“Walkman”の顔を強調するために、Walkman Phone, Xminiの本体上面は物理キーではなくセンサーキーを採用した。このセンサーキーはタッチして操作をするのが基本だが、なぞって操作をするモードもある。それが「ジェスチャー操作」だ。
「Walkman Phone, Xminiを音楽ケータイとして使うときに、音量調整などはキーを見ないで操作する人が多いと思います。ジェスチャー操作は、ピンポイントでキーをタッチしなくても操作できるのがメリットです」(ソフトウェア担当の奥野氏)
使い方次第では便利なジェスチャー操作だが、Walkman Phone, Xminiはキースペースが小さいため、「開発当初は誤操作が多く、社内でも使いにくいという評価」(奥野氏)だったという。しかし「タッチセンサーのデバイス担当とファームウェア担当がかなり頑張ってくれて、個人的にはほぼ誤操作がないレベルになったと思います」と奥野氏が納得できるほどに精度が向上した。
ジェスチャー操作に切り替えると、音楽をはじめ、文字入力やメニュー選択など、すべての操作が変更される。「統一性を持たせた方がいいと考えた」(奥野氏)ため、「音楽だけジェスチャー操作でほかは通常操作」といった使い分けはできない。
「ジェスチャー操作は爪が長い女性や、指があまりに大きい人など、通常操作が許容できない人にも向いているでしょう。音楽のみジェスチャー操作という案もありましたが、おそらく頭の中が混乱するのではないかと(笑)。使い分けというよりは、どちらが使いやすいかという好みの問題ですね」(安達氏)
なお、ジェスチャー操作でなぞって操作できるのは十字キーのみで、ソフトキーは通常操作と同じくタッチして操作する。
センサーキーのほかにダイヤルキーにもこだわり、突起状のキーを採用した。ただしWalkman Phone, Xminiは本体の縁(ふち)が出っ張っているので、この縁に指が当たり、下段のキーが押しにくくなってしまう。そこで、「下段のキーだけ0.15ミリ高くした」(金子氏)という。「見た目はほとんど変わりませんが、クリック感はだいぶ違います」(金子氏)
「キー面積が小さい分、指を動かす距離が少ないので、慣れてくるとけっこう押しやすいと評判です」(安達氏)
最後まで“超小型の音楽ケータイ”というコンセプトを貫いたWalkman Phone, Xminiだが、唯一残念なのが、イヤフォン端子が3.5ミリのステレオミニジャックに対応していないことだ。Walkmanのコンセプトを踏襲するのなら、ぜひ採用してほしかったのだが……。
「ステレオミニジャックが重要なアイテムだということは、もちろん認識していました。最後まで食い下がって議論したのですが、奥行きがあるステレオミニジャック用の端子だと本体サイズに影響が出てしまうので、今回は見送りました」(安達氏)
「同梱しているイヤフォンジャック変換アダプタのケーブルが短いので、それほど利便性は損なわないと思います」(高橋氏)
Walkman Phone, Xminiは、国内ケータイで「Walkman」を冠するモデルとしては、W42SとW52Sに続く3機種目となる。ソニー・エリクソンの音楽ケータイは、今後どのような方向性で展開されていくのだろうか。
高橋氏は「Xminiのように小さい音楽ケータイがある一方で、W42SやW52Sのようにハイエンドなウォークマンケータイがあってもいい」と話す。今後、W42SやW52Sの流れをくむ、全部入りのウォークマンケータイが登場する可能性もありそうだ。
ソニー・エリクソンの新たな音楽ケータイのラインアップに加わったWalkman Phone, Xminiについて安達氏は、「2台目需要を狙った機種という考えもありますが、ロジックではなくて、『これが欲しい!』と一目惚れしてくれるとうれしい」と話す。ユーザーの感性に訴えるWalkman Phone, Xminiは、ともすれば機能偏重になりがちな昨今の携帯業界に風穴を空ける可能性を秘めている。
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