タワレコが自宅にやってきた――「ナップスタージャパン」を試すレビュー(3/3 ページ)

» 2006年10月11日 15時46分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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楽曲持ち出しは対応機種が少しさみしい

 本サービスの大きな特徴のひとつが、視聴期限付きの楽曲をポータブルオーディオプレーヤーへ持ち出すことができる点だ。持ち出すには「Napster To Go」に加入している必要があるが、加入していれば、対応プレーヤーを接続するとクライアントソフトの「ライブラリ」画面にプレーヤーがアイコン表示されるので、任意の楽曲を選んで転送すればよい。

 転送できるのは「Windows Media DRM10 for Portable Devices」対応デバイスで、現在のところ東芝の「gigabeat」やアイリバー・ジャパン、クリエイティブメディア、日本ビクターの一部製品とNTTドコモの携帯電話「F902iS」が対応する。既存のWMA対応製品(Windows Media DRM 9対応製品)には転送できないので注意が必要だ。試しに手元にあったクリエイティブメディア「Zen Neeon2」(Windows Media DRM 9対応製品)を接続してみたが、認識されなかった。

  • 現在アナウンスされているNapster To Go対応製品
製品名 メーカー 容量
gigabeat V30T 東芝 30Gバイト
gigabeat S30 東芝 30Gバイト
gigabeat S60 東芝 60Gバイト
Alneo XA-C59 日本ビクター 512Mバイト
Alneo XA-C109 日本ビクター 1Gバイト
Alneo HD-500 日本ビクター 6Gバイト
Zen V plus クリエイティブメディア 4G/2G/1Gバイト
Zen V クリエイティブメディア 2G/1Gバイト
Zen Vision:M クリエイティブメディア 30G/60Gバイト
Zen Vision クリエイティブメディア 30Gバイト
Zen Micro クリエイティブメディア 5Gバイト
Zen Micro Photo クリエイティブメディア 8Gバイト
Zen Touch クリエイティブメディア 20G/40Gバイト
U10 アイリバー・ジャパン 512M/2G/1Gバイト
T10 アイリバー・ジャパン 256M/512M/2G/1Gバイト
F902iS 富士通 最大2Gバイト(miniSDメモリーカード)
photophoto 対応プレーヤーをセットすると画面右下にアイコンで表示される(左)、F902iSに転送(右)

 Napster To Goが利用可能なプレーヤーを一覧にしてみるとそれなりの数があるように見えるが、世に存在するWMA対応製品の数に比べるとかなりさみしい。今後登場するWMA対応製品ではかなりの数が対応すると考えられるが、「手持ちのポータブルオーディオプレーヤーで使えるか」といわれると、かなり限定されてしまうというのが答えになるだろう。

photo 知人へプレイリストや楽曲をメールで紹介することもできる

邦楽と対応プレーヤーの充実が今後のカギ

 駆け足ではあるが、日本初の定額制サービス「ナップスタージャパン」について触れてみた。米Napsterとタワーレコードの合弁企業が運営していることもあり、用意されている楽曲やリコメンドリストを見る限りでは、「インポートCDに強いタワレコ」のイメージとあまりブレのないイメージに仕上がっているといえる。

 特に洋楽の充実は目を見張るものがあり、少々マイナーと思われるアーティストの楽曲もかなりの確率で見つかる。近年定着してきた各種の夏フェスに出演するようなアーティストならばほぼ網羅されている印象だ。なによりも、「月額1280円で聴き放題」というのは素晴らしい。

 ただ、それだけに邦楽の曲数(カタログ)の少なさが気になってしまう。特にポップス/ロックの少なさは顕著で、試しにオリコン週間チャート(10月9日付)にランクインしているアーティストを検索してみたところ、マッチしたのは「絢香」と「DJ OZMA」だけだった。邦楽メインの音楽ファンにアピールするためには邦楽の充実は欠かせない要素だろう。

 前段でも触れたが、Napster To Go対応プレーヤーの少なさも課題だ。PCで音楽を楽しむユーザーが増えているとはいえ、iPodのヒットからも分かるように音楽を携帯するというライフスタイルはもはや完全に定着しており、せっかく充実した楽曲を揃えていてもPCの前でしか楽しめないのでは楽しさは半減してしまう。

 とはいえ、あたかも眼前にタワレコがあるかのように低価格でほぼすべての楽曲が楽しめるのはこれまでになかった楽しさだ。「水道の蛇口のように音楽を聴ける」――発表会では本サービスがこのようなセリフで表現されたが、まさしくその通りだといえる。現在のところは「タワレコ」のイメージをそのままオンラインに持ち込んだサービスだが、邦楽と対応プレーヤーの充実が進めば、「CDショップ」がそのまま自宅にやってきたようなサービスへ変貌するだろう。

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