連載
» 2007年12月21日 10時50分 公開

小牟田啓博のD-room:第15回 ケータイ、ラジコン、行政の仕事――2007年を振り返って

数々の端末を世に送り出してきたデザインプロデューサーの小牟田啓博氏が、日常で感じたこと、経験したことを書き綴る「小牟田啓博のD-room」。今年最後は、ケータイ業界の動向から、生まれて初めて触れたラジコンのことまで、この1年を振り返る。

[小牟田啓博,ITmedia]

 こんにちは。小牟田です。今年もあっという間に年の瀬を迎えました。 年末の忙しい時期だろうと思いますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 さて今回は、今年1年を振り返って感じたことをまとめてみたいと思います。

振り返ればいろいろあった2007年。僕が感じたこと総集編

 いやぁ〜本当に、今年はいろいろと有意義な経験をたくさんさせていただきました。

 ざーっと振り返ってみると、武庫川女子大学で先生の経験をさせていただいたり、生まれてはじめてラジコンと付き合い始めたと思ったら、今では合計8台所有するラジコンマニアになってしまったり……。

 後半は講演の仕事も多くなり、熊本大学や京都工芸繊維大といった大学をはじめ、石川県金沢市デザインセンター主催の講演、富山県高岡市では経産省主催の講演、ファッション協会(日本流行色協会)主催の講演などが続きました。

 また、夏から取り組んできた仕事として僕の愛する地元の神奈川県相模原市で、行政の仕事に携わるご縁にも恵まれました。

 ケータイ業界に目を向ければ、今年はワンセグ端末を皮切りにいろいろな動きがありました。何といっても今年はソフトバンクモバイルの台頭が、大きなトピックだったのではないでしょうか。

 「PANTONE」はボディーカラーの20色展開という、業界のタブーとも言えるカラーバリエーション展開で度肝を抜かれましたし、夏モデルの「FULLFACE 913SH」や「fanfun. 815T」、さらに冬モデルの「MIRROR 821P」「THE PREMIUM」など、個性的でデザイン的に優れたモデルが多数ラインアップされました。

 ちなみに、僕は「THE PREMIUM 820SH」の発売翌日、ブラックに機種変更しました。

 NTTドコモは春先にスタートした「ドコモ 2.0」キャンペーンでド派手な演出を行い、904iシリーズのインパクト感のあるデビューが印象的でした。その後、冬モデルでは905iシリーズをはじめ、ラインアップ全体に充実感が出てきて、ドコモユーザーの皆さんにはうれしい年末を迎えられているのではないでしょうか。

 一方のau(KDDI)は、残念ながら失速感を正直感じる年の瀬になってしまいました。しかし、「INFOBAR 2」を登場させたあたりは素晴らしいことだなと感心しています。とくにそのデザイン面を見ると、さすがにしっかりとハードを造り込んで、なかなかよい出来かなと思っています。

 もう1つ、僕にとってもそうですが、業界全体に対しても皆さんにとっても「iPhone」のインパクトは相当なものがあったのではないでしょうか。まぁ、その後「iPod touch」が発売され、iPhoneの国内販売を待たずして満足しちゃったアップルファンも多かったみたいですけどね。

 さらに、子供向けケータイやシニア向けケータイの市場も本格化してきました。市場が飽和した感もありますが、多様化するニーズの中でデザインの重要度はますます増してくると思われます。

 もっともっとオリジナリティのあるデザインの登場を、来年には大いに期待したいところです。

「学生たちと」「ラジコンとの出会い」「行政の仕事」を体験

 今年僕は生まれて初めて、授業を受け持つという体験をさせていただきました。武庫川女子大学の授業の様子は、前の連載をぜひご覧ください。

 以前から大学に呼ばれ、スポットで講演する機会は度々あったのですが、授業というのは初めてのことで、最初はどうしてよいものやらといった感じでした。

 でも、僕の役割としてモノ作りの素晴らしさを、少しでも今の若い人たちに伝えていければと思って取り組んだ結果、集中講座という短期間の授業だったにも関わらず、今でも数名の学生と連絡をとるほどコミュニケーションが図れています。

