インタビュー
» 2007年06月28日 16時51分 公開

開発陣に聞く「810P」:内部はまるで“三次元テトリス”──“810P”の「フラットスライド」とは一体何だ (1/2)

ソフトバンクモバイルのパナソニック モバイル製3G端末「810P」は、国内では同社初となるスライドボディを採用した。ワンプッシュオープン機構搭載の折りたたみボディで多くのファンをつかんできた同社が、新機軸のスライドボディで目指すものは何か。この「フラットスライド」に込めた、同社ならではの工夫や意図を開発チームに聞いた。

[太田百合子,ITmedia]
photo ソフトバンクモバイルのパナソニック モバイル製端末「810P」。カラーは、ブロンズ、ターコイズ、ブラック、レッド、ホワイト、ピンク、ブルーの7色を用意する

 「“705Pより”薄くしたい。そこに、どう“P”らしさを出していくか」──。

 ソフトバンクモバイルのパナソニック モバイルコミュニケーションズ製端末「810P」は、上下がそのままずれる一般的なスライド形式とは異なる、「フラットスライド」という新機軸の構造を採用し、厚さ約12.9ミリの薄型スライドボディを実現した。それは、スライド型というより、ストレート型からダイヤルキーが飛び出してくるような──と例えたほうが分かりやすい形状だ。上下ボディの段差が2.6ミリほどしかないため、操作感もストレート型のそれに近いものになっている。

 「まず、705Pよりも薄くしたいという基本概念がありました」と語るのは、デザインを担当したAVCNモバイルグループコミュニケーションチームの北出克宏氏。そもそも薄かった「705P」より薄くするには──。そのために選ばれた形の1つがスライドだった。

 しかし、現在多くのメーカーがスライドボディを採用しているうえ、ソフトバンクモバイル向けにはSamsung電子製の「705SC」のような薄型を特徴にしたスライド端末もすでに存在する。そのため、後発となる同社にとって「他社とどう差別化し、“Pらしさ”を出していくか」がさらなる課題だったと商品企画グループ商品企画第二チームの山本英治氏は振り返る。

 スライドした際に上下のボディの間に生じる「段差」。開発チームはここに着目した。かねてから、スライド端末に生じる入力のしにくさに不満を抱いていたこともある。

 「この“段差”をできるだけ少なくするとどうか。差別化が図れることに加えて、なにより操作性が高まるではないか」(山本氏)というのが、開発の出発点になった。


photo 810P開発チーム。左からパナソニック モバイルコミュニケーションズ商品構造設計グループの齋藤英治氏、パナソニックデザイン社AVCNモバイルグループコミュニケーションチームの北出克宏氏、プロジェクトマネージャーの松本諭氏、商品企画グループの山本英治氏

“伸縮式のストレートケータイ”とも言える、パズルのような内部構造

photo 2つの箱が前後にずれる仕組みの一般的なスライド端末(奥)に対し、810P(手前)はボディが上下に“伸縮”するようにスライドする。これが上下の段差を極力抑え、使い勝手も損ねない新しいスライド構造「フラットスライド」

 厚さ約14.8ミリの705P以上に薄く、かつ段差を極力なくす手法として、構造設計を担当する齋藤氏から出されたアイデアが、今回採用された「フラットスライド」という構造だった。

 フラットスライドとは何か。齋藤氏はその内部構造を“三次元テトリス”と例えている。

 一般的なスライド形式の端末は、重なりあう2つの箱が上下にずれることでスライドする。一方の810Pのフラットスライド構造は、組み合わさった三次元的な凹凸が離れることでスライドする仕組みになっている。閉じるとこの各部品の凹凸がパズルのようにぴっちり隙間なく埋まる構造で、文字通りブロックが重なり合ったテトリスのような感じである。

 「本当にパズルのような構造なので、ほんの少し内部の部品の種類や位置を変更するだけでも1からすべてを組み替えなければならないほどシビアな挑戦でした。そのため、特にデザイン担当と構造設計担当の間では、何度も議論を重ねましたね」(松本氏)

photophoto スライド時は三次元的な“テトリス”のように凹凸が組み合わさる


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