インタビュー
» 2007年12月17日 12時00分 公開

アッカの強みは、インフラの提供だけにとどまらないこと──アッカ・ワイヤレス 木村社長石川温が聞く(1/2 ページ)

総務省が用意した2枠の割り当てを巡って、4社が名乗りを上げた2.5GHz帯周波数。オープンワイヤレスネットワークとウィルコムが“場外乱闘”を繰り広げる中、アッカ・ワイヤレスも周波数獲得に自信を見せる。

[石川温,ITmedia]

 かねてからモバイルWiMAX事業の参入を表明していたADSL事業者のアッカ・ネットワークス。総務省が2.5GHz帯周波数の割り当て方針を発表すると、無線事業を行う子会社アッカ・ワイヤレスを設立し、NTTドコモを筆頭に15社からの出資を受けて、免許の獲得に乗り出した。

 2.5GHz帯に用意された免許割り当ての枠は2つ。この枠組みを巡って4社が獲得合戦を繰り広げる中、アッカ・ワイヤレスはどんな点を差別化ポイントとしているのか。アッカ・ワイヤレス代表取締役社長の木村正治氏に、同社が考えるモバイルWiMAXの世界について話を聞いた。

インフラだけ提供して終わりではないのがアッカの強み

石川温(以下石川) 周波数の割り当ては2枠なのに対し、4社が名乗りを上げています。先日の公開討論会でも議論になっていましたが、改めてアッカ・ワイヤレスの強みはどこにあるのかお聞かせ下さい。

Photo アッカ・ワイヤレス 代表取締役社長の木村正治氏

木村正治氏 我々としては、いくつかのポイントがあると思っています。まず、アッカ・ワイヤレスは日本に、これまでにはなかった新しい通信事業モデルを持ち込むつもりであるということ。それにより、競争を前提にしたサービスの向上、価格の低減を図っていきます。これまでのように3Gの事業者中心で、縦型の垂直統合のビジネスモデルにはならないというのが、われわれが目指している事業の重要なポイントだと言えます。

 また水平分離やMVNOという議論が盛り上がっていますが、ただインフラだけを提供しても、ビジネスとして世間では受け入れられません。オープンな環境を提供しつつ、それが世の中で浸透するにはどうすればいいのか、という課題があります。我々が注力しているのはエコシステムの構築です。パートナー企業にモバイルWiMAXを使ってもらえるように、事業分野での協業を強化していこうと思っています。

 端末開発においても、(3G事業者のように)機器ベンダーを中心には考えていません。チップや端末などを、ある業界に特化してしまっては拡がりが出ません。モバイルWiMAXは、グローバルスタンダードですから、特定の会社と最初から組んでやる必要はありません。オープンに、その時点に最適な技術を採用していきます。(3Gのように)もともと技術がないところで、新たに開発をしていく必要がある場合は、特定の企業と一緒にやっていくこともあり得ます。しかし、モバイルWiMAXの場合は、日本だけでなく、世界的な視点で見て、可能性が高い技術のある企業と組んでことになると思います。

アッカ・ワイヤレスにおけるドコモの役割は

石川 NTTドコモがアッカ・ワイヤレスに出資し、技術支援を行うことが明らかにされていますが、ドコモの役割はどうなっているのでしょうか。

木村氏 NTTドコモには本気でWiMAXに取り組んでもらっています。ドコモは無線事業の実績があります。また無線だけでなく、アンテナの設置に関するノウハウなども持っています。無線技術に関する全般的なスキルは相当なものがあるので、それらを生かしたサポートしてもらいます。また、国内最大の無線事業者ですから、セールマーケティングの部分でも支援してもらいたいと思っています

石川 もし免許が取得できた場合、アッカ・ワイヤレスの中で、NTTドコモの存在感は大きくなっていくのでしょうか。

木村氏 それは変わらないと思っています。継続的な技術支援は必要だと感じていますが、営業の面では、幅広いエコシステムを想定しているので、ドコモにべったりという部分はないでしょう。ドコモの開発力によって、新しい分野への取り組みは一緒にやっていきたいですが、その一方でMVNOにも積極的に取り組んでいきます。

石川 総務省としては、新規参入を後押ししたいという考えがあるはずです。御社単独での免許申請ならば、新規参入に太鼓判を押せたようにも思えるのですが、最終的には、日本で最大の無線事業者であるドコモが背後についてしまいました。ドコモと組むことで、アッカ・ワイヤレスにマイナスの面などはないのでしょうか。

木村氏 よく聞かれる、2つの質問があります。「ドコモは本気なのか」という点と、「アッカはドコモに食われてしまうのではないか」という点です。

 我々は、一番最初のスタンスとして、中立な新規事業という立場を主張しています。この立場を頑張りながら、でも、ドコモには最大のサポートをもらい、何とか食べられないようにしていきます。その認識をドコモにも理解してもらっています。経営母体についても、アッカ・ネットワークスが主導していくことは、ドコモと文書を含めて取り交わしています。

 ドコモには、技術的な支援をしてもらいつつ、立場はしっかりと尊重してもらっています。ドコモの中村(維夫)社長もモバイルWiMAXを本気でやることを対外的に発言されています。そのあたりは両立できると思っています。

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