NTTドコモは12月15日、同月18日に施行される「スマートフォンソフトウェア競争促進法(いわゆるスマホ新法)」に合わせ、同社が販売するスマートフォンにおいて、利用者が使用するブラウザや検索サービスを自ら選択するための画面、「チョイススクリーン」の表示を開始すると案内した。
スマホ新法は、モバイルOSやアプリストア、ブラウザ、検索エンジンといった、スマートフォンの利用に必須となるソフトウェアを「特定ソフトウェア」と定義し、その提供者による競争制限を抑制することを目的としている。長年問題視されてきた少数事業者による寡占状態を和らげ、複数の事業者が参入しやすい環境を整備することで、サービスの選択肢を増やし、品質向上につなげる狙いがある。
新法の施行に伴って導入されるチョイススクリーンは、その象徴的な仕組みとされ、端末の初期設定時やソフトウェアアップデートの後に、必ず利用者の選択を促す画面が表示されるようになる。
NTTドコモの案内によると、チョイススクリーンが表示される具体的なタイミングや挙動は、搭載されているOSによって異なる。Android端末においては、「Android 15」以降を搭載した機種が対象となる。端末を購入した直後の初期設定フローの中で表示されるほか、既存の端末であってもソフトウェアアップデートを行った後に通知が表示され、その通知をタップすることで選択画面が起動する。画面上には、主要なブラウザアプリや検索エンジンがリスト形式で並び、ユーザーはその中から任意の1つを選択することになる。
一方で、iPhoneにおける対応について、NTTドコモは「現在情報準備中」とした。
今回の仕様変更に伴い、特定のセキュリティサービスを利用しているユーザーには特別な注意が必要となる。NTTドコモは、「あんしんフィルター for docomo」を利用している顧客に対し、チョイススクリーンの設定に関して個別の注意事項があることを告知している。あんしんフィルターは、青少年のスマートフォン利用において有害サイトへのアクセスを制限する重要な機能だが、ブラウザや検索エンジンの選択によっては、フィルタリング機能が正しく動作しない、あるいは設定手順が複雑になる可能性があるためだ。
スマホ新法について案内を行う動きはNTTドコモに限ったものではない。KDDIもまた、12月2日に自社サイトにおいて同様の重要なお知らせを公開しており、au、UQ mobile、povoといった同社ブランドの利用者に向けて、ブラウザと検索エンジンの選択が必須化されることを説明している。
NTTドコモは「チョイススクリーンの操作方法や制度に関するお問い合わせは、以下の専用窓口までご連絡ください」としており、操作や詳細確認のサポートを公正取引委員会に事実上任せた。
公正取引委員会は、この制度に関する特設サイトを開設するとともに、一般消費者向けの相談窓口(0120-009-668)を設置している。平日10時から17時まで電話での相談を受け付けているほか、Web上の問い合わせフォームも用意されており、操作方法や制度の趣旨について不明点がある場合は利用が可能だ。
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