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» 2007年05月22日 14時23分 公開

「auはちょっと隠れるが……」――他社ブランドで勝負する“MNP2.0”

auの夏モデルは、「EXILIMケータイ」「ウォークマンケータイ」など他社ブランドを前面に出した商品をラインアップ。42ものファッションブランドと共同で、オリジナルの携帯グッズも販売する。

[岡田有花, 宮本真希,ITmedia]

 auブランドで携帯電話事業を展開するKDDIは5月22日、今夏発売の新モデル15機種を発表した。ワンセグ携帯を7機種ラインアップし、うち2機種に防水機能を搭載。「EXILIMケータイ」「ウォークマンケータイ」とメーカーブランドを前面に打ち出した機種をそろえ、42のファッションブランドともコラボレーションする。

 「新機能やサービスだけでなく、ライフスタイルに溶け込む携帯を提案したい」――同社の高橋誠コンシューマ事業統轄本部長はこう語る。生活に密着した機能を搭載したり、他社ブランドを活用することで“au携帯のある生活”をイメージしやすくし、ブランドイメージの向上と新たなユーザー層開拓につなげる狙いだ。

他社ブランドを立てる

 他社ブランドのモデルは、ソニーの「ウォークマンケータイ」(W52S)、コンパクトデジカメのブランドを冠したカシオの「EXILIMケータイ」(W53CA)の2機種。「音楽やデジカメが前面に出て、auはちょっと隠れる形。主役と脇役が逆転するように見えるが、他社のブランドを立てることで、“au以外”の入り口を作りたい」と高橋氏は言う。


画像 ウォークマンケータイ「W52S」
画像 EXILIMケータイ「W53CA」

 他社ブランドを立てる試みとして「IENA」「HAKKIN.it」「ABAHOUSE」など42のファッションブランドと共同で携帯ケースを開発し、ECサイト「auショッピングモール」で販売したり、ブランドがデザインした待ち受け画面などを提供する「mobile fashion」を展開する。一部商品は、各ブランドの実店舗で展示。au携帯とファッショナブルなイメージを結び付ける。


画像画像画像 発表会場では、携帯電話をスタイリッシュなディスプレイに調和させる展示も

ワンセグで「テレビ局にラブコール」

 ワンセグ携帯は、7機種ラインアップし、同社のワンセグ携帯は計21機種になった。「これはテレビ局への強烈なラブコール」と高橋氏はアピールする。

 ワンセグ携帯のPRにも他社ブランドを活用する。防水機能付き「W53SA」「W52A」は、前者がバスタイムに楽しめる携帯として、雑貨店「Francfranc」の入浴グッズブランド「LoveSpa」に、後者がインテリア雑誌「ELLE DECO」がプロデュースしたカフェに取り入れられる予定だ。

GPSとFeliCaを強化

 サービス面では、GPSとFeliCa機能を強化した。GPS機能は、au基地局を経由せず、GPS衛星から直接位置情報を取得できるようにし、携帯のエリア外でも利用可能になった。

 GPSを搭載した11機種には、全国の避難所を確認できる地図を無料でプリセットした。現在地から自宅までの徒歩ルートを確認できる「帰宅支援マップ」(有料)も新たに利用可能になった。

 FeliCa対応機種では、アドホック通信機能を利用し、端末同士を触れさせるだけでメッセージのやりとりができる機能「Touch Message」を新たに搭載した。「FeliCa機能で他社に先駆けるのは初」という。

“MNP2.0”へ

画像 HAKKIN.itがau携帯向けに開発したケースを持つ高橋氏

 同社は番号ポータビリティ(MNP:Mobile Number Portability)商戦で一人勝ちしてきた。敗者とされるNTTドコモは「DoCoMo2.0」というキャッチフレーズで反撃を打ち出し、大規模なキャンペーンを展開。“勝者”auに挑む姿勢を鮮明にしている(関連記事参照)

 ドコモの動きについて問われた高橋氏は「Webの世界は1.0から2.0に進化した。以前はみんなが同じポータルを見ていたが、今は個々の価値観によってコンテンツへの入り口が異なる時代に変わっている」と指摘。携帯も、デザイン、機能、ブランドなどで多様なニーズに応え、個々のユーザーの価値観に合わせる必要があると語った。「ユーザー1人1人に『私が主役』と思ってもらえる携帯にしたい」

 MNPについては「いい成果は残せたが、守りに入るつもりはない」との姿勢だ。「最近は新機種やサービスがあまり出せていなかった。夏に向けてMNPをもう1度動かしたい」

 これまで同社の新機種発表会では小野寺正社長が壇上に立っていたが、今回は姿を見せなかった。それについて問われた高橋氏は「役不足ですみません。特に深い意味はないのですが……」と述べた。

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