「N902iX HIGH-SPEED」に次ぐドコモのHSDPA対応端末として登場した「F903iX HIGH-SPEED」には、「実際、どのくらいの速度が出るのか」という質問が多数寄せられた。
ドコモのHSDPAは、2006年8月にサービスが開始され、理論上受信最大3.6Mbps、送信384Kbpsの高速通信に対応する。ここではF903iX HIGH-SPEEDとN902iX HIGH-SPEEDを利用して、複数のほぼ同じ条件下で速度を計測してみた。
まずは端末単体利用時の通信速度を比較してみた。検証は時間帯と場所をすべて変え、4つのロケーションで行っている。受信は約2Mバイトのiモードコンテンツ(動画)のダウンロードについて、受信開始操作から保存確認画面までの時間をストップウォッチで手動計測。送信は約490Mバイトの静止画像を添付したiモードメールについて、送信開始操作から送信完了画面が表示されるまでの時間を同様に手動計測した。
計測は原則3度ずつ行ったが、明らかに平均的な送受信速度から外れた結果は排除している。電波状態などが理由で送受信の開始に異常に時間がかかったり、明らかに送受信が中断している場合なども見受けられたためで、3回ずつという決して多くない回数の計測にこれを含めると、比較が不平等になってしまうからだ。
表は通信速度に換算済みだが、送受信に要した時間には、操作を開始してから送受信が開始されるまでの時間も含まれるので、実際の通信速度はもう少し速いと思っていい。特に送信は送信開始操作から5〜6秒経過してから実際に送信が開始されるので、純粋な通信速度はもっと速いはずだ。
受信速度は平均値でおおむねF903iX HIGH-SPEEDが上回っているが、どちらかいうとバラツキが少ない点に注目したい。やはりサービス開始から一定の時間が経過しているので、実環境に合わせたチューニングが進んでいるのかもしれない。
送信についてはN902iX HIGH-SPEEDが上回った。もっともこれは操作を開始した直後や通信終了後の画面遷移が、N902iX HIGH-SPEEDの方が速い点も影響すると思われる。どちらかというとN902iX HIGH-SPEEDの方が動作がキビキビしている印象で、体感的でもN902iX HIGH-SPEEDの方が速い印象を受ける。
端末をPCに接続し、モデムとして利用するインターネット接続は、端末単体利用時の4つのうちの3つのロケーションで計測した。ISPには「mopera」を利用し、「FOMA通信設定ソフト」を利用してW-TCPを有効に設定。通信速度の計測は、送受信速度をまとめて計測できる「speed.rbbtoday.com」を利用した。
傾向は端末単体利用時と似ている。受信はF903iX HIGH-SPEEDがおおむね高速だが、送信はN902iX HIGH-SPEEDの方が高速。F903iX HIGH-SPEEDの方が受信時のバラツキが少ない点も端末単体利用時と似ている。
今回は深夜早朝など、あえてトラフィックが少ない時間帯を狙わなかったこともあり、N902iX HIGH-SPEEDの検証時ほどの高速な結果は得られていない。しかし日中や夕方でも通常のW-CDMA端末の理論上の限界値である384Kbpsを余裕で越える受信速度を記録しており、あえて比較をする必要すらないほど高速だ。なお屋外での計測では日中でも1530Kbps程度の受信速度を確認している。
現時点でライバルのN902iX HIGH-SPEEDと比較すると、F903iX HIGH-SPEEDの通信速度が格段に高速という傾向は見られなかったが、後発の端末だけに安定度が増している印象を受ける。通信速度の違いでどちらを買うか選ぶというほどの差は出なかった。
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