米Motorolaの「RAZR V3」が火をつけた「スリムスタイル」携帯。折り畳むと薄くフラットなRAZRは世界でヒットとなったが、このRAZRの牙城を崩そうと、あるいは薄型のトレンドに乗り遅れまいと、多くのメーカーが「CeBIT 2006」会場で薄型端末を展示していた。
韓SamsungはW-CDMA対応の「SGH-Z510/Z540」やHSPDA対応の「SGH-Z560」など、折り畳み型薄型ケータイのラインアップを拡充している。会場ではビジネス向けのスリム携帯「SGH-D800」も展示していた。これはいまや同社の標準となったスライドスタイルを13ミリまで薄くしたもので、ターゲットはビジネスユーザー。ディスプレイは2.1インチ、26万色、QVGAのTFT液晶。内蔵メモリは80Mバイト、外部メモリはmicroSDとなっている。音楽やビデオの各種メディアファイルの再生のほか、Picsel Viwerを内蔵しておりWord、Excelといったファイルを閲覧可能。ディスプレイの内容はテレビ出力端子により、大画面に表示できる。
同社の薄型スリム携帯の特徴は、プラスチックの質感を出しながらもブラックボディーと上品な表面処理を行うことで、MotorolaのRAZRとは違った雰囲気を出していることだ。このSGH-D800も上品な質感で、ビジネスユーザー向けといった印象を受ける。
シャープブースには海外向けのW-CDMA新機種として、先月発表されたストレート端末「SH550」(2月15日の記事参照)と、CeBIT会場で初登場となる折り畳み端末「SH770」が展示されていた。SH770はメタリックな外装にフラットなデザインをしており、厚みは17.1ミリ。金属素材を採用したキーパッドの雰囲気などからも、海外流行の薄型スタイルを取り入れたものと分かる。英Vodafoneグループ向けに数カ月以内に発売予定だが、日本での発売は残念ながら「現時点では未定」(説明員)とのことだった。
auにも端末を提供している韓Pantech&Curitel は、ユニークな薄型スリムGSM携帯を2機種展示していた。
「G-3700」は14.9ミリの折り畳み式端末。ディスプレイ部分はわずか数ミリの薄さだ。面白いのは端末下部にある有機ELディスプレイ。折り畳んだ状態でも表示画面を見ることができる。背面ディスプレイ代わりとなるもので、ここからカレンダーや着信状況を表示することが可能だ。
またiPodライクな円形のタッチホイールを備えた「G-3600V」は、形状からわかるように音楽ケータイだ。厚さは17.9ミリ。WMA、MP3、AACなどの音楽ファイル再生に対応、デジタルイコライザー機能も備えている。年内にヨーロッパ市場で発売予定。
発売モデルのすべてを薄型スリムにしてしまうという、思い切った行動に出たメーカーがある。韓国のVK Mobileだ。同社は韓国内ではシェア下位に甘んじているものの、SamsungやLGに負けじと高機能端末やファッション端末などを発売している。その勢いのまま海外GSM市場へ進出を図ったが、他社との差別化に苦しみ売り上げは伸びていない。その同社が生き残りの道を賭けて選んだのは「海外市場向け端末をすべて薄型スリム形状にする」というものだった。
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