「新ドコモ宣言」で長く愛されるドコモに――ドコモの中村社長

» 2008年04月18日 21時23分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo 新ロゴを披露するドコモの中村維夫社長。「ロゴは優しさや絆といったヒューマンな言葉と、明日への可能性といった未来感の両方を満たすデザインとし、ダイナミックさや躍動感、暖かみを感じさせる“ドコモレッド”をコーポレートカラーとした。我々はこのCIのもとに変わっていく」(同)

 「販売奨励金で安く売る時代は終わった。変化する市場環境の中で、われわれは顧客とどう向き合って行くべきなのか」――。この回答とも言えるのが「新ドコモ宣言」だ。

 NTTドコモの中村維夫社長は4月18日、新たなコーポレートロゴを発表するとともに、同社が今後、一丸となって進めるマーケティング戦略について説明。「ドコモは今後、さまざまな意味において新しく生まれ変わる」と強調した。

 ドコモが新たな取り組みに乗り出す背景には、市場の飽和や新規キャリアの参入、番号ポータビリティや割賦販売などの新制度導入などを要因とする競争環境の激化がある。国内の契約数が1億を超える現状では、普及期ほどの新規契約の増加が期待できず、新規参入キャリアの参入で顧客の争奪戦が激化。こうした環境下で始まった番号ポータビリティの導入でドコモは出遅れ、市場シェアを低下させる結果となった。こうした事態に「ドコモのブランド力の危機だと感じた」(中村氏)ことから、打ち出したのが「新ドコモ宣言」というわけだ。

 この宣言はCI(Corporate Identity:企業イメージ確立戦略)から社内体制の見直し、製品・サービスの再検討など幅広い分野にわたる改革を目指すもので(1)ブランドを磨き直し、顧客との絆を深める(2)顧客の声をしっかり受け止め、その期待を上回る会社に変わる(3)イノベーションを起こし続け、世界から高い評価を得られる企業を目指す(4)活き活きとした人材であふれ、同じ夢に向かってチャレンジし続ける会社になる――の4点を柱に顧客満足度を高めるための取り組みを行う。


 ドコモではこの宣言の策定にさきがけて、2007年8月にドコモブランドの強化を目指して「コーポレートブランディング本部」を設置。事業提携で縁のあった日本コカ・コーラの魚谷雅彦会長の協力を得て、顧客の声やマーケットデータから、改めて顧客との関わり方を見直した結果、「携帯電話はキャリア主導の時代からユーザー主導の時代に潮目が変わった」という結論にたどりついたという。

 「(携帯市場は)ニーズの多様化に加え、技術的な差別化も難しい状況になっている。ユーザーも、技術や機能より、デザインやネットワーク、料金、店頭での対応などでキャリアを選ぶようになっており、ユーザーの個々のニーズにきちんと対応することが大切になってきた。これからのドコモは新規獲得のみに注力するのではなく、契約してもらっている顧客の期待に応えることを最優先課題とする」(中村氏)

 ドコモはこれまでにも、新たな販売モデルや生活インフラサービスの提供、割引サービスの提案、生活インフラとしてのサービスの提供を行ってきたが、これに加えて今後は運営体質の見直しやネットワーク品質の改善、端末価格の低減化にも注力する考え。社内体制についても、第2四半期をめどに全国9社体制のドコモを1社化し、全国統一で高品質な顧客サービスを提供することを目指す。また、戦略の主軸となるマーケティング部門は、各事業部門ごとに設置していたものを1つの組織に集約し、統合的なマーケティング活動を進めるという。「1つ1つの施策が、着実に顧客満足度を高めるのに効いてくると信じている」(中村氏)


“新ドコモ宣言”がもたらす効果

Photo ドコモ コーポレートブランディング本部の荒木裕二副本部長

 「ブランドに対するロイヤリティを高めることが、顧客の囲い込みや新規契約の開拓、利用促進による収益面での効果を期待できる」――。こう話すのは、ドコモ コーポレートブランディング本部の副本部長を務める荒木裕二氏だ。

 ドコモが行った調査によれば、ロイヤリティが高いユーザーや契約年数が長いユーザーほど他キャリアに移る意向が低く、荒木氏はロイヤリティを構築することが解約率の低減につながると見る。さらにこうしたユーザーが周囲のユーザーにクチコミでドコモの良さを伝えてくれるケースも多く、新規契約を呼び込む効果も期待できるという。「加えて、ロイヤリティが高い顧客ほど、端末のさまざまな機能やサービスの利用率が高いことが分かっており、ARPUの向上や周辺サービスの利用といった利用促進効果も見込める」(荒木氏)。

 荒木氏はまた、4つの宣言の具体策にも言及。2008年秋に立ち上げた業務見直しプロジェクトの議論を通じて策定した、具体的なアクションプランを明らかにした。



 1つは携帯電話の安全な利用に向けて学生向けに展開している「安全教室」の拡張。2007年の実績で2400の学校の40万人が受講するなど好評だったことから運営体制を強化する。「教職員や学校関係者がクラス単位で運営できるよう、DVDのツールを作成するなどメニューを増やす」(同)

 2つ目は顧客窓口の対応強化だ。代理店やインフォメーションセンターなどに寄せられる問い合わせについて、高度で複雑な問い合わせに誰もが円滑に対応できるよう、フロントに対するサポートを強化する。

 3つ目として挙げたのは、顧客のニーズに合わせた端末ラインアップの見直しやカスタマイズの推進、操作面での改善。個々のニーズにあったサービスの提供を目指して、マイメニューとマイボックスの統合・改善を図り、生活行動支援サービスも導入する計画だ。

 FOMAのエリア品質については、さらにきめ細かくユーザーの指摘に対応するための施策を関東甲信越エリアを皮切りに進めるという。「FOMAがエリア化された地域で品質面の指摘があった場合、積極的に訪問して品質調査やフォローを行う。今年の秋以降には、48時間以内に顧客宅を訪問し、改善に向けた取り組みを行えるよう準備を進めている」(荒木氏)

 ドコモでは発表会に合わせて、ハーティ割引の割引率の改訂プレミアクラブ会員向けの優遇策を発表しており、ほかにも海外利用時の故障修理への対応を検討中とした。

Photo “新ドコモ宣言”の実現に向けた具体策

 業務見直しプロジェクトは、端末、サービス、ネットワーク・エリア、料金、コミュニケーション、フロント、プロモーション、アフターサービス、CSRなどのテーマ別に25のプロジェクトがあり、さまざまな課題について全社横断的な議論を通して具体的なアプションプランを策定している。ドコモでは組織や社員数の増加に伴う“縦割りの弊害”や“意志決定の遅れ”についても課題として認識しており、こうした状況を打破し、顧客を起点としたマーケティングのバリューチェーンが機能するよう、組織のフラット化を目指すとしている。

 「毎月の純増数などで勝ち負けが言われて久しい。ドコモとしては、(顧客重視の新戦略で)ユーザーからの信頼を得て、長く選ばれ愛される企業に生まれ変わりたいと思っている」(荒木氏)

Photo 業務見直しプロジェクトの概要とロイヤリティ構築の意義

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