2009年春の携帯電話商戦が激化する理由神尾寿の時事日想(1/2 ページ)

» 2009年01月14日 12時10分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 「今月のドコモは、本気で(純増数1位を)取りに行っているよ」

 2008年12月、複数の携帯電話販売会社関係者がそう口をそろえた。純増数競争がかつてほどの意味を無くし、かつ最大シェアを持つドコモは、解約率さえ下げれば他キャリアに優良ユーザーが流入せず、相手方の消耗が狙える。“守りきれば勝ち”という攻城戦。そのドコモが、08年の12月商戦では大きく攻めに出たのだ。

 その結果は、すでに発表されたTCAの公表の通り(参照記事)。ドコモの純増数は12万400契約で、対するソフトバンクモバイルの純増数が13万5200契約。純増数トップの座は、20カ月連続1位を取るソフトバンクモバイルが守ったが、2位となったドコモも首位との差を1万4800に縮めた。さらにドコモはMNP(番号ポータビリティ制度)開始以降はじめて、転出者数よりも転入者数の方が多い「転入超過」を記録。1位奪取こそかなわなかったものの、純増数とMNPともにプラスになった。

TCAが毎月発表している、キャリア別携帯電話純増数の推移。連続トップを続けるソフトバンクモバイル(黄色)に、NTTドコモ(青色)が迫っている

ドコモが反転攻勢に本気になる理由

 しかしなぜ、ドコモはこのタイミングに反転攻勢に出たのだろうか。

 ひとつにはドコモの市場競争力回復がある。2006年のMNP開始時前後は、3Gのサービスエリアや先進サービスの導入でKDDIより見劣りし、割安感のある料金体系の投入ではソフトバンクモバイルに出遅れていたドコモだったが、この2年でそれらの弱点を克服。料金体系は他社と遜色なくなり、FOMAのサービスインフラは広さと高速性能の両立で業界随一になった。その結果、2008年を通じてドコモの解約率は下がり続け、「12月の解約率は4月〜6月期の0.51%よりさらに低い水準値となった」(ドコモ広報部)のだ。

 この“守りを固めきった状況”を転じて、ドコモは「他社に(MNPで)獲られたお客様は、きっちり返してもらう」(中堅のドコモ幹部)と攻勢に出たのだ。特にキャリア別のMNP流出入では、KDDI向けが好調で「昨年後半から、auからお帰りいただくドコモのお客様が増えている」(ドコモ幹部)という。

 対KDDIで復調したドコモは、次なるターゲットを対ソフトバンクモバイルにも定めている。今月はちょうど、ソフトバンクモバイル躍進のきっかけとなった「ホワイトプラン」の開始から2年になる。初期にソフトバンクモバイルに移行したユーザーが、これから次々と24回の端末割賦払い期間を終え、春商戦のさなかには月月割(以前の名称は「新スーパーボーナス特別割引」)の適用終了も見えてくる。ドコモはこのタイミングに、対ソフトバンクモバイルからの“流出ユーザー奪還”を狙う考えだ。

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