2WAYオープンスタイルに込めた、“映像のWooo”の神髄──「Woooケータイ W62H」開発陣に聞く「Woooケータイ W62H」(1/3 ページ)

» 2008年07月20日 08時00分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo 「Woooケータイ W62H」。カラーはレーザーブルー、シェードブラック、フラッシュシルバーの3色で展開する

 「“Wooo”は映像に徹底してこだわる。これは最低条件です」──。

 auの2008年夏モデルとして登場する日立製作所製の「Woooケータイ W62H」は、高級感のあるカラーやスリムなボディで人気機種となった「Woooケータイ W53H」の“Wooo”ブランドを継承。ディスプレイが横にも開く“2WAYオープンスタイル”を採用し、映像を徹底して楽しむ新たな利用シーンを提案するハイエンドAV端末として展開する。

 2代目“Woooケータイ”に込めた真意は、そして人気機種となった初代Woooケータイとはどこが違うのか。Woooケータイ開発チームにその開発の意図を聞いた。


photo 左から商品マーケティング担当のカシオ日立モバイルコミュニケーションズ 光永博史氏、デザイン担当の日立製作所デザインン本部 高田裕一郎氏、商品企画チームリーダーのカシオ日立モバイルコミュニケーションズ 成合功一郎氏、と商品マーケティング担当の吉田征義氏

「長時間、映像コンテンツを視聴する」を考えたとき

photo ディスプレイが横にも開く“2WAYオープンスタイル”を採用。ワンセグや動画コンテンツを横向きのワイド画面の自由なスタイルで楽しめる

 「Woooケータイ W62Hは“映像に徹底してこだわる”をテーマにしたWoooケータイ W53Hのコンセプトを引き継いだ正常進化型といえます。ワンセグやLISMO Videoの動画コンテンツ全般を高画質で楽しんでいただくために開発しました」(商品企画チームリーダーの成合功一郎氏 以下、成合氏)

 KDDIは“ケータイが映画館に”をテーマに、レンタル型の長尺動画配信サービス「LISMO Video」を開始した。映画やドラマといった長尺の動画コンテンツをPCでダウンロードし、au携帯へ転送して楽しめる。

 「このLISMO Videoへの対応とともに、2008年の夏はオリンピックもありますので、“携帯で映像”の利用シーンはさらに増し、一般的になっていくことでしょう。テレビと動画コンテンツ、すべての映像をどこでも見やすく視聴できるスタイルを模索した結果、ディスプレイが横にも開く2WAYオープンスタイルに行き着きました」(成合氏)

 2WAYオープンは通常の縦方向はもちろん、横にもディスプレイが開く、auの日立製作所製端末に初めて採用した機構。縦回転、横回転ともに片支持のヒンジでまかない、ディスプレイを好みの角度で保持できるフリーストップ機能を備える。手に持っても、机上に置いても見やすく視聴できるのが特徴だ。

 ディスプレイが横にも開くスタイルといえば、「P905i」などのパナソニック モバイルコミュニケーションズ製端末が思い浮かぶ。「映像を横向き画面で視聴するため」という方向性は似通うが、P905iの“Wオープンスタイル”は縦方向への回転は通常の両支持ヒンジでまかなう、いわゆる回転2軸機構の軸をずらした変形型であることに若干の違いがある。構造としては、2006年12月発売のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製端末「W44S」の“あのヒンジ”がボディの中に収まったもの──と考えるのが近いだろうか。

photophoto P906iの「Wオープンスタイル」、W44Sの「デュアルオープンスタイル」と比較

 「2WAYオープン機構で苦労したのは強度の確保とサイズ、重量のバランスです。開いてぐらついてしまってはユーザーに不安感を与えてしまいますし、大きく重くなりすぎてしまってもいけません。また、どれだけ開いた時に他方の回転を無効にするかといった細かい調整とその議論も時間をかけて行いました。強度に関連する不安はほぼ感じず、自然に安心して使っていただけるように仕上がったと思います」(商品マーケティング担当の光永博史氏 以下、光永氏)

 「この機構を本体に収めるとすると、軸の“径”も重要になります。これは極薄ボディを実現したWoooケータイ W53Hのヒンジで培ったノウハウが大変生きました。開発のスタートがP905iを見たあとであれば、もう少し簡単だったかな……と思うことは正直あります(笑)。ただ、どんなときも美しく見せたいというテーマは崩せません。片支持のヒンジは“開けたとき”もきれいに造形できるメリットがあります」(成合氏)

photo Woooケータイ W53Hより軽量の「Woooケータイ W62H」。裏面に突起などがなく、角がなめらかに造形されるので持ちやすいのも特徴

 また、Woooケータイ W62Hを手にすると思いのほか軽量で、持ちやすいことに気が付く。本体サイズは約51(幅)×106(高さ)×18.2(厚さ)ミリ、重量は約122グラム。この数値はWoooケータイ W53Hより4ミリ厚いが、9グラム軽い。裏面に出っ張りや突起類がなく、“角”を感じないなめらかな処理を施すことにより、手に自然になじむ工夫を盛り込んだ。

 「軽くできたのは、金属素材の占める割合が異なるためです。ボディを薄くする場合、剛性の確保のために金属素材を多く用います。W53Hは薄いところに部品が詰まっているので、“このサイズからすると重いかな”と感じることもあったと思います。もちろん重すぎるわけではありませんので、これを高級感の演出としてとらえていただく狙いもありました。一方のWoooケータイ W62Hは、裏面をフラットにするとともに、ごくわずかですがW53Hより内部スペースに余裕があったため、比重の軽い樹脂素材でも十分な強度を保てた箇所がいくつかあったということになります」(成合氏)

 「また、角の“R”の取り方なども工夫しておりまして、小さく軽く感じるような仕掛けも取り入れました。LISMO Videoの長尺動画コンテンツを今後、例えば待ち時間や電車などにおいて、立ったまま手に持って映像を視聴するシーンも多くなることでしょう。持ちやすいこと、使いやすいことは、やはり携帯する“ケータイ”にとって重要なことと考えます」(光永氏)

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