200万画素しかないとか固定フォーカスでマクロが撮れないとか、何かと実力以上に評判の悪かった「iPhone 3G」のカメラ機能。確かに得手不得手がはっきりしてて、ダメなシーンはダメだった。
でも、「iPhone 3GS」のカメラ機能は次元が1つ違う。
何しろ300万画素のオートフォーカス(AF)付きに進化したのである。しかも動画撮影が可能になった。……まあ、日本のケータイでは300万画素は普及機レベルだし、画面上の触ったところにピントが合う機能(タップ・トゥ・フォーカス)だって、シャープをはじめとする何社かがすでに実現してるので、目新しいわけじゃない。VGAサイズの動画撮影だって当たり前。
でも、カメラの“起動→撮影→保存→活用”という流れを見ると、iPhone 3GS(以降、3GSと略します)は格段にレベルが高い。「撮るだけがカメラじゃない」と主張してるようだ。
20年以上前、わたしの尊敬してる人(残念ながら故人)が「高機能と多機能は違うのである」と言ってたが、3GSのカメラはまさに「多機能ではないけれども高機能」なのである。
カメラに関していえば、強化されたのは4点。
スペック的にはやっと「日本で売ってる普通のケータイ」になったのだが、使ってみるとやはり3GSならではの工夫がなされている。とにかくシンプルなのである。
まずはAFに注目。これがすごくよくできてる。
カメラを起動して被写体に向けると、青白いAF枠が画面中央に現れ、それがすっと消える。
そこからカメラを動かさない限りはピントが合ったままなので、適当なタイミングでシャッターボタンをタップすべし。
そして、カメラを動かすとまたAFが自動的に動作する。察するに、モーションセンサーを利用して「3GSの動きがある程度止まった時点で、構図が決まったと判定してAFが自動的に働く」ようだ。これは賢いモーションセンサーの使い方で、目から鱗(うろこ)だ。この方式ならコンティニアスAFにしなくても、必要なときピントを合わせられる。
よって、ユーザーはフォーカスを意識しなくていいのだ。このシンプルさは素晴らしい。もし構図を変えてフォーカスし直したいときは、3GSを意識的に大きく動かしてみるべし。
さらに近距離でも遠距離でも自動的にピントが合う「シームレスマクロ」なので、マクロモードに切り替える手間もない。
強制的にAFを働かせたいときは、画面をタップすればOK。任意の位置をタップすると、そこにフォーカスが合う。例えばこんな感じ。
カメラ機能はこれだけだ。例によって細かい機能はまったくない。露出補正もできないし、ホワイトバランスもオートのみ。もちろんシーンモードもないし手ブレ補正もフォトライトもないし撮影画像サイズも3M(2048×1536ピクセル)のみだが、おかげで細かい設定に迷うこともなく、いつでもすぐ使える。その潔さは素晴らしいと思う。
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