ワイヤレスジャパン2009でNTTドコモは、自宅や施設内などで小規模な通信エリアを確立する「フェムトセル」のサービスをデモンストレーションなどを交えて紹介している。
同社は2007年から屋内のエリア品質改善のためにフェムトセル基地局を店舗や地下街などに導入してきた。今回は新たに住宅での利用も前提としたHSPA対応フェムトセル基地局を開発し、2009年秋に運用を開始する。
一般ユーザーが利用する場合は、自宅のブロードバンド回線にフェムトセル基地局を接続して通信エリアを構築する。回線はホームUのサービスと同じく「フレッツの回線のみでの利用に限る」(説明員)のが現状だ。通常の基地局との電波干渉は「まったく起きないわけではないが、利用状況に応じて自動的に干渉を軽減する機能をフェムトセル基地局に持たせている」(説明員)という。回線と接続することで利用環境に応じたセッティングが自動的に行われる「Plug & Play機能」を持たせ、簡単に設置できるようにした。
フェムトセル基地局は下り最大14Mbps、上り最大5.7Mbpsの高速通信に対応。電話番号を登録した端末のみと通信する仕様で、接続できるユーザーは最大4人。不特定多数が利用する通常の基地局と違い、通信速度の低下が起きにくく、音楽や映像ファイルも快適にダウンロードできるとしている。
さらに“限定したエリアで特定の端末のみと通信する”特徴を生かし、家族の在宅状況を外出先で確認できる「在宅プレゼンス機能」の提供も可能となる。端末がエリア内にあるかどうかで、家にいるかいないかを判断し、家族の帰宅をメールで知らせたり、サイトで確認できるようになる。
同社はフェムトセルサービスの将来像として、情報家電と連携し、ケータイで電源のオン/オフを確認したり、ケータイをリモコンとして使うといったサービスを説明する。また、商業施設にフェムトセルを設置し、エリア限定のクーポンや、子供が迷子になった時に居場所を特定するなど、さまざまなサービスが想定できるとしている。
「N-06A」などの無線LAN内蔵端末も“自宅での高速通信”が特徴だが、無線LAN対応端末はまだまだ機種が少なく、フェムトセルでは幅広い端末にサービスを提供できるメリットがある。料金などはまだ検討中というが、フェムトセル基地局は「ドコモの資産としての運用が前提」(説明員)で、機器としての販売は行わず、レンタルなどでの提供が想定されるという。
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