繁華街には必ずと言っていいほど、金券やチケットを割り引いて販売する「チケット屋」がある。チケット屋では、新幹線の乗車券、航空券、映画の入場券やデパートの商品券などを格安で販売している。映画を見たい、出張に行く、という場合に利用したことのある読者も多いだろう。
チケット屋にはあらゆる金券・チケット類が販売されているが、ドコモが発行している「モバイラーズチェック」も定番商品として販売されているケースが少なくない。販売価格は、券面価格の95%前後が一般的。つまり5%引きで購入できるわけで、これによりドコモの毎月の支払額が5%以上安くなる。
モバイラーズチェックはNTTドコモが発行しているプリペイドカードで、毎月の支払額にそのまま適用できるもの。基本料金はもちろんのこと、通話・通信料、iモード情報料、WORLD CALLなどの海外通話にも適用できる。友人へのプレゼント用などが想定されているが、もちろん自分自身も登録可能である。
モバイラーズチェックは1000円、3000円、5000円の3種類が発売されていて、金券なので非課税である。つまり1000円券なら、1000円分をそのまま支払額に適用できる。
使い方は簡単で、カードの裏にある銀色のスクラッチ部分を硬貨などで剥がす。すると一連の番号が表示されるので、この番号を登録する。登録するには、適用したいケータイから「1400(無料)」にダイヤルし、アナウンスに従ってスクラッチのところに書かれた番号を入力する。1000円券を登録すると「1000円分登録しました」というアナウンスが流れるので、これで登録は終了。翌月末の支払いから税込みで1000円分引かれるという仕組みだ。
もちろんiモードからでも登録できる。iメニューの「料金&お申し込み・設定」にある「モバチェメール(後半の「ケータイ料金節約ミニ知識」コラム参照)」で、手持ちのモバイラーズチェックを登録すればいい(ネットワーク暗証番号が必要)。本来は友人や家族に送るためのサービスだが、「自分に登録する」を選べば、自分のケータイにモバイラーズチェックを登録できる。
モバイラーズチェックが優れているのは、請求書に書かれた金額に、券面価格をそのまま適用できること。たとえばその月の請求額が税込みで4800円だとすれば、5000円のモバイラーズチェックを登録すると、全額が適用されて200円残る。残った200円は、翌月の請求に適用される。1カ月で最大5万円まで登録できるので、安いチケット屋をみつけたら、まとめて買っておくとお得になる(登録後は2年間有効)。
auやソフトバンク(旧ボーダフォン)もケータイ用のプリペイドカードを発行している。しかし、これらは通話専用のカードで、支払額全体に適用できるものではない。auやソフトバンクのプリペイドカードは通話料金になってしまうため、パケット通信料などを含む料金の節約にはならないのである。
その点、ドコモのモバイラーズチェックは、今使っている基本プランのままで、支払額全体に適用できる。5%割引でモバイラーズチェックを購入できれば、支払額全体が5%安くなる。ケータイ会社が用意している割引プランの多くは、基本料だけを下げるものだが、モバイラーズチェックは基本料だろうが通話料金だろうが、さらにはiモードの有料サイトの料金にまで適用できるので強力だ。
ではモバイラーズチェックはいくらで入手できるのだろうか? 都内とネットで販売価格を調査した。
販売方法 | 場所・サイト | 価格 | 割引率 |
---|---|---|---|
店頭販売 | ドコモショップ・コンビニ | 100% | 割引なし |
チケット屋店頭販売 | 東京・渋谷 A店 | 95%+送料 | 5%弱 |
チケット屋店頭販売 | 東京・渋谷 B店※1 | 91% | 9% |
チケット屋店頭販売 | 東京・新宿 C店 | 95% | 5% |
チケット屋店頭販売 | 神奈川・川崎 D店 | 97% | 3% |
ネット販売 | 金券販売サイトA | 95%+送料 | 5%弱 |
ネット販売 | 金券販売サイトB | 98%+送料 | 2%弱 |
オークション | Yahoo!オークション | 95〜97%+送料 | 3〜5%弱 |
まず当然のことながら、ドコモショップやコンビニなど公式に販売しているところでは割引は一切ない。券面価格そのものでしか購入できないので、節約にはならない。
それに対して、繁華街などにある金券ショップやチケット屋では、ほぼ間違いなく割り引かれて販売されている。割引率はチケット屋の競争によって決まるようで、チケット屋がたくさんあるエリアでは競争によって割引率が5%を超えることもあった。おおまかに言って、都心部などでは5%前後、郊外や地方のチケット屋では3%前後が目安だと言っていいだろう。
筆者が知る限り、もっとも安く販売しているのは東京・渋谷のB店で、3000円と5000円のカードはなんと9%割引にもなっている。3000円カードなら2730円、5000円カードなら4550円で買えるのだ。安すぎて何らかの落とし穴があるのでは? と不安になるが、筆者はこのショップのモバイラーズチェックを実際に購入して使っており、何の問題もなく登録できている。
近くにチケット屋がない、という人はネット販売を利用する方法もある。ネット販売をしているチケット屋ならば、おおむね3〜5%前後の割引率でモバイラーズチェックを販売している。ただしこの場合、送料がかかってしまうため、ある程度まとめて購入しないと節約にはならないだろう。
