BRAVIAだけじゃ“もったいない”――正統派ケータイの決定版「SO906i」開発者に聞く「SO906i」(前編)(1/2 ページ)

» 2008年10月15日 18時09分 公開
[田中聡(至楽社),ITmedia]

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の“BRAVIAケータイ”「SO906i」は、ハイコントラストな映像を表示できる「モバイルBRAVIAエンジン」、ワンセグ録画用の1Gバイトの内蔵メモリ、AV機能を簡単に起動できるメディアランチャーなど、ワンセグやカメラをはじめとするマルチメディア機能に注力したモデルだ。

photophoto SO906i。カラーはCosmic Black、Starlight Blue、Aurora Red、Mirage Pinkの4色を用意する

 “BRAVIAケータイ”ということでAV機能が目立つが、全体的なキーレスポンスの向上、モーションセンサーの搭載、薄型軽量化の実現、そして日本語入力時の学習機能や変換機能が熟成した「POBox Pro3.0」を搭載するなど、基本機能や操作性も進化。また背面パネルには、12灯のホワイトLEDが連続で点灯する「U字イルミネーション」も新たに採用し、着信時やディスプレイの開閉時に幻想的な演出を楽しめる。

 初代“BRAVIAケータイ”「SO903iTV」や前モデル「SO905i」から進化したポイントとはどこか、イルミネーションにはどのようなこだわりがあるのか。ソニー・エリクソンの開発陣に話を聞いた。

photo SO906iの開発スタッフ。左からデザイン担当の鈴木氏、商品企画担当の西村氏、ソフト開発(UI)担当の森本氏、電気設計担当の柏木氏

ケータイにマッチする11件の新機能を追加したワンセグ

photo 商品企画担当の西村氏

 2007年6月に発売された初代“BRAVIAケータイ”「SO903iTV」は、高画質なワンセグを楽しめるモデルとして好評を博したが、一方で「発売時期が遅かった、同時期に発売した904iシリーズに劣る部分が多いなど、課題も多かった」と商品企画担当の西村氏は振り返る。

 そこでSO906iでは、「BRAVIAケータイとしての進化」と「ケータイとしての進化」という2点に軸を置いて開発が進められた。

 「905iや906iを供給するほかの端末メーカーさんは、『iTVシリーズ』としてワンセグ特化型の商品を企画し、メーカー独自のスタイルやデバイス、機能で訴求しています。我々にもそういう道はありましたが、BRAVIAブランドは立ち上げてまだ3年なので、まずは王道のブランドに育てなければなりません。ワンセグを見たい人に『iTV』として訴求するというよりは、906iシリーズのラインでワンセグは付加価値としてとらえています。この考えはドコモさんにも賛同いただきました」(西村氏)

 コントラスト向上技術と輪郭強調技術によって彩度と輝度が向上した「モバイルBRAVIAエンジン」は、ワンセグはもちろん、iモーション、Music&Videoチャネル、ビデオクリップ、Windows Media Video、You Tubeなど、“動くもの”すべてに適用されている。

 「SO905iと比べても、その違いがはっきり分かります。ディスプレイの輝度が上がっているので、静止画も従来よりくっきりと見えます」(西村氏)

 また、“BRAVIAケータイ”の中核を担うワンセグについては、11個の機能が追加された。

  1. 最大12チャンネルのサムネイル表示
  2. 選択したジャンルに合う番組を案内してくれる「オススメ番組」
  3. 録画番組再生時の「15秒スキップ」
  4. 視聴中画面にテレビ操作パネルを追加
  5. 機能メニューが映像に重ならないよう改善
  6. スリープ設定中の画面表示改善
  7. 放送中番組のタイマー録画
  8. タイムシフト中の画面表示改善
  9. 録画タイトル再生中の早送り・早戻し機能改善
  10. 録画データへのショートカット機能
  11. 録画予約の結果画面からの再生機能

 「テレビはサイズを大きくする、薄くする、画質をキレイにするなど進化させるべき部分が明確です。じゃあケータイとして何をすべきかというと、ケータイならではのメリットのあるものが望ましいと考えました」(西村氏)

