Android端末の位置付けとコンテンツ市場の広がりについて説明したのは、10月に発足した日本Androidの会の事務局長を務める今村謙之氏だ。同氏はAndroidプラットフォームの立ち位置について、「すべてがオープンであるだけに関係者が見ているところがバラバラ」であると指摘。「Androidにおけるビジネスは単にコンテンツだけでは意味を成さない」とし、開発者やサービス提供者らを「いかに1つにまとめていくか」が重要だと強調した。
Androidのメリットについては、ほかの携帯向けプラットフォームに比べて開発の自由度が高い点を挙げ、それが提供したいサービスに特化した“勝手ケータイ”の登場につながるだろうと予測した。
今村氏は「なかなか普及しにくいものだが」と前置きしつつも、「Androidを通して、すべて1つの方向に動いて、みなが自由にサービスを作れるデファクトスタンダードが生まれる」と予測。こうした世界ではサービス主導になることから、「コンテンツ開発者が引っ張っていかないと、Androidはシステムインテグレータや組み込み屋が使えるものに成長しない」と、会場に集まったコンテンツ開発者をあおった。
さらに今村氏は携帯電話とPCインターネットの世界で起こりつつある変化にも触れ、モバイルインターネットの世界に新たなトレンドが起きるのではないかと予測する。
現在の携帯電話業界は、端末と回線、サービスが分かれた水平分業を促す動きが出始めており、今村氏は「元々、インターネットは水平分業で成功し、ケータイは垂直統合で成功したが、これがクロスすることで新たな可能性が広がる」と見る。「その結果として、新たな世界の勝手ケータイが生まれるのではないか」(今村氏)
今村氏は講演の中で、「日本Androidの会」の活動内容を紹介。参加メンバーがさまざまな業種に渡っているいることや、交流の場としてうまく機能していること、9つのワーキンググループを定義して“交流にとどまらない”活動を展開していることをアピールした。
ワーキンググループ(WG)は、初心者向け、SDK開発向け、マッシュアップなど多彩で、各ワーキンググループは月に1回程度のペースで活動しているそうだ。
ビジネス展開をサポートするワーキンググループもあり、マーケットプレイスWGがビジネスの実施に向けた活動、ビジネスWGがさらにビジネスを広げるための活動をしているという。このワーキンググループの中では、Androd Marketに不足しているID・課金管理を支援しようという動きがあり、今村氏が所属するCloud Marketが課金システムを開発しているという。
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