韓国KTFがHSUPAサービスを開始

» 2007年06月15日 20時19分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]
photo KTFのHSUPA商用サービス10月開始予定。写真のようなUSBモデムを利用する

 韓KTFは6月14日、HSUPAネットワークの構築を完了し、接続試験に成功したと発表した。ネットワークが構築されたのは、ソウル・釜山・大田・光州・大邱といった韓国の主要都市。このエリアでは専用のUSBモデムをPCに接続し、HSUPAの上り最大1.45Mbpsという高速通信を利用できる。ただし、USBモデムはまだ試験機で、一般ユーザーがHSUPAサービスを利用するのはまだ先のことだ。

 KTFは2007年10月からHSUPAの商用サービスを開始するとアナウンスしており、エリアも他の主要都市や広域市(ソウル特別市に次ぐ広域の行政区域で、通常の市より規模が大きい)、その他の地域まで広がる予定だ。

 さらに2008年第1四半期には専用端末が登場し、首都圏および広域市で上り速度を5.76Mbpsに高速化。また2008年第2四半期には、郡部へとカバレッジを広げ、全国サービスを目指すという。KTFはこのサービスを「HSPA+(HSPA Evolution)」や「LTE」というように段階的に進化させる方針だ。

 KTFはHSUPA網の構築により、高速・高品質のデータサービスだけでなく、IMS(IP Multimedia Subsystems)基盤のコミュニケーション型複合サービスを強化したコンテンツを提供することになるという。

 具体的には、動画・写真の投稿サイトやブログ、ビデオ共有サイト、大容量ファイルのアップロード、高品質MMSやマルチメディアインスタントメッセンジャー、3Dオンラインゲームなど、スピードと帯域を必要とするリアルタイムコミュニケーションサービスを拡大提供する計画だ。

ライバル、SKTの動きは

 一方、ライバルのSK Telecom(以下、SKT)は、5月中旬にHSUPA網の構築計画を明らかにしている。6月中に釜山の一部地域でネットワークの構築を開始し、2009年までに全国へ拡大する予定だ。

 当初の上り速度は最大1.45Mbpsで、2008年にはエリアをソウルを含む首都圏へ拡大し、上り速度を5.78Mbpsまで高速化。その後、2008年中に全国23都市、2009年には84都市まで拡大する予定だ。

 SKTは、2007年10月に2MbpsクラスのUSBモデム、2008年2月に5.76MbpsクラスのUSBモデム、そして2008年第1四半期にはHSUPA専用端末を販売するという。

 現在公表されているプランでは、KTFの方がSKTよりもいち早く全国サービスを開始することになる。SKTはHSDPAの全国展開もKTFから遅れ、HSDPA加入者数でKTFに1位の座を奪われている。HSUPAサービスではKTFの動きにあわせ、ネットワーク構築を早めて対抗してくる可能性は十分に考えられるだろう。

 HSDPA・HSUPAの先行で勢いに乗るKTFだが、加入者数の維持はこれからが正念場だ。SKTの追撃も考えられ、ネットワーク構築後は加入者を逃さないような、魅力的なコンテンツ作りが課題になるだろう。

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