2006年は空前の端末ラッシュ──その傾向と問題点2006年の携帯業界を振り返る(1)(3/4 ページ)

» 2006年12月28日 23時59分 公開
[聞き手:房野麻子,ITmedia]

海外メーカーの動向にも注目

ITmedia では次に、海外メーカーはどうでしょうか。今年は韓国メーカーもたくさん入ってきましたよね。

石川 非常にいいものがいっぱい出てきていて、記事も書きやすいし、個性もあるし、いいと思うのですが、日本人の先入観かどうかわかりませんが、まだまだ浸透しないのかな、と感じます。もうちょっと盛り上がるといいな、とは個人的に思っています。

ITmedia 特に注目しているメーカーなどはありますか?

石川 端末の数、ニーズに対応する力なども含めて、やっぱりサムスン電子は半端じゃないなと思います。ソフトバンクモバイルの秋冬モデルも、ソフトバンクがボーダフォンを買収した直後から開発したと聞きます。開発期間の短さは日本メーカーにとって脅威なはず。だから、今後もっといっぱい端末を出してくるようになると、どう盛り上がっていくのかな、と注目はしています。

ITmedia 日本では認知度が低いというか、人気がないというか……薄型で攻めていますが、いまひとつ盛り上がりに欠けています。これは感覚的なものなのでしょうか。

神尾 率直にいうと、私は韓国メーカーは無理だと思っているんです。日本では、プレゼンスが得られる、得られない、という問題よりも前の段階で難しいんじゃないかと。(表に出てこない)デバイスは別なんですが、完成品メーカーとしての韓国メーカーのブランディングは、日本では難しいです。それは、携帯電話だけじゃなくて、すべてのプロダクトでいえることで、これはどうにもならない。閉鎖的だとかいう話でもないと思います。確かに中身の方はここ最近、良くなってきています。でも、じゃあ今後爆発的に売れますか? と聞かれたら、私はNOと答えます。いくら世界で売れているといっても、現代(ヒュンダイ)のクルマが日本では売れないのと似ているんです。

 韓国メーカーがかわいそうなのは、常に日本メーカーと比較されること。しかし、その一方で、日本メーカーとは区別されてしまうこと。「日本メーカーと韓国メーカー、どっちを買うの?」といわれて、「だったら日本メーカーの方がいいや」となる。価格差が少ないということもあります。クルマだと、欧州車と日本車は同じ土俵では語られず、全く別のブランド、別のセグメントとして語られるんですが、韓国メーカーはかわいそうなことに、日本メーカーと同じ土俵に入ってしまうんですね。

 もし韓国メーカーの携帯電話が日本でアリという可能性があるとすれば、日本メーカーと同じ路線、同じ方向性ではなくて、日本メーカーが絶対作れないものをやることです。例えば、1台15万円、総チタン、しかも有名なブランドとのコラボレーションモデル、とかやってくれば、可能性がないこともないと思う。でも、それでブランディングができるかといえば、難しいかもしれませんが。ともあれ、日本メーカーと同等だとか、同等よりもちょっと上のものを作っている限りでは、韓国製の端末が人気機種になるのは、なかなか難しいと思います。

石川 新しい感覚を持っている若い人には受けるかなあ、という気はします。ソフトバンクの端末がいいって言っている若い層もいますし。

ITmedia セールス的には、auのPantech & Curitel製簡単ケータイ「A1406PT」は結構出ています。これは単に安いから売れている、ということなんでしょうか。

神尾 そのセグメント以上に行けるかどうかは厳しいと思いますよ。安くてもヒュンダイは売れていないじゃないですか。若い人だって、ヒュンダイを買うかというと買わない。むしろ、同じ価格帯だったら日本メーカーの軽自動車やコンパクトカーを買っちゃいますからね。まあ、車の場合、維持費やリセールバリューの違いといった要素も絡むわけですが。

ITmedia では、その他の海外メーカーについて。モトローラの「M702iS」が売れているようです。ドコモの70xiシリーズで出てきた意味は大きいと思いますが。

