ケータイの歴史に、未来を重ねる――デザイナーに聞く「PLY」が生まれるまでau design projectのコンセプトモデル(1/2 ページ)

» 2008年08月12日 19時58分 公開
[青山祐介,ITmedia]

 東京・原宿のKDDIデザインニングスタジオで開催されている、「au design project CONCEPT DESIGN 2008[−PLYケータイの層−]展。複数の層を重ね合わせたデザインを特徴とするコンセプトモデル「PLY」は、さまざまな色、機能のバリエーションを持つモデルとしてペーパークラフトでできたモックアップを展示している。

Photo 8月31日まで東京・原宿のKDDIデザインニングスタジオで開催される[−PLYケータイの層−]展

 8月8日、このPLYをデザインしたプロダクトデザイナーの神原秀夫氏と、同氏の大学時代の同級生でクリエイターの鈴木康広氏によるデザイントークショーが開催された。

 神原氏は、電通に所属するプロダクトデザイナー。INFOBAR 2発表時のアートディレクションや、KDDIデザイニングスタジオに展示されるau design projectのコンセプトモデルや新機種の空間デザインを手がけた実績がある。

Photo PLYをデザインしたプロダクトデザイナーの神原秀夫氏(左)と、大学時代は同級生だったというクリエイターの鈴木康広氏(右)

“自分が欲しいもの”をデザインする――神原氏

 神原氏はグッドデザイン賞をはじめとする、数々の賞を受賞しており、コクヨデザインアワードから生まれた28のカドを持つ消しゴム「カドケシ」は、ニューヨーク近代美術館の永久収蔵品「MoMAデザインコレクション」に選定されている。

 「なぜ、消しゴムをデザインするのか」という質問に対して、神原氏は「消しゴムは雑巾と一緒で、1つの素材で完結していることが、デザインへのチャレンジとして新しいと思ったから」と回答。そもそもデザイナーは、細かいところを消すのに、消しゴムを小さく切って角を出すことがあるといい、自身もカドがたくさんある消しゴムを探していたと振り返る。神原氏は、このカドケシをはじめ、デザインするものすべてに対して、“自分が欲しいもの”をデザインすることを心がけていると話す。

Photo 神原氏の代表作「カドケシ」。28個のカドを持つ消しゴムで、ニューヨーク近代美術館の永久収蔵コレクションとなっている(左)。円形のリングの内側を短針と長針が回る置時計。「ゆっくり時が流れる時計が欲しくて作った」(神原氏)という(中)。「ニューデザインパラダイス」のために提案した、軸が紙で出来た鉛筆。穴があいているハニカム構造は、削りかすが美しい形になるという(右)

 また、中心に軸がなく、円形のリングの内側を短針と長針が回る置き時計のデザインスタディや、2005年にフジテレビで放映された「ニューデザインパラダイス」で考案した、紙で出来た鉛筆を紹介。この鉛筆はハニカム構造の紙の筒を軸にしたというもので、この紙の鉛筆を作るために知り合ったペーパークラフト作家との縁で、今回の展覧会で展示しているペーパークラフトによる[PLY]のモデルが実現したという。

 一方、鈴木康広氏は新進気鋭のクリエーター。2001年に発表した「遊具の透視法」をはじめとする数々の作品を、国内外の展覧会やアートフェスティバルに出品している。独特の視点でものごとをとらえ、新たなセンスで表現した作品は注目が高い。中でも2004年1月に発表した「まばたきの葉」は、現在でも全国の美術館で展示されている。

Photo 回転遊具グローブジャングルを素材にしたインスタレーション「遊具の透視法」(左)。右は葉っぱの形をした紙片の裏表に開いた目と閉じた目を描いたものを空中に散布すると、まるで瞬きしているように見えるという「まばたきの葉」

 トークショーでは、「キャベツの器」や「ファスナーの船」といった興味深い作品を披露。鈴木氏は“制作する”という行為について「ただ造形的な表現をする活動ではなく、元々あるものの見え方を変えるということ、何かしたことで、もともとあったものの見え方が変わるという活動」だと説明した。

 PLYのコンセプトである“ケータイの層”にちなみ、鈴木氏が大学時代に書き溜めていたパラパラマンガを披露する一幕も。「パラパラマンガはまさに映像の積み重ね。絵が描かれているものの層になっている」という鈴木氏のユーモアあふれるパラパラマンガが会場を沸かせた。

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