「Windows Mobile 6とマイクロソフトのサーバ製品とを組み合わせることで、端末管理やセキュリティポリシーを強化しながら、社内サーバへリンクさせるなどモバイル時の生産性向上を期待できる。また、リモートデスクトップモバイルに対応したため、端末をシンクライアント化することできる」(梅田氏)
なお、Windows Mobile 6に対応するサーバ製品の詳細については、後日あらためて発表されるという。
10年近く前にハンドヘルドPCの製品担当だったという佐分利氏は、「当時のビジョンは、Windowsの利便性を携帯性の高い機器に持たせること。想定ユーザーも、ビジネスユースのパワーユーザーやハイエンドユーザーに絞り込んできた」と振り返る。
国内では、2005年にウィルコムからシャープ製のWindows Mobile端末「W-ZERO3(WS003SH)」が登場し、続いて「W-ZERO3(WS004SH)」「W-ZERO3[es](WS007SH)」がリリースされた。3G網を使う製品では、NTTドコモのHTC製端末「hTc Z」、ほぼ同じ仕様のソフトバンクモバイル「X01HT」、イー・モバイルのシャープ製端末「EM・ONE」が次々と登場。5月22日には、ソフトバンクモバイルからWM6を搭載する東芝製の「X01T」とHTC製の「X02HT」の2機種が発表され、ウィルコムは6月7日にW-ZERO3シリーズ後継の新端末を発表する(6月6日の記事参照)。
複数のキャリア・メーカーから、Windows Mobile搭載機が相次いで登場したことでユーザー層も拡大。これまでのアーリーアダプター以外への普及も進んでいる。「昨年末から開始した“3×3戦略”が好調に推移している。これは、Windows Mobileの出荷台数を3年かけて毎年3倍ずつ増やしていく計画で、キャリアやメーカーの協力もあり、非常に順調だ」(佐分利氏)
もちろん国内だけなく、全世界でもWindows Mobileは好調だ。続いて登壇した米Microsoftモバイルコミュニケーションビジネス ジェネラルマネージャのトニー・メストレス氏は「3GSM World Congress 2007で発表したWindows Mobile 6は、柔軟な構造を持つ。我々の重要なパートナーである携帯キャリアや端末メーカー、ソフトベンダーはWM6を自由にカスタマイズでき、デバイスの選択肢を増やすことで、1つのプラットフォームでさまざまなユーザーエクスペリエンスを提供できる」とコメントした。
さらに、「現在、Windows Mobileは成長課程にある。昨年は代表的なスマートフォンであるBlackBerryを上回る規模で出荷できた。2006年度は600万台を出荷したが、2007年度は上半期だけで500万台以上の出荷を予定している。2008年度には2000万台以上を出荷する計画だ。Windows Mobileは、ITインフラの中で無くてはならない存在になるだろう」(メストレス氏)と、さらなる成長を予告した。
佐分利氏は「国内での具体的な販売目標はあるか」という質問に対し、「これまで、約150万人のアーリーアダプターをターゲットにしてきた。しかし、これから狙っていくマーケットは、より一般的なビジネス層やトレンドとデザインに敏感な層、法人需要など、今までの10倍で1500万人の規模。その10〜15%がターゲットになる」と述べた(佐分利氏)。
梅田氏は「国内で100万台の突破を目指す。スマートフォンは、ビジネスでもプライベートでも極めてパーソナルな存在。ビジネスとパーソナルをマネージする『ライフスタイルデバイス』という新しい存在として訴求したい」と意気込みを語った。目標100万台を販売経路で分けると、9(個人向け):1(法人向け)になる予測だという。法人向けが比率が小さいことについては、「一括導入の場合、提案から導入まで12から18カ月かかる。そのため、サーバ製品と組み合わせた大型案件が反映される前の数値で予測している」(梅田氏)と説明した。
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