「Walkmanにケータイを載せました」――こうして「Walkman Phone, Xmini」は完成した開発陣に聞く「Walkman Phone, Xmini」(1/3 ページ)

» 2008年12月25日 18時19分 公開
[田中聡,ITmedia]

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の音楽ケータイ「Walkman Phone, Xmini」は、auの2008年秋冬モデルの“隠し球”として登場したモデルだ。なんといっても目を引くのが幅44ミリ、高さ75ミリのボディで、昨今のケータイでは珍しい超小型サイズを実現した。

photophoto 「Walkman Phone, Xmini」。本体カラーはグリーン×ブルー、パープル×ピンク、ホワイト×ターコイズ、ブラック×ブラックの4色。「Xmini」は「Extreme mini」を意味する造語で、「X」が持つ「未来的」「未知数」といった意味が込められている

 形状、デザイン、サウンド――すべてがソニーの「Walkman」を意識して作り込まれており、Walkman Phone, Xminiは「これぞソニー・エリクソンのケータイだ」といえるほど“尖った”モデルに仕上がった。

 Walkman Phone, Xminiはどんな狙いで開発され、どんなユーザーに訴求する端末なのだろうか。ソニー・エリクソンの開発チームに話を聞いた。

photo 左から商品企画担当の安達氏、ソフトウェア担当の奥野氏、プロダクトマネージャーの高橋氏、デザイン担当の鈴木氏、機構設計担当の金子氏

“Walkmanありき”で開発がスタート

photo 商品企画担当の安達氏

 Walkman Phone, Xminiの第一印象は、とにかく「小さい」の一言に尽きる。「Walkman Phone」よりも「Xmini」、つまりサイズに対する驚きの方が大きいだろう。商品企画担当の安達氏も、「すごく小さい、最小の音楽ケータイを作りたいという思いがあった」と開発に至った経緯を振り返る。

 「昨今のケータイが画一的になりつつある中で、ユーザーさんが期待している“ソニー・エリクソンらしさ”を込めて、会社として元気な姿を見せたかったのです」(安達氏)

 ケータイは、通話を目的とした「携帯電話」という土台にカメラやワンセグ、おサイフケータイなどの機能を搭載して開発されてきた。しかしWalkman Phone, Xminiは「携帯電話」ではなく「Walkman」ありきという、これまでのケータイとは逆のアプローチで開発された。

 同じく「Walkman」の冠が付く端末として、ソニー・エリクソンはこれまで「ウォークマンケータイ W42S」と「ウォークマンケータイ W52S」を発売してきたが、この2機種は携帯電話ありきで開発されたモデルだった。したがってWalkman Phone, Xminiは、W42SとW52Sの後継機に位置付けられる存在ではない。

photo デザイン担当の鈴木氏

 「ケータイで音楽を聴くことが当たり前になってきている中で、ウォークマンケータイを正常進化させるだけでは、Walkmanの冠が付く機種としてどうなのか、違う形はないのか? と考えたときに、『Walkmanといったらこういう形だよね』というものをまず作ってみようと。そこで、小型で、キーがいっさいないツルッとしたものをイメージしました。従来のケータイ+音楽という発想をあえて逆に考えたのです。つまり、Walkmanにケータイの機能が付いたということです」(デザイン担当の鈴木氏)

 想定するターゲット層は「簡単に言うと、20〜30代の音楽好きなユーザー」(安達氏)だが、「Walkman Phone, Xminiの商品コンセプトに価値を感じていただける方」「人の意見に左右されず、自分の価値観で商品を選べる方」を特に意識したと安達氏は言う。

トレンド機能の見送りは“必然”

 驚異的な小型サイズを実現した一方で、Walkman Phone, Xminiにはワンセグやカメラ、おサイフケータイ、GPSなど、現行ケータイでは標準的といえる機能の多くを搭載していない。「カメラがないから……」「おサイフケータイがないから……」という点が購入時の問題になるかもしれないが、これらの機能の見送りは、すんなり決まったのだろうか。

 「Walkman Phone, Xminiの『コンセプト』『デザイン』『サイズ』は初期の段階で社内のコンセンサスが取れていたので、この3つを実現するためにはどうすべきかという流れで開発しました。もちろん、(サイズが増しても)カメラ、FeliCa、GPS、外部メモリカードスロットなどを搭載すべきかという話は出ましたが、サイズが一回り大きくなるだけで全然違う商品に見えてしまいます。目指すサイズにならないなら、もはやこの商品を作る意味がありません」(安達氏)

 Walkman Phone, Xminiの“目指す姿”は開発初期の段階で決まっていた。それは必然の流れだった。「商品化に至るまでに、もめたこともそれほどありませんでした」と安達氏は振り返る。

 機能を絞ったWalkman Phone, Xminiだが、KCP+対応端末として、新サービスの「着うたフルプラス」をはじめ、LISMO Video、LISMO Music ビデオクリップ、au one ガジェット、Bluetooth、赤外線通信などには対応する。

省スペース化の苦労と“レールなし”スライドへのこだわり

photo 機構設計担当の金子氏

 Walkman Phone, Xminiの本体の裏面はほぼバッテリーが占めており、部品の配置スペースが極めて少ない。機構設計担当の金子氏は「どうすれば効率よく基板を配置できるかを何パターンも考えました」と、超小型ボディを実現するために試行錯誤した日々を振り返る。

 「スライド機構も場所を取ってしまうので、なるべく省スペースで設計できる方法を取りました。今までは、バネを使ったスライドユニットを、ネジでディスプレイ側とダイヤルキー側に付けていました。しかし今回はスライドユニットを入れるスペースを確保できなかったので、バネとは異なる構造を採用しました」(金子氏)

 Walkman Phone, Xminiのディスプレイの裏には、スライドケータイでよく見られるスライド用のレールがなく、フラットに仕上げられている。これはソニー・エリクソンのスライド端末では伝統ともいえる仕様で、外観へのこだわりが込められている。

 「裏面のレールはもう妥協しようかと思いましたが、ソニー・エリクソンの設計思想を貫きました」(金子氏)

photo プロダクトマネージャーの高橋氏

 裏面のスペースのほとんどを占めるバッテリーは「今まで使っていたものの流用も検討しましたが、薄いバッテリーの方が効率よく配置できる」(金子氏)ので、新しいバッテリーを採用した。

 バッテリーに基板、スライド機構……これだけで部品を入れるスペースが埋まってしまいそうだが、さらに電話機のアンテナとBluetoothのアンテナも搭載しなければならない。

 「スピーカーの穴で隠れている部分にメインアンテナとBluetooth用のアンテナをギリギリで収めました。さらに、サブアンテナが本体の下側にあります」(プロダクトマネージャーの高橋氏)

photophoto 「ウォークマンケータイ W42S」「ウォークマンケータイ W52S」「Cyber-shotケータイ W61S」などと同じく、ディスプレイの裏にスライドのレールがない。実は鈴木氏が最初に作ったモックアップにはスライドのレールがあったのだが、製品化するに当たって廃されたという。ソニー・エリクソンの開発陣の設計魂が垣間見える部分だ(写真=左)。メインアンテナとBluetooth用アンテナを搭載した分、スピーカー部分が出っ張っているが、本体を置いたときに空間ができ、音が抜けるといった副次効果がある(写真=右)
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