石川 ただ、発売されたのが遅いですよね。

ITmedia 夏モデルとして発表されたわけですが、発売は903iシリーズよりも遅い12月でした(12月12日の記事参照)。長い夏でしたね。

神尾 ずいぶん地球の温暖化が進みましたね(笑)。ただ、投入タイミングの問題は抜きにして考えると、今年のモトローラとノキアはアリだと思いました。特に、普通の人に引きがあるものが出てきたなと思います。M702iSにしろ、ノキアの「705NK」にしろ、特殊じゃない人に訴求できるものが出始めたと思います。

ITmedia  M702iSは薄くて、メタル感があっていいですよね。ワールドワイドで売れたのも理解できます。

神尾 ボタンが押しにくくても我慢しようかな、って思えますよね。私は705NKに感動しました。というのも、携帯のカメラで写真を撮るのが苦手なんですが、705NKならとてもきれいに撮れるんです。全体的にソフトウェアがよくできていて、底力を感じました。ノキアはスタンダードなスマートフォンではなく、むしろ特化型スマートフォンの方が(日本市場向けとしては)いいと思いますね。

ITmedia ノキアは面白いデザイン端末もたくさん出していますが、日本では出てきませんね。そういった端末はW-CDMAに対応していないGSMモデルだから、というのもあるでしょうが。

神尾 ノキアはNseriesでも、どちらかというとコンセプト型の端末を日本に持ってくるべきでしょうね。夏にボーダフォンから折りたたみ型のN71をベースにした「804NK」も出ましたが、あれは失敗だったと思います。あのフォルムで戦っても日本メーカーには勝てないですから。むしろストレートやスライド端末の方が“ノキアらしさ”を訴求しやすい。

ITmedia ちょっと田舎っぽいというか、別な意味で“個性的”な折りたたみでしたね。

石川 そう、野暮ったい。

ITmedia 705NKは、まずN73として発表されたときに見たんですが、そのとき、これを日本で出したら受けるかも、という話を他の記者ともしていたんです。そうしたら先日、その当時から日本投入が決まっていた、という話を聞きました。うまい具合に開発側と日本のユーザーの意識がかみ合ってきたのかな、と思いました。

神尾 だいぶソフトウェアのもっさり感も取れてきましたからね。反応速度が良くなって、UIも若干使いやすくなってきたかなと感じます。

石川 あとは、ワールドワイドに遅れずに、いかに早く発売できるかですよね。早く出せるようになってきたら、まだまだ盛り上がる気がします。

神尾 それから、ドコモで出さないとどこまで一般の人に支持されるか、という部分は判断しきれないですよね。

ITmedia ドコモ向けはiモード周りの機能の実装が難しいのでしょうね。

石川 そう! だから「hTc Z」みたいな感じでいいような気がしますけどね。プッシュメールをキャリアで対応してくれるようになれば、何の問題もないような気がします。定額でプッシュメールさえ使えれば。

神尾 フルブラウザも定額でね。

石川 そうですね。でも、そういう路線はドコモではありえないと思いますけれど。

ITmedia PCと接続した通信が定額になるのはいつなのか、というところも気になります。

神尾 それは4Gを待て、ということじゃないですか?

ITmedia ソフトバンクでは、端末(hTc Z)に内蔵されたフルブラウザを利用した「PCサイトダイレクト」まではなんとか1万円でやりましょう、というような話になってきています。そこから先に足を踏み出すキャリアはいるんでしょうか。

石川 難しいだろうなあ。

神尾 難しいでしょうね。それと、今岐路に立たされていると思うのが、公式コンテンツです。auとソフトバンクは、コンテンツやサービスを抱え込んでポータルとして自分のブランドで出す、という方式に流れています。iモードが一番中途半端になっていて、自分たちのブランドで出すわけではないけれど、でも囲い込んでいる。開放するなら開放するで、公式コンテンツを使いたい人はもちろん、それ以外の人も自由に定額で使ってください、という世界観はアリですが、もし今後もドコモがキャリアとしてコミットしていくなら、もう一歩踏み込んで、auと同じように自分のブランドで特定のコンテンツプロバイダと一緒にやっていくという路線を強めないと厳しいと思います。みんなと等距離外交というのは、今後のビジネスモデル的には辛いのではないでしょうか。

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