“本当に空を飛ぶ”フライトゲーム――iPhoneで動く前代未聞のヘリ「AR.Drone」(1/2 ページ)

» 2010年09月09日 18時26分 公開
[山田祐介,ITmedia]
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photo AR.Droneを飛ばすParrotのアンリ・セドゥCEO

 そのラジコンヘリはiPhoneとWi-Fiで接続し、タッチパネルの操作やiPhoneの傾きに応じて動き出す。機体に搭載されたカメラやセンサーを使って姿勢を自動制御するから、操作は簡単。4つのプロペラで器用にホバリングするし、風を受けてもその場にとどまろうとする。操作の際には機体を直視してもいいが、機体のカメラからiPhoneに届けられる映像を見て、パイロット気分を味わうのも楽しい。さらに、機体の画像認識ソフトウェアが他の機体やカラーマーカーの位置を理解して、iPhoneのコックピット映像上でAR(拡張現実)シューティングが楽しめる――。

 まるで“未来のおもちゃ”の話をしているようだが、これは9月16日に日本でも発売されるラジコンヘリ「AR.Drone」の特徴だ。市場想定価格は4万3800円で、amazonやソフトバンクオンラインショップで販売するほか、表参道や心斎橋などのソフトバンクショップにも並ぶ。

 AR.Droneを開発したフランスのワイヤレス機器メーカー、Parrotのアンリ・セドゥCEOが目指したのは、「モニターの中のみに閉じず、現実に外に出て遊べるゲーム」を作ること。同社が公開したAR.Drone向けのゲームSDKを使って、たくさんの開発者がAR.Droneを操作しながら楽しめるiPhoneアプリを配信するのをセドゥ氏は待ち望んでいる。9月9日、同社は都内で発表会を開催し、デモンストレーションを交えながら製品を紹介した。


photophotophoto プロペラの周りをガードした室内向けハルに加え(写真=左)、より軽量な屋外向けハルが用意されている(写真=中央、右)

新しいゲームのカテゴリーを切り開く

 セドゥ氏は、ラジコンヘリとしての楽しさとiPhoneゲームとしての楽しさを兼ね備えるAR.Droneが「まったく新しいゲームのカテゴリーを切り開く」と胸を張る。何はともあれ、まずは発表会で実際に動く様子を動画で見てみてほしい。機体を操作するためのiPhoneアプリ「AR.FreeFlight」を使って、セドゥ氏が実際にAR.Droneを飛ばす様子だ。ちなみに、AR.DroneはiPhone以外に、iPod touchやiPadでも操作できる。

 1994年に創業したParrotは、自動車のハンズフリー用品を中心に「携帯電話の可能性を広げる」製品に注力してきた会社。スマートフォンなどの高機能端末の登場により、「どこでもコンピュータが使える時代」が訪れているとセドゥ氏は語る。そんなモバイルコンピューティング時代における“ゲーム”を同社なりに考えた結果、AR.Droneが生まれたという。

photophoto 優雅に浮かんでます。はっきりいってUFO

 では、AR.Droneの機体にはどんなテクノロジーが詰め込まれているのか。まず、一見して特徴的なのがプロペラを4つ搭載していること。各プロペラの回転をソフトウェアでコントロールすることで、ソフトウェア企業としてのParrotの強みを生かした姿勢制御が可能になるとセドゥ氏は説明する。プロペラの素材にはカーボンファイバーと高強度のPA66プラスチックを採用。ボディカバー(ハル)には軽量な発泡ポリプロピレンを使っている。AR.Droneの各パーツは故障しても交換が可能で、オンラインショップでパーツを購入し、「ドライバー1つでだれでも修理できる」と同氏は話す。

 姿勢の制御には、加速度センサーとジャイロセンサーの情報に加え、機体底部の垂直カメラの映像も利用する。風があるような場合でも、60fpsのカメラ映像を比較するシステムによって移動を察知し、補正を試みるという。超音波高度計も備えており、着陸もスムーズだ。実際、デモを体験させてもらったが、リフトアップボタン1つで宙に浮かび、何も操作しないと安定したホバリングを続けるなど、初心者にも操作しやすいよう配慮されていた。飛行時間は約12分とそれほど長くないが、バッテリーは交換式なので、複数の予備バッテリーを用意すれば長い時間楽しむこともできる。

photo 機体のカメラを操縦者側に向けてもらった。コックピット映像がiPhoneに届けられている

 機体とiPhoneはアドホックモードでWi-Fi接続し、通信範囲は最大50メートル。単に操作の情報を通信するだけでなく、機体の垂直カメラや、フロントカメラの映像がWi-Fiを介してリアルタイムにiPhoneに届けられる。フロントカメラ側はVGA(640×480ピクセル)の解像度に対応し、映像も十分きれいに映る。機体の見えない場所でも、映像を見ながら操作ができるというわけだ。

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