もう1つの方法としてYahoo!オークションでの購入がある。Yahoo!オークションで個人がモバイラーズチェックを売っているものだが、購入には注意が必要だ。金券関係ではオークション詐欺が多いため、今までの評価をよくチェックするべき。オークションに慣れた人で、詐欺でないと判断できるだけの経験がないとお勧めできない。できる限りオークションは使わずに、店頭のチケット屋を使ったほうがいいだろう。
モバイラーズチェック購入時には、有効期限に注意したい。裏面に「有効期限」が印刷されており、これを過ぎると使用できなくなってしまう。チケット屋で購入する前に、必ず「有効期限はいつまでですか?」と確かめよう。なお期限が切れてしまった場合は、ドコモショップに持ち込んで105円の手数料を払えば、交換することが可能。期限切れのカードがある場合は、ドコモショップへ問い合わせよう。
もう1つ覚えておきたいのは、ファミリー割引による利用法だ。モバイラーズチェックで登録した金額は、ケータイ1台ごとに管理されている。そのためファミリー割引で、家族の料金を一括で支払っている場合は、まとめて支払うことはできない。
たとえば一括支払いをしている父親のケータイに登録したとしても、適用されるのは父親のケータイ料金のみ。子供のケータイ料金にモバイラーズチェックを登録するには、子供のケータイからモバイラーズチェックを登録する必要がある。ファミリー割引では、1台1台のケータイで登録する必要がある、と覚えておこう。
お勧めは前述した「モバチェメール」を使う方法。家族の人数分だけモバイラーズチェックを用意しておき、モバチェメールで家族一人一人に送信する。受信した家族がメールにあるURLをクリックして操作すれば、モバイラーズチェックが登録されるので便利。なお、迷惑メール対策で受信ドメインの設定を行っている場合は受け取れないので、解除が必要だ。
単純ながら強力な「チケット屋活用法」だが、チケット屋で購入すると割り引きされた実感がない、と思う人も多いかもしれない。チケット屋で現金を出して買うことになるわけで、毎月自動的に引き落とされる銀行口座払いやクレジットカード払いよりもお金が飛んでいくような気分になってしまう。
そこでお勧めしたいのが「マイチケット屋」を作ること。自分でチケット屋もどきを手元に作って、そこでお金をやり取りする方法である。ケータイ節約法とはちょっと離れるが、生活の知恵として覚えておくと便利な節約スタイルなので紹介したい。
まずマイチケット屋を作るための資本金を用意する。3万円ぐらいほしいところだが、1万円でもいいだろう。またチケットと現金を保管するために、お菓子の空き缶か透明ファイルを用意する。この空き缶・ファイルが、マイチケット屋になるわけだ。
以上を用意したら、資本金を使ってチケット屋で必要な金券類を購入しよう。たとえば1万円の資本金があるなら、チケット屋に行き5,000円のモバイラーズチェックを2枚購入する。ここでは5%割引で購入できたと仮定しよう。
すると「マイチケット屋」であるお菓子の缶には……、
@5,000円のモバイラーズチェック2枚
A現金500円(割引購入したおつり)
が入ることになる。割引された分の現金が、ここに貯まるのがミソだ。
次にモバイラーズチェックを実際に使うには、資本金とは別に自分のお金を用意し、マイチケット屋から「定価で」買う形にする。つまり現金5000円を缶に入れ、モバイラーズチェック1枚を使うようにする。定価で買うと損をするようだが、その分はマイチケット屋であるお菓子の缶に貯まるので損はない。
これを何度も繰り返していくと、マイチケット屋はどんどん利潤が増えていく。モバイラーズチェック2枚を使った後は、1万500円の現金がマイチケット屋に残る。つまり500円増えたわけだ。このお金で再び、モバイラーズチェックを買えばいい。モバイラーズチェックだけでなく、デパート商品券や図書カードなどもこのマイチケット屋で購入するといいだろう。
この方法のメリットは2つある。1つはチケット屋で安く買った分だけ、お金が貯まること。割引購入した分が、お菓子の空き缶に貯まっていくので「安く買えた」という実感がある。お金が貯まるほど、多くの金券類が買えるから、マイチケット屋の利潤もどんどん増えるわけだ。
もう1つのメリットは使いすぎを防止できること。マイチケット屋から「定価で」購入することになるので「安いから使ってしまえ」「金券なら安いから使おう」という気分にならない。ケータイの使い過ぎの防止にもなると思う。
最初の資本金を用意するのはしんどいが、お金を貯める為の元金だと思えば、大きな負担にはならないはずだ。モバイラーズチェックを格安で購入するだけでなく、「マイチケット屋」を作ることで、楽しみながら節約していきたい。
iモードを使って友人や家族などに、モバイラーズチェックを贈ることができるシステム。手元にあるモバイラーズチェックを友人や家族などに送信できるほか、クレジットカードで定価購入して贈ることもできる。ファミリー割引でモバイラーズチェックを使う場合に活用してほしい(iメニュー→料金&お申込・設定→モバチェメール)。
※本原稿は執筆時点(2006年10月22日)のデータを基にしています。また、料金プランは原則、NTTドコモは関東・甲信越地方、auは関東、ソフトバンクは関東・甲信地方のものに準拠しています。地域によってサービス開始時期や名称、料金などが異なる場合があります。
※料金の試算は概算です。実際に計算した料金にならない場合もあるので参考としてご利用ください。
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