KDDI、3期連続増収増益――「固定と携帯」のバランスをとれるか?

» 2006年04月26日 00時00分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 KDDIは4月25日、2006年3月期の決算説明会を開催した。連結の売上高は対前年比4.8%増の3兆608億円で、初めて3兆円を超えた。営業損益ベースでも同0.1%増となる2966億円の黒字と、3期連続の増収・増益を達成している。なお経常利益は前年比2.7%増の2940億円、当期純利益では同5.0%減の1906億円だった。

 事業部別に見ると、やはり移動体が好調で売上高は前年比8.6%増の2兆5104億円。移動体の売上が、全体の8割を占める状況だ。一方固定通信事業の売上は前年比3.9%増の6193億円で、営業損益ベースで613億円の赤字。直収型固定電話サービス「メタルプラス」の積極的な拡販が響いた格好だが、この赤字を3544億円という移動体事業の営業利益がカバーしている。

2007年3月期も増収増益を見込む

 2007年3月期の業績は、売上が3兆2930億円で、営業利益が3180億円とさらに増収増益になる見通し。移動体のARPU(Average Revenue Per User:加入者一人あたりの月間売上高)は460円減って6580円にまで落ち込むが、auとツーカーを合わせた累計契約数では200万加入増えて、2744万回線になる見込みだという。

 「携帯業界全体で400万加入増えると見て、その50%をとろうという考えだ。市場がどう動くかは見えないのが本音だが、今年並みになるとの考えでやっている」(小野寺正社長)。auの2005年3月期末での累計シェアは22.5%、2006年3月期末での累計シェアは24.7%と推移してきたが、小野寺氏は累計シェア30.0%を目指すと話す。

 「3社の中で30%をとらないと、いかに経営努力しても利益の水準でNTTドコモに追いつけない。この事業は(ユーザーの)ストックが大事であり、業界シェアが利益につながる。(ユーザー数が少なくても)収益性を高めたいとは思うが、やはり最低限の顧客基盤は必要だ」

固定通信事業も「改善の道筋見えた」

 一方で、固定通信事業は数字上振るわなかったように見える。ただ小野寺氏は、メタルプラスの累計契約数が180万まできたと話す。2007年3月期はこれを275万回線にまで持っていく計画だ。

 「上期には開通で遅れもあったが、軌道に乗ってきた。改善の道筋が見えた。(メタルプラスユーザーの増加により)音声サービスの売上も上がるなど、増収傾向が出ている。これを『増益』にまできっちりもっていく」

 成長戦略を採用したKDDIにとって(2005年4月28日の記事参照)、固定事業での赤字はある程度覚悟の上だ。FTTH事業でも赤字が拡大することは分かっている。ただし、2007年3月期にはメタルプラスの赤字幅を縮小し、その次の年には黒字化を達成するというイメージを持っている。

 固定通信事業の取り組みが、やや遅いのではないか――との報道陣からの質問に、小野寺氏は「NTTグループに比べて、時間がかかるのはやむを得ない」と苦々しげに話す。

 「NTTは(圧倒的なシェアを持つ)音声事業での利益を、FTTHにつぎ込んでいる。我々はマイラインのアクセスチャージ(事業者間の接続料金、ここではNTTに払う料金)が高止まりしていて、それほどの利益は出ない。そのために、メタルプラスをやっている。東京電力とのFTTH事業の統合が終わるまでは動きもとれないので、一定の利益水準を確保するほうが重要だ。『ムリムリにユーザーをとりにいく』という考えはあまりもっていない」

値下げ競争にはしたくない?

 ソフトバンクがボーダフォンを買収したことで、今後値下げ競争になるのではとの見方も一部にある。auは値下げをするかとの問いに、小野寺氏は「相手ががどうなるかによって異なる」と話す。「一般論で言えば、割引サービスを導入すれば他社も追随する。一方他社が値下げすれば、こちらも下げざるをえない。すると業界全体でシェアは変動せず、互いの収益性が悪くなるだけということになる。

 このコメントの裏を読むと「相手が値下げしても、シェアが変わらない程度には値下げに追随する」ともとれる。いずれにせよ、「値下げ計画があるのかということなら、今の時点ではない」と話す小野寺氏だった。

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