 ほかのワンセグケータイにはない便利機能として注目したいのが、事前に設定したジャンルの番組を探してくれる「オススメ番組」機能だ。「テレビでは、とりあえずHDDレコーダーに録っておいて後で見るというスタイルが浸透しつつあります。ケータイも搭載メモリーが増え、SO906iは最大8GバイトのmicroSDHCカードにも対応しているので、できる限り自分のニーズに合った形で視聴できるよう、レコメンド機能を搭載しました」(西村氏)

 一方で、テレビには「パッと電源を入れて流れている番組を何となく見る」という昔からのスタイルもある。12チャンネルの一覧表示は、「ザッピング感覚でチャンネルを変えてもらい、テレビを楽しむために搭載した」(西村氏)という。

 またSO906iは、端末だけで卓上テレビとして使えるよう、前モデルからワンセグ用スタンドを引き継いでいる。本体裏面に備えられているこのスタンドは、SO905iでは2段階の調整のみだったが、SO906iでは15度、30度、45度の3段階に調節できるようになった。さらに、SO905iではスタンドを立てた状態で本体を上から押すと、スタンドのパーツが外れるようにできていたが、SO906iは上から本体を押すとパーツが本体に収納されるよう改善されている。

photophoto 左がSO905i、右がSO906i。SO906iはスタンドを立てた状態で力を入れても、スタンドのパーツが本体に収納される

 「スタンドを立てた状態で無理な力がかかったとき、SO905iはスタンドが外れることでボディやパーツの破損を防いでいました。しかし、外れたスタンドを紛失しまう可能性があるなど、不安な面もありました」(西村氏)

 横向き視聴時の操作性にも手が加えられている。SO905iは、ディスプレイを反転して閉じたビューアスタイル時には、タッチセンサーを使ってチャンネル変更や音量調節ができるが、SO906iではチャンネル変更用のボタンとして、ディスプレイの横に物理キーが搭載されている。「タッチセンサーは新しくて見栄えがいいのですが、フルブラウザやYou Tubeなど横で使うコンテンツが増えているので、クリック感のあるほうが安心できます」(西村氏)という理由で、物理キーが採用された。

 録画番組の15秒スキップは、CMをカットするのに重宝する。さらに、ワンセグの機能メニュー(サブメニュー)の見せ方も改良されている。

photo ソフト開発(UI)担当の森本氏

 「ワンセグの機能メニューは、SO905iでは映像に重なっていましたが、『画面を見ながら操作したい』という要望が多かったので、機能メニューの1画面の表示範囲を短くして、画面と同時に表示できるようにしています」と、ソフト開発(UI)担当の森本氏。

ストップウォッチで計りながら……キーレスポンスを向上

 カタログのスペックからは分からないが、ケータイの評価を大きく分けるのが「キーレスポンス」だ。SO906iではこのキーレスポンスが全体的に改善されており、SO905iより格段に使い勝手が向上している。

 「フルワイドVGA液晶を初めて搭載したSO905iは、液晶の解像度がSO903iTVの240×432ピクセルから480×864ピクセルに増したので、表示内容が4倍になります。そのため、『SO903iよりも遅くならないように』を合言葉に調整しました。ただしVGA用のソフトを一度作ってしまえば、あとは動作速度を改善する段階になります。SO906iでは、パフォーマンスを上げることに注力できました」(森本氏)

 SO905iで“ここが遅い”と言われてた機能を重点的に強化し、メール一覧の表示や、画像のサムネイル表示、メインメニュー(きせかえツール)の表示など、よく使う機能は特に速度を向上させたという。実際にどの程度レスポンスが向上したかをストップウォッチで計って確認し、フィードバックを繰り返すという地道な作業の繰り返しだったようだ。

 「プリインストールされている『きせかえツール』は、平均値で60%ほど表示が速くなっていますし、サムネイルの表示速度はSO905iのおよそ倍になっています」(森本氏)

 高速化を図った項目はあまりに多くに渡るため、忘れてしまわないよう1冊のマニュアルを作ったというほどだ。

 「速度は参考値として計測しているので、あまり社外には出せないんです。プロモーションするのは難しいですが、営業の末端の者にまで資料を配って意識を1つにしてやっていきました。レスポンスの向上はカタログには書ききれない部分ですね」(西村氏)

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