「ウチだけだったので驚いた」――開発陣に聞く「N903i」のVGA+ディスプレイ:「N903i」開発者インタビュー(前編)(1/2 ページ)

» 2006年11月10日 13時30分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 VGA+(480×690ピクセル)という高解像度ディスプレイを搭載したN903i。903iシリーズでは唯一となるVGA+ディスプレイ搭載の理由や狙いを、NEC モバイルターミナル事業本部 モバイルターミナル事業部で商品企画部 主任を務める岡本克彦氏に聞いた。

携帯に必要な「表現力の拡大」

photo NEC モバイルターミナル事業本部 モバイルターミナル事業部 商品企画部 主任 岡本克彦氏

 N903iに搭載されるディスプレイは、サイズが2.5インチ、解像度がVGA+(480×690ピクセル)という液晶パネルだ。3インチのディスプレイを搭載する端末もあるため、サイズこそ2.5インチと見劣りするが、1画面に表示できる情報量はQVGA(320×240ピクセル)の4倍以上になる。このVGA+ディスプレイを搭載した理由を聞いた。

 「N903iの開発に当たり、約1000人の携帯電話ユーザーにヒアリングを行いました。そして分かったのが、デジカメで撮った画像をメールで送受信するだけではなく、お互いに端末の画面を見せあうなど、ディスプレイそのものをコミュニケーションツールにしている人が実に多いということでした。

 我々が携帯電話を開発する際の基本的なスタンスは、ユーザーを主人公にしたコミュニケーションツールを提供すること(2003年12月の記事参照)。ディスプレイは、端末を介したコミュニケーションの最も基本的な部分であり、その表現力を高めていくことは前々からの課題でもありました」(岡本氏)

 携帯電話のディスプレイは、搭載できるサイズに限界のあるデバイスだ。これまで、見やすさを追求するために大型化を行ってきたが、どこまでも大きくできるものではない。表現力を上げるには解像度を上げる必要があった。

 携帯電話でWebの閲覧や、写真や動画の撮影・表示など、高い解像度を求められる場面は多くなっている。デバイスとして高い解像度にすることは自然のなりゆきだが、「より綺麗な待受画面にしたい」「撮った写真をもっと良く見たい」という、ユーザー側の日常的な欲求の高まりも、VGA+ディスプレイ搭載に至った経緯だという。

 「ヒアリングの際に、女子高生2人組の話を聞く機会がありました。つい先日機種変更したばかりということでQVGA仕様の最新機種を持っていましたが、同じ画像をVGA+ディスプレイに表示したときの違いを見て、『発売したら絶対機種変する!』と言ってくれたんです。本当に変えてくれるか分かりませんが(笑)ひと目で気に入った様子から、ディスプレイに高い表現力が求められていると確信を得ました」(岡本氏)

903でVGA+にする理由

 VGAの解像度をもつ音声向け端末は、すでにソフトバンクモバイル向けの他社端末が登場している。NTTドコモ向けとしては、PDA型のスマートフォンなどを除けばVGA以上の解像度を持つディスプレイを搭載するのはN903iが初めてだ。なぜ、このタイミングでの搭載となったのだろうか。

 「903シリーズでは、メール添付容量が大きく増えました。扱える文字数が増えただけでなく、添付できるファイルの容量も拡大しています。メガピクセルサイズのデジカメ画像を送受信したり、PDFやWord/Excelなどのオフィス文書も添付できるようになっています。端末側でPC向けのデータを不満なく見るには、PCに近い解像度が必要です。また、GPS機能やナビゲーションサービスが標準搭載になりました。地図は、1つの画面にできるだけ広い範囲を細かく表示できたほうが良いですから、高い解像度のほうが便利です。ドコモの新サービスを生かすには、VGA+ディスプレイが必要なんです」(岡本氏)

photophoto プリインストールされたPDFファイル(都心路線図)を同じ大きさになるように表示した。N903i(左)は細かい文字もはっきりと読み取れる

 同社では、以前からVGAサイズのディスプレイを搭載する準備を進めており、単に載せるだけであれば、これまでも可能だったという。

 「解像度の高いディスプレイを載せる場合、端末にかかる負荷を考慮しなくてはいけません。まず、処理する情報が増えますし、消費電力も大きくなります。そうした点を解決せずに、画面の応答速度が遅く、待受・通話時間が短いまま“カメラで撮った画像を大きなサイズで見られる”というだけの製品を発売しても、あまり意味がありません」(岡本氏)

photophoto 内蔵のiアプリ「ゼンリン地図+ナビN」で汐留付近を表示(左)。N902iS(右)と表現力の差は明白

 解像度を生かすサービスが登場し、処理速度や消費電力の問題も解決したことから903iシリーズでの搭載が決まった。例えば、N903iの待受時間は680時間(静止時)で、N902iSの540時間(静止時)を大きく上回っている。連続通話時間も190分と、N902iSの160分から30分伸びた。使用する電池パックはN902iSと同じ仕様のため、純粋に端末側の省電力設計により使用時間を延ばし、使い勝手を良くしている。

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