タッチレガートセンサーとモーションセンサーで実現した“新しいUI”開発陣に聞く「FULLFACE 2 921SH」(1/2 ページ)

» 2008年03月17日 12時00分 公開
[園部修,ITmedia]

 閉じた状態ではすべてのキーが隠れ、表に出ているのはディスプレイだけ──。そんな独特のスタイルで登場したフルフラット、フルスライド端末「FULLFACE 913SH」の登場から約8カ月。シャープはフルスライド端末の第2弾として、ハイエンド端末にふさわしい高機能を詰め込んだ「FULLFACE 2 921SH」を開発した。

 FULLFACE 2 921SHの魅力は、FULLFACE 913SHではAV関連機能やカメラ機能にとどまっていた“閉じた状態”での操作を、文字入力以外のほとんどの操作に拡大した点にある。細かなスペックも、先に登場したAQUOSケータイ第4弾「920SH」に引けを取らないレベルまで強化され、フルスライドの最上位モデルとして申し分のない性能を備えた。

PhotoPhotoPhoto 「FULLFACE 2 921SH」のボディカラーは左からライトブルー、ゴールド、ピンク、ホワイト、ブラック

 そんなハイエンドフルスライド端末FULLFACE 2 921SHは、どのようにして生まれたのか。シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業本部 商品企画部 主事の後藤慎一氏に開発陣の思いを聞いた。

Photo シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業本部 商品企画部 主事の後藤慎一氏

真のハイエンドフルスライドに進化したFULLFACE 2

 「今回のFULLFACE 2 921SHは、前モデルとなるFULLFACE 913SHからさまざまな部分を強化し、真のハイエンドモデルとして商品化しました」(後藤氏)

 FULLFACE 2 921SHの商品企画を担当した後藤氏は、その出来のよさに自信を見せる。913SHで初めて挑戦したフルスライドという形状をベースに、機能面を大きく進化させ、使い勝手も大幅に向上させた921SHは、形状こそ913SHと似ているが、機能や操作感はまったく別物と言っていいほど強力になっている。

 初代フルスライド端末913SHは、900番台の型番がついたモデルだが、同時期に登場したAQUOSケータイ「912SH」と比べると、スペック的にはややミッドレンジモデルに近いものだった。ディスプレイは2.8インチと当時としては大きめだったものの、解像度はワイドQVGA(240×400ピクセル)どまり。必須機能のFeliCaやワンセグ、高速通信が可能な3Gハイスピードには対応していたが、カメラはパンフォーカスタイプの有効200万画素CMOSと、ややもの足りなさがあった。

 しかし921SHでは、これらの不満をすべて解消している。ディスプレイは3.2インチに大型化した上、最新のリフレクトバリアパネルを採用したNewモバイルASV液晶を採用。解像度もフルワイドVGA(480×854ピクセル)となり、精細な表示が可能になった。カメラはオートフォーカス付きの320万画素CMOSへと強化されている。

縦、横、斜め、自在な操作が可能なタッチレガートセンサー

 さらに913SHではAVメニューしか利用できなかったタッチセンサーを改良し、新たに“タッチレガートセンサー”として、文字入力以外のほとんどの操作ができるようにした。

 「“レガート”には『滑らかな』という意味があります。なぞり操作を実現したことから、タッチセンサーではなくタッチレガートセンサーと名付けました。このおかげで、基本的にスライドを閉じたままでもほとんどの操作が行えるのです」(後藤氏)

 このタッチレガートセンサーは、四隅に青い点を備えた長方形のエリアになっている。タッチ操作をする場合は左上が左ソフトキー、右上が右ソフトキー、左下がショートカットキー、右下がクリアキー、中央が決定キーになっているので、目的の部分を軽くタッチすればいい。キーの割り当ては、端末をどの向きに持っていても変わらないのが物理キーと比べて優位な点だ。またなぞり操作をする場合は、センサーの範囲内で目的の方向へ指を動かすだけでいい。

 タチレガートセンサーで、十字キーと左右のソフトキー、決定キー、クリアキー、ショートカットキーが代用できるため、端末を閉じた状態でもほとんどの操作ができるわけだ。ちなみに913SHでは、メディアプレーヤー、カメラ、ワンセグ、写真の一覧表示ができる程度だったが、921SHではこれら4つの操作に加えて、Yahoo!ケータイやPCサイトブラウザ、ドキュメントビューアを利用した閲覧、メールの確認、電話帳の閲覧と発信、電話の受話と終話、メールの確認、その他のメニュー操作などが可能だ。メールを閲覧中にページ送りをしたり、戻したりもできる。

 また、端末を開いた状態では、タッチレガートセンサーと十字キーを組み合わせた操作も可能になる。例えばPCサイトブラウザでWebサイトを閲覧中に、タッチレガートセンサーでページを任意の方向に移動してから、十字キーで目的のリンクにカーソルを合わせてクリックする、といったことができる。Adobe Acrobat ReaderでPDFファイルをつかんで動かすような操作ができるわけだ。

 「ユーザーが快適に使えないといけないので、それぞれのタッチのエリアやセンサーの感度、ブラウザを使うときのポインタの動きも、指の動きと画面上の動きの比率をどれくらいにするのがいいのか、といった調整を最後の最後まで行いました。本当に開発が間に合うギリギリのタイミングまで試行錯誤をしていたんです」(後藤氏)

 ちなみにこのタッチレガートセンサーは、常に動作していると誤動作の原因にもなりうる。しかし、いつ動作しているのか分からないのでは、使い勝手が悪い。そのため、右側面にある[SENSOR]キーを押すことで機能がオンになるようにしている。センサーが利用できないときは、タッチセンサーは消灯する。

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