あしたの私のつくり方「あなたは誰ですか?」Mobile&Movie 第260回

» 2007年05月25日 17時57分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名あしたの私のつくり方
監督市川準
制作年・製作国2007年日本作品


 今回ご紹介する作品は、女子高生がメールのやりとりを通じて、友情を深めていく『あしたの私のつくり方』。いじめられがちな女の子に対して、元クラスメイトが“周囲から浮かないように”というアドバイスをメールで送ります。

 小学生の頃から、寿梨(成海璃子)はクラスで目立たない存在。学級委員を務め、クラスの中心にいた日南子(前田敦子)は、寿梨にとって憧れでした。しかし、ある時から急に日南子は女子の反感を買い、仲間はずれにされるように。いつからか寿梨は、自分がターゲットにならないように友達に合わせて、好かれるよう“役柄”を演じていました。

 小学校の卒業式の日に、思いがけず寿梨は日南子と言葉を交わします。誰もいない教室では、日南子と話せる寿梨。日南子は今の自分の境遇を“ニセモノの自分”と言い、かつて人気者だった頃が“ホンモノの自分”と打ち明けます。友達だけでなく、家族の前でも“ニセモノ”を演じている寿梨は、日南子の言葉に共感を覚えたのでした。母親(石原真理子)の前では、元気なしっかりモノの娘を演じていましたが、両親の不仲はとてもつらかったのです。

 中学に進学した後も、日南子は仲間はずれにされていましたが、寿梨が日南子と話す機会はありませんでした。小学校の卒業式の日には、たしかに心が通い合ったのに。皆に嫌われるのを恐れて、日南子に近づけなかったのです。

 やがて、高校へ入学した寿梨は、日南子が山梨へ引っ越したことを偶然知ります。たまたま日南子と塾が同じだったというクラスメイトから、日南子のメールアドレスを聞き出した寿梨。

 その夜、寿梨は日南子に携帯メールを送ります。

 「こんばんは」

 という言葉に対して、日南子から返ってきたのは

 「あなたは誰ですか?」

 という問いかけ。

 「私はあなたの友達です」

 と寿梨が送ると

 「私には友達はいません」

 という日南子の返事。中学時代、まったく口も聞かなかった負い目もあり、寿梨はとっさに間違いメールのフリをします。

 「ごめんなさい。私はコトリと言います」

 何とか自分の気持ちが届くようにと、寿梨は日南子にメールを送ります。

 「突然ですが、私はある友人と話をしたことで気持ちがラクになったことがありました」

 と卒業式の日を思い浮かべながら、寿梨は文字を打ち続けます。その友達とは“ヒナ”という女の子で、そのヒナ=日南子とコトリ=寿梨の物語を綴っていったのでした。

 最初は迷惑そうだった日南子も次第に、コトリに対して心を開いていきます。コトリは転校先では、“ヒナ”のように振る舞えばいいとアドバイス。奇数人数のグループに近付くこと、お弁当は分けられるおかずを持っていくこと、カラオケでは替え歌を披露すること、など細かく教えていきました。

 そんな寿梨のアドバイスのおかげか、日南子は転校した学校で人気者になり、見知らぬメール相手=コトリに日南子は何でも頼るように。頼られた寿梨は、嬉しくなり、さらに事細かな指示をメールで送り続けますが、そのうち日南子は“ホンモノの自分”とのギャップに悩み始めます。2人のメールのやりとりはいつまで続くのでしょうか? そして、寿梨が日南子に自分がコトリだと打ち明ける日はやって来るのでしょうか?

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