インタビュー
» 2006年09月22日 00時10分 公開

目指したのは“間接照明”――W43S、柔らかで複雑な光の秘密 開発陣に聞く「W43S」(“あかり”編): (1/3 ページ)

あるときはろうそくの炎がゆらめくように、またあるときはブロック落としゲームのように光るW43Sの“あかり”。色も動きも複雑なあかりをどのように実現したのか、開発陣に聞いてみた。

[吉岡綾乃,ITmedia]

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製のau端末「W43S」の一番の特徴は、LEDとStyle-Upパネルの組み合わせでさまざまな“あかり”を表現できることにある。

 W43Sの開発陣が目指したのは、LEDの派手な光ではなく、“間接照明のような柔らかで心地よい光”。その気持ちが、ひらがなによる“あかり”という表記に表れている。しかし、強く派手に光らせるのは簡単でも、携帯で間接照明のような光り方を演出するのは難しい。

 W43Sではどうやって柔らかな“あかり”を実現したのか? 開発陣に、あかりへのこだわりを聞く。

photo W43Sは「モカブラウン」「カームホワイト」「アンビションレッド」の3色展開。各色ごとに、異なるStyle-Upパネルが3枚ずつ付属する
photo 写真中央から左回りに、商品企画担当の清水氏、デザイナーの大倉氏、ソフトウェア担当の大野氏、機構設計担当の山田氏、電気設計担当の大庭氏

12のエリアを独立して光らせる

 パネルによってさまざまな色に光るW43Sだが、実はすべて、白色LEDで実現されている。Style-Upパネルを外すと、縦に6個の白色LEDが2列並び、左右から中央に向かって光っている。液晶背面を6×2の12のブロックに分け、それぞれのエリアを1つずつのLEDで照らすようにしているのだ。

 12個すべてのLEDを付ければ背面全体が光り、一部しか点灯していない場合は、そのブロックだけが光るようになっているのがポイントだ。

photo “あかり”が特徴のW43S。同じ色の端末でも、Style-Upパネルを着せ替えることにより、全く違う印象の光り方になる
Style-Upパネルを外した状態で、LEDを点灯させると、6個のLEDが並んで外側から光っていることが分かる。反対側にも同様に6個のLEDが並んでいる


 ブロックの分け目に仕切りを付ければ簡単だが、それでは仕切りや影が目に見えてしまう。そこで、仕切りを見せずに、必要な部分だけを光らせるように工夫した。背面に貼られた反射板には細かいパターンが入っており、横から照らされたLEDの光を、目に見える方向に反射させる。この反射の角度を調節することにより、仕切りはなくてもエリアごとに光っているように見えるのだ。

 「普通、携帯のメインディスプレイを照らすには、3〜4個のLEDを使います。これでディスプレイ全体を均等に光らせるわけです。広い面積を均一に光らせる技術は従来からあるのですが、仕切りを使わずに光らせたいところだけを光らせるというのは例がなかった。そこが大変でした」(機構設計担当の山田氏)

じわっと光る秘密

 W43Sのあかりを見ていて面白いのは、光がさまざまな表情を持っていることだ。ろうそくのようにちらちらと光ってみたり、ブロックを落とすゲームのように四角い光が上から落ちてきたり、あるいはじわじわと光の強さが変わったりする。

 「プリセットで、3つの光り方を入れています。“やわらか”はろうそくの光のイメージ。“かろやか”は動きのある光り方というイメージ。そして“はなやか”では、じわーっと光る感じを出しています」(商品企画担当の清水氏)

 「普通に光らせてもこうはならないので、ハードウェアとソフトウェアをうまく組み合わせて、じわっと光るようにしています」と話すのは、電気設計担当の大庭氏だ。ポイントは、LEDの明るさの階調。階調を増やし、明るさを1段増したり減らしたりしたときにも、ガクッと明るさが変わったことが分からないようにしている。「普通のLEDは8〜16階調くらいなんですが、W43SのLEDは32階調で明るさが変化します。今までの端末よりも、階調が変わって(明るさが)ガクガクしないよう、気を遣った部分です」(大庭氏)

 “間接照明”のイメージは、白というよりクリーム色に近い光の色にも表れている。上にも書いたように、W43Sに使われているLEDは全て白色。Style-Upパネルの裏にはパネルに合った色が塗られており、それで光の色を変えているのだ。

photo 端末の開閉、着信時、電源オン/オフ時などさまざまなシーンで光るW43S。光り方は、1つずつ設定することもできるし、「やわらか」「かろやか」「はなやか」の3種類のパターンで一括設定も可能
photo Style-Upパネルの「シャンデリア」と「ピーコック」を、表と裏から見たところ。LED自体は白色なので、パネルの裏に色を付けてさまざまな光の色を表現している。W43Sに取り付けて光らせると、シャンデリアは濃いピンク色に、ピーコックは濃いブルーやグリーンに光る


 なお、音楽再生時には、音楽に合わせて光らせることもできる。「音に合わせて光る機能を入れています。元気な曲だと元気に光るし、しっとりした曲だとしっとりと光るんですよ」(清水氏)。光るのは再生し始めの10秒程度だが、充電中は曲を再生している間ずっと光っている。

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