下り最大3.6Mbps、上り384Kbpsに高速化されたHSDPA対応のFOMA「N902iX HIGH-SPEED」が、ついにお目見えした。深夜販売の店舗で入手した端末を使って、実測でどれくらい速いのかをチェックした。
サービスイン当初のカバーエリアは東京23区内。年度内には全国の主要都市をカバーする予定だ。パケット通信料などの料金体系に変更はなく、各種パケットパックやパケホーダイも適用される。
今回のスピードテストは速攻チェックということで、1カ所のみの計測となる。試したのは、世田谷区内のファストフード店で、2階席の窓際で試した。基地局が見えるようなロケーションではないため、理想的な環境とはいえないが、基地局密度も十分い高いエリアであり、現実的なテスト環境ともいえるだろう。
まずはPCと接続し、N902iX HIGH-SPEEDをモデムとして利用した際の送受信の速度を計測した。ISPは「mopera U」を使い、「FOMA PC設定ソフト」を利用し、「W-TCP」で通信設定を最適化。通信速度計測サイトはRBBTODAYが提供する「スピード測定」を使い、3度の計測を行った。比較用端末にはHSDPA未対応の「N902iS」を用意した。
結果はHSDPA対応のN902iX HIGH-SPEEDでは、3回の計測のうち2回は1.6Mbpsを超える受信速度を記録した。送信速度は3回とも370Kbps前後と、こちらは理論限界値にかなり近く、安定していた。
従来FOMAのN902iSでは、受信が3回とも400Kbs台となり、送信も理論限界値に近い。受信がW-CDMAの理論限界地を越えているのが気になるが、通信速度測定サイトにとっても例外といえる通信環境なので誤差が発生したのかもしれない。mopera Uは画像圧縮機能を提供しており、これがオフになっていることも確認済みで、仮にオンであってもRBBTODAYのスピード測定においてはほとんど影響がないことも事前に確認している。
N902iSの計測結果が仮に20%程度高速に表示されているとして、これをN902iX HIGH-SPEEDにあてはめても、余裕で受信1Mbpsは超えていることになる。また従来のW-CDMAに対し、ほぼ同じ通信環境においてHSDPAが圧倒的に高速なことは間違いない。
次に「着うたフル」をダウンロードし、受信にかかった時間を計測して受信速度を割り出した。「着うたフル」のファイルサイズは2000Kバイトのコンテンツを使って試した。
結果は以下の表に示した通りで、平均で1Mbpsは超えている。着うたフルを1曲ダウンロードするのに20秒とかからなかった。
所要時間 | 平均受信速度 | |
---|---|---|
1回目 | 15.4秒 | 1039.0Kbps |
2回目 | 12.4秒 | 1290.3Kbps |
3回目 | 17.0秒 | 941.2Kbps |
今回はかなり限定的な検証しか行っていないが、それでもHSDPAが従来FOMAに比べてかなり高速なことは間違いない。HSDPAは従来のW-CDMAと異なり、通信速度に基地局の距離なども影響するので(W-CDMAでは基本的には基地局との距離は通信速度に影響しない)、ロケーション次第ではもっと高速になる可能性もある。
その後、jig.jpから「jigベンチマーク」がリリースされたのに伴い、こちらでもテストを行った。先にテストした世田谷区内のファストフード店ではなく、丸の内のITmediaでテストしている。窓際でアンテナが3本立っている状態で計測したものの、周囲にビルが多く、電波状態はあまりいいとは言えない環境でのテスト結果だ。
テスト項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|---|
通信速度 | 384kbps | 388kbps | 374kbps |
計算速度 | 493pt | 508pt | 595pt |
描画速度 | 824pt | 1207pt | 820pt |
テスト項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|---|
通信速度 | 96kbps | 103kbps | 90kbps |
計算速度 | 284pt | 279pt | 349pt |
描画速度 | 180pt | 173pt | 179pt |
ちなみにjigベンチマークでは、100Kバイトのデータをjig.jpのサーバからダウンロードし、かかった時間を計測して通信速度を求めているという。計算速度と描画速度もその所要時間を元に計算している。数値の大きい方がより速いことを意味する。
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