富士通は1月30日、ドコモ向けの2007年春モデル「F703i」の発売日が2月2日に決定したことを受け、記者説明会を開催。IPX5およびIPX7等級の防水機能を備えながら、一般的な折りたたみ型端末と変わらない薄さ/大きさを実現したF703iの特徴などをアピールした。
富士通のモバイルフォン事業本部長経営執行役の富田達夫氏は、「普段の生活シーンの中でも水回りで携帯を使うことは多い」と話し、富士通が防水ケータイを開発するに至った経緯を説明した。
「これまでも防水ケータイは存在したが、“タフ”で“アウトドア”を想起させるイメージのものが中心だった。しかし、F703iは日常利用でも違和感のない、“インドア”かつ“スマート”なイメージのおしゃれな防水ケータイをめざした」(富田氏)
同氏は富士通が自ら実施した防水ケータイに関するアンケート調査の結果を提示。防水ケータイには非常に高いニーズがあるが、多くのユーザーは「防水を意識させない、シンプルでおしゃれなデザイン」であることが重要だと考えているの認識を示した。防水ケータイは必要ないと考えているユーザーにその理由を聞いたところ、多くは「防水になることでデザインが悪くなる」「防水だとボディが大きくなる」からだという結果も出ているといい、富田氏は「デザインがよくてボディが小さければ防水ケータイを使いたいという人はたくさんいるということ。厚さ17.9ミリのF703iは、世界最薄の防水ケータイ。一見しても防水とは分からないスタイリッシュなコンパクトデザインを実現した」と自信を見せた。
続いて、F703iの防水機構の説明をしたモバイルフォン事業本部長代理の佐相秀幸氏は、「防水ケータイの開発は3年以上前から検討し、さまざまな技術の基礎開発を行ってきた」とその舞台裏を明かした。
F703iは、回転した状態で2.5〜3メートル離れた位置から、1分あたり12.5リットルの直接噴流を3分以上当てた後でも問題なく動作するという「IPX5」と、水深1メートルの位置に静かに沈め、30分間放置しても壊れることのない「IPX7」の防水性能を備えている。それでいて、前述の通り外観はスタイリッシュでコンパクトだ。
「普通のケータイと変わらない端末に仕上げるためには、厚さ20ミリを切る必要がある。F703iは防水でありながら、この要件を満たすことができた。今後“防水”はケータイの基本機能になってくる可能性もあり、防水性能を持ちながら、ボディの厚さを13ミリ、12ミリ、11ミリへと薄くしていく必要がある」(佐相氏)
また薄型のボディを実現するために苦労した“ヒンジ”についても言及した。折りたたみ型の端末はヒンジ部の防水が難しいが、そこをクリアするため、F703iではヒンジ部のケーブルと一体になった防水パッキンを開発したという。これは「特許を申請している」と佐相氏。
さらに、水に濡れるのを前提に、さびにくいステンレス製のネジや劣化しにくい樹脂を用いたOリング、スピーカーやマイク部の音響用防水シートなど、さまざまな特殊部品を採用している。バッテリーパックのカバー部分も、「普通に作ると、他社の端末のようにネジのようなもので押さえ付ける構造になる」(佐相氏)ため、カバーとは別にパッキン付きのロックプレートを用い、バッテリーパック周りの防水を実現した。
このほか、端子のカバーなどを閉め忘れると防水にならなくなるため、端子類も極力使わなくてすむように配慮した。「充電のたびに端子のカバーを開けるようでは、いざというときに防水性能を維持できていない可能性がある。そこで充電台はオプションではなく標準添付している」(佐相氏)
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