 彼女たち以外にも、京都工芸繊維大や熊本大の学生とはmixiでつながっていたり、小牟田個人としてはそういった後々のやりとりに喜びを感じつつ、つくづくテクノロジーの進歩にも感謝をする日々です。

 初体験といえば、今年はラジコンのインパクトも僕にとっては相当デカかったのです。

このモデルは「ヨコモ・ドリフトパッケージ」と言って、業界ではブームになっているめちゃめちゃカッコ良くって面白いラジコンカーです

 もともとは僕がKDDIから独立し、ラジコン関連の仕事をいただいたご縁がきっかけでした。せっかくの機会だからと、まったくの初心者だった僕がいくつかのキットを組んでみたのが運のつきでした。このあたりも過去の連載をご覧ください。

 大手ラジコンチェーンの店長さんたちとも、「どうも! 今日はどうしました?」なんて声をかけられるくらい仲良しになったり、茨城にある谷田部アリーナという日本随一のラジコンサーキットの所長さんとは今ではメル友です。さらには、ラジコンカーの世界チャンピオンとも話をさせていただくまでにハマりまくっている小牟田です。

 ラジコンについては、かなり楽しくハマっいるので、これからはそれを生かして業界に必ずや何かしらのムーブメントを起こしていきたいと現在画策中です。こちらもぜひお楽しみに!

 最後に、今年の僕が最も面白かった仕事の中で上位に位置するのが、この行政の仕事でした。

 僕の地元である神奈川県相模原市では、政令指定都市を目指していろいろな取り組みをスタートしています。それを“ポスターとしてまとめて表現してもらえないか”、というのがその主旨です。

 ケータイでも、モバイルでもなんでも、僕はカラーとヒトを結びつけることを得意中の得意としていますから、このポスターではカラーをふんだんに使った表現で、インパクトのあるメッセージを完成させました。

 とくにこれといった観光も名所もない相模原。だけども自然には割りと恵まれた相模原。愛すべき自然も住みよい環境を作るのも、すべてはヒトだろう! ということで、主役はヒト、それを色で表現したのが、3種類のポスターです。

1つ1つでも完成していて、3つがそろうと強烈なインパクトになるというメッセージ。“センスの良い街作りの1つとして貢献できれば”という思いを込めています

 相模原のテーマカラーであるグリーンと、市内3つの湖と相模川をブルーで、さんさんと降り注ぐ太陽をオレンジでそれぞれ表現しました。また同時に、グリーンはヒトとして本質的な豊かさを、ブルーは知性とセンスを、オレンジはパッションをそれぞれ表現していて、すべて主役であるヒトのシルエットで構成したデザインに仕上げてみました。

 今回のデザインは、相模原以外の自治体からも注目していただいています。環境作りといったビジネス面だけでなく、ヒトの生活を向上させるイメージづくりそのものを強く意識しているわけですが、こういったジャンルにもデザインって不可欠なのだなぁと、改めて実感しました。

 今年も残すところあとわずかとなってきました。来年も年明け早々からいろいろな話題を幅に広げて連載をお届けしたいと思いますので、どうぞ皆さんお楽しみに。それでは良いお年をお迎えください。

PROFILE 小牟田啓博(こむたよしひろ)

1991年カシオ計算機デザインセンター入社。2001年KDDIに移籍し、「au design project」を立ち上げ、デザインディレクションを通じて同社の携帯電話事業に貢献。2006年幅広い領域に対するデザイン・ブランドコンサルティングの実現を目指してKom&Co.を設立。日々の出来事をつづったブログ小牟田啓博の「日々是好日」も公開中。国立京都工芸繊維大学特任准教授。


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