2.4インチVGA液晶を搭載し、ボーダフォンの新3Gサービスにフル対応したことから大きな注目を集めたシャープ製のボーダフォン端末「904SH」(3月1日の記事参照)。
この端末の進化点は、“それだけではない”と話すのが、シャープ通信システム事業本部 商品企画部主事の石井裕樹氏だ。日本のユーザーのニーズを汲んだ改良に取り組んだという904SHの進化点について見ていこう。
光学2倍ズーム機能およびオートフォーカス機能に対応した320万画素カメラは、スペックだけ見ると「903SH」(2005年7月の記事参照)と同等だが、その機能には手が入っている。1つは静止画にも対応した手ブレ補正機能。2枚の静止画を比較して補正をかけるソフト処理を採用したという。
撮影した写真の保存にかかる時間も短くなったと石井氏。VGAディスプレイを装備するにあたって、「システム側のクロック数が倍くらいになっている」ことと、保存の際にバックグラウンドで処理するようにしたことで実現したと話す。
撮った写真を閲覧する一覧表示は、2行の撮影情報と小さなアイコン画像が表示されるライン表示に加え、画像がタイル状に並ぶサムネイル表示に対応した。1画面に16枚表示できる通常のサムネイルのほか、VGAサイズを活かしたプレビュー表示も用意するなど、VGA液晶をフル活用している。「ボーダフォン向け3G端末では、タイル状のサムネイル表示への対応が遅れていたが、904SHではタイル状表示のサムネイル表示だけでなく、写真の詳細までくっきり見えるプレビュー表示もある」(石井氏)
動画再生機能もディスプレイのVGA化に合わせて、VGAサイズ・30fpsの動画再生に対応した。対応フォーマットは3gp、MP4、ASFの3種。雲に覆われた地球のVGA動画をデモで見たところ、QVGAサイズの動画に比べて、雲のディテールがよりはっきり見て取れた。
国産メーカーが手掛ける最近ののボーダフォン携帯は、世界共通UIのコンバージェンスモデルから日本向けのユーザーインタフェースを備えた端末へと回帰しており、904SHでも前モデルの903SHからさらに改善が進んでいる。
その1つがソフトウェアキーが担う役割だ。903SHでは、上ソフトキーに機能のマークが印字されていなかったが、904SHは左上ソフトキーにメールの、右ソフトキーにボーダフォンライブ!のマークが入った。ソフトキーの動作も、「これまで右上ソフトキーに割り当てられていた“戻る”の機能を、904SHではクリアボタンに集約し、左上ソフトキーには、その場で使える機能を割り振っている」(石井氏)。PDC時代のシャープ携帯に準じたUIに戻ったともいえ、コンバージェンスモデルのUIに不安を感じていたユーザーには朗報となりそうだ。
初のQVGA液晶携帯が登場したとき、ユーザーが違和感を覚えたのは、QQVGAのコンテンツを表示させたときに、中央に小さく表示されてしまう点だった。多くの携帯がQVGAサイズに拡大する機能を備えていたが、かなりエッジの甘いぼやけた写真になってしまうため、この機能を使わない人も多かった。
石井氏は、QVGAコンテンツをVGA液晶サイズに拡大させても、QQVGAと違ってQVGAならそこそこ高精細であるため、さほど違和感はないという。そのため904SHでは、デフォルト設定でQVGAコンテンツをVGAサイズに自動拡大するようになっている。
シャープのQVGAコンテンツ展開は、待受画面からアイコン、サウンドまでを簡単操作でカスタマイズする「カスタムスクリーン」から開始するという。「発売に合わせて、高精細表示の各種カスタムスクリーンを提供できるよう、準備しています」(石井氏)
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