“健全”な携帯サイト認定機関設立 6月後半にも認定スタート

» 2008年04月08日 17時44分 公開
[宮本真希,ITmedia]
画像 長谷部恭男東京大学教授

 “健全”な携帯電話向けサイトを認定したり、認定したサイトの監視を行う民間の機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(EMA)が4月8日発足し、会員の募集を始めた。今後、認定基準を策定し、早ければ6月後半から認定を始める。携帯サイトの利用に関する子ども向けの啓発活動や教育プログラムの普及にも力を入れる。

 携帯・PHS事業者、ディー・エヌ・エー(DeNA)やドワンゴなど携帯サイトを運営する企業、日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本インターネットプロバイダー協会、大学教授など、100の個人・団体・企業が発起人となり、設立した。4月30日に開く設立総会で運営体制を発表する。

 5月29日までに、健全な携帯サイトを認定するための基準を策定し、早ければ6月後半から認定を始める見込み。認定は、学識経験者5人からなる「審査・運用監視委員会」が行う。

 認定されたサイトには専用のマークを掲載してもらい、1年ごとに更新する。ユーザーからの通報も受け付け、基準が守られているかどうかを監視していく。EMAの運営費は、会員が支払う入会金や会費、サイトの認定料などでまかなう。

 携帯・PHS事業者は、18歳未満の加入者について、フィルタリングサービスに原則加入してもらう方針だが、EMAは「フィルタリングは、青少年の自己表現に利用できるサイトや親子や友人間のコミュニケーションツールなど、有害でないサイトも一律に制限する」と指摘。EMAがサイトの健全性を認定することで、有用なサイトをしゃ断しないフィルタリングサービスの構築につなげる狙いだ。

画像 スケジュール

 携帯サイトの利用に関する青少年向け教育プログラムの普及にも努める。EMAの設立を企画したモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)の岸原孝昌事務局長は「フィルタリングだけでは青少年を保護できない。青少年が自己の判断と責任で携帯サイトを健全に利用できるよう、教育・啓発活動にも力を入れていく」と話した。

 教育プログラムを実施することなどを認定基準に盛り込む予定で、例えば、コミュニティーサイトで教育プログラムを受けたユーザーはアバターがもらえる――といった展開を想定している。

 いわゆる「有害サイト」を規制する新法を、議員立法で制定しようという動きも出ている。EMA委員の長谷部恭男東京大学教授は「法的な規制をかけて悪いサイトを排除しようとしても、法の目をかいくぐろうとする人が出てきて、いたちごっこになる。民間のノウハウや自主的な取り組みを育てていくことを、まずは考えるべき」とし、EMAの存在意義を強調した。

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