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» 2007年02月22日 20時28分 公開

地震発生、そのとき電話は?――陸上自衛隊とNTTが共同訓練を実施

陸上自衛隊とNTT東日本、ドコモが、首都直下型地震を想定した共同実働訓練を実施した。陸上自衛隊の大型ヘリコプターがNTTグループの持つ災害対策機材を搬送、被災地で特設公衆電話を展開した。

[平賀洋一,ITmedia]
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 陸上自衛隊とNTT東日本、NTTドコモは2月22日、災害発生時の通信手段確保を目的とする共同訓練を実施した。訓練は、大型ヘリコプターなどを使用した大がかりなもので、陸上自衛隊東部方面隊から約60名、NTT東日本から約30名、NTTドコモから約10名が参加して朝霞訓練場で行われた。

 この共同訓練では、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3クラスの首都直下型地震が発生し、渋谷区代々木公園が避難所に指定されたケースを想定。建物の倒壊などにより避難所への道路が使えず、携帯基地局への給電もストップしているため、ヘリコプターで災害対策機器を輸送し特設公衆電話の設置や、基地局へ給電することを目的とした。

 地震後、道路遮断により陸路で避難所へ連絡することができなくなったNTT東日本とドコモが、機材や設備の航空輸送を陸上自衛隊に依頼。支援側ヘリポートに到着した陸自ヘリに、NTT東日本とドコモが運搬した災害対策用ポータブル衛星通信設備や衛星携帯電話、マルチポップ無線LANシステム、過般型発電機、クリーン電源、マルチチャージャーといった災害対策機器が積み込まれた。

photophotophoto 機材を送り出す支援地点に、大型ヘリ(CH-47J)と中型ヘリ(UH-1J)の2機が飛来。ここでの自衛隊員はヘリクルーのみ

photophotophoto そこへ、NTTグループの車両が到着。NTT職員の手により、災害対策機器が積み込まれた

photo 被災地へ向かう陸自ヘリ

 支援地点から災害地に入ったヘリコプターは、避難所近くのヘリポートに着陸し、待ち受けた自衛隊員によって機材が下ろされた。ここから、陸自トラックで避難所内の設営ポイントに運ばれて通信手段を確保することになる。送り手はNTT東日本とドコモだが、受け手は自衛隊員と限られたNTT職員になるため、こうした連携訓練が必要になるという。

photophotophoto 被災地に降り立った陸自ヘリに、機材受け取りのためのトラックが近づく

photophotophoto 同乗したNTT職員と、待受けた自衛隊員により機材がトラックに積まれる

photo 設営ポイントまでは陸路輸送

 運搬された災害対策用ポータブル衛星通信は、災害時の臨時回線作成や特設公衆電話の設置が行える移動局。1局につき最大20回線の電話か、電話10回線+インターネット通信を収容できる。アンテナに「VoIP」とあるように、提供されるのはSIP方式のIP電話で、110番や119番、118番への通話も行える。NTT東日本管内には40局配備されているという。

photophotophoto 設営ポイントに機材が運ばれ、特設公衆電話の設置がはじまった

photophotophoto 避難所では、災害対策用ポータブル衛星通信と衛星携帯電話(ワイドスター)による特設公衆電話と、発電機とマルチチャージャーによる携帯電話への電源供給を開始。マルチチャージャーは、ムーバとFOMA(W-CDMA)を5台同時に充電できる。充電時間は約90分

 訓練ではこのほかに、NTTグループの持つ移動電源車や移動基地局車、災害対策用の速報システム、モバイル情報共有システムが展示された。

photophoto ドコモの移動無線基地局車「P-BTS」。コンサートや大規模見本市といったイベントのほか、災害時も基地局のバックアップとして出動するという。伸縮式のアンテナは、高さや向き、上下角度などを変えられる。FOMA端末であれば約1000回線を同時に収容できるという。全国にムーバ用とFOMA用を合わせて50台が配備されている

photophotophoto NTT東日本の移動電源車。荷台にエンジン発電機を搭載しており、燃料タンクも走行用と発電用の2つに分かれている

photophotophoto 同じく、NTT東日本の移動無線車。24口のコネクタを持つ分配器を使って、臨時の公衆電話を設置していた

photophotophoto ドコモのモバイル情報共有システム。官公庁や地方自治体の防災機関向けソリューションで、災害情報や参集指示などを専用iアプリをインストールした端末に配信できる。受信時にアラームがなるが、決められたキーを押さないと音が止まらないという仕様

photo NTTコミュニケーションズが提供する緊急地震速報システム。マグニチュードや震源からの距離をもとに、あと何秒で“ゆれ”が到達するかを予測することができる。残念ながら、直下型地震の場合は予測できないという

photo 災害用のクリーン電源「バテないくん」。大型のニッケル水素蓄電池で、数時間から数日間に渡って電力供給が行えるという。騒音や振動、排気などが出ないため屋内でも利用できる。スロットイン方式のバッテリーで、配線作業をせずに拡張することができる。写真のようなポータブルから、ラックサイズの大型のものまで対応する

 こうした連携訓練は、2004年10月に発生した新潟中越地震をきっかけに開始された。新潟中越地震の際には、自衛隊がNTTの要請で機材や燃料の搬送を行い、NTTは災害派遣部隊への通信回線を提供した。その経験から、相互連携の必要性を認識し、研究会や勉強会を発足したほか共同訓練も実施してきたという。2月9日には災害など、不測の事態が発生した場合でも、円滑に通信回線が確保ができるよう協定を結んでいる。

photophoto 訓練の概要や共同協定などについて説明する陸上自衛隊 防衛課長の秋葉瑞穂氏(左)と、NTT東日本 サービス運営部長の黒岩邦夫氏

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