楽再生は行えない。※対応メモリ表

 W31Sのパッケージに同梱されているSonicStageのバージョンは「3.0」なのだが、曲ごとの評価機能やiTunesでいうところの「スマートプレイリスト」のような、ジャンルや評価、再生回数履歴などをキーとしたプレイリストの自動作成機能がない。CD数枚程度をファイル化して管理するなら事足りるかもしれないが、何百曲、何千曲となると、好きな曲を抽出するのは非常に骨の折れる作業になる。

 ちょっとがっかりしつつSonicStageのサポートページを確認してみると、11月1日に新しいバージョン「3.3」が公開されていた(ソニーのサイト)。このバージョンアップでの変更点の筆頭に、ジャンル/アーティスト/登録日/評価/再生回数/転送回数/曲数/時間/サイズをキーとした動的プレイリスト自動生成機能「ダイナミックプレイリスト」の搭載がうたわれている。これは何よりの朗報だ。

11月1日に登場した新バージョン「SonicStage Ver.3.3」。リスト中央部の星印は新機能の「☆評価」。新バージョン最大の強化点であろう「ダイナミックプレイリスト」の作成中の画面。膨大な数の曲の中から、好みの曲だけを抽出するのに非常に有効な機能だ

 ダイナミックプレイリストは、「iTunes」や「Windows Media Player 10」の同様の機能と大差ない。キーとなる項目と条件をそれぞれ指定すれば、自動的に条件に見合った曲を拾い出してくれる。W31Sに転送するときは、転送画面の転送元となるプレイリストとして、該当するダイナミックプレイリストを選択してやればよい。すると、ダイナミックプレイリストが自動抽出した曲が一覧表示されるので、転送する曲(抽出した全曲を転送するなら、[Ctrl]+[A]で全選択してしまえばOK)を指定して、画面中央の「→」をクリックすれば転送が開始される。自動同期機能はないが、この程度の手間なら、さほど日常使用に不満はないだろう。

メモリースティックへの転送画面。転送元リストとしてダイナミックプレイリストが選べるので、自動抽出した曲を手早く転送できる

 このダイナミックプレイリストだが、曲抽出の条件は、

  • ジャンル(全ジャンル/単一ジャンル/複数ジャンル)
  • 絞り込み条件(未設定/登録日/☆評価/再生回数/転送回数/リリース日/演奏時間/アルバム名/タイトル)
  • 抽出量の制限(曲数/時間/容量)

 の3項目からそれぞれ1つずつ選んでキーを設定する。必要十分ではあるが、例えば「評価4以上、再生回数20回以上、リリース日は2000年以降」というように複数の絞り込み条件を設定することはできないので、若干不満が残るかもしれない。何Gバイトもの容量を保存できるデバイスの場合にはそれほど気にならないかもしれないが、メディア容量がさほど大きくない携帯電話の場合には、きめ細かな条件設定による抽出があると便利だからだ。この点は今後の強化に期待したい。

転送モードの設定画面。W31Sの場合、再生できる音楽ファイルはATRAC3のみなので、SonicStageで転送するときは、自動的にATRAC3に変換して転送する「通常転送」を選んでおけば間違いはない

 また、音楽ファイルのSonicStageへのインポートは、ATRAC/WMA/MP3/WAVファイルとm3u形式のプレイリストに対応する。AACには対応しないため、iTunesからの移行はかなり面倒だ。SonicStageでは、ATRAC3以外の形式のファイルも一様に管理することが可能だが、W31S自体はATRAC3の再生のみをサポートしているので、「転送モードの設定」で「通常転送」を選択しておけば、WMAだろうとMP3だろうと転送時には自動的にATRAC3に変換して転送を行ってくれる。

 いずれにしても、ダイナミックプレイリストの追加は、W31Sにとっては非常に大きなプラスだ。絶対にSonicStageのバージョンアップはするべきだ。チェックをお忘れなく。

液晶下の操作ボタン(左)。付属のリモコン。十字キー+ボタンという構成の分かりやすいもの(中)。端末のメニュー画面。オーディオプレーヤー機能は、「M.S.ミュージックプレーヤー」を選択して利用(右)

 W31Sのハードウェア的なところでは、スライド式ボディの採用により、本体を開けることなく、大画面の液晶を使った情報表示が可能になっている。プレーヤーの基本操作は、液晶下部の十字キー+キー類ですべて行なえる。また、付属のリモコンには、再生/停止/メニュー上下操作/曲送り/戻しの各ボタンが備わっており、ハード面の使い勝手は優秀で、単体のプレーヤーと比較しても全く遜色ないだろう。

 次回はボーダフォンの音楽特化型3G端末「803T」を見ていく。

再生画面。曲リスト表示(中央)やプレイリスト一覧表示も可能

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