スマートフォンはなぜ、「速度規制」されるのか:神尾寿の時事日想・特別編(2/2 ページ)

» 2011年08月17日 17時43分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

 さらにキャリアにとって悩ましいのが、スマートフォンでトラフィックが爆発的に増えても、ユーザーに課す通信料金を簡単には上げられないことだ。ドコモやKDDIではフィーチャーフォン向けのパケット定額制よりも上限額を1000円ほど値上げしているが、スマートフォンによる実際のトラフィックの増加量はこの値上げ分では吸収できていない。またソフトバンクモバイルの主力商品であるiPhone向けの料金プランは、戦略的にパケット定額料金の上限が一般的なフィーチャーフォンと同じ月額4410円に抑えられているため、インフラ側の収益バランスは、ドコモやKDDIよりさらに苦しいだろう。

auのパケット料金定額プラン「ダブル定額」の料金例。フィーチャーフォンでは4410円、スマートフォンの場合は5985円に上限額が設定されている。実際にはすぐに11万4000パケットを超えてしまうため、スマートフォンユーザーは5460円で定額利用できる「ISフラット」を選ぶことが多い(出典:KDDI)

 スマートフォンが普及すればするほどトラフィックは増大し、キャリアはそれに対応できるだけのインフラ投資の積み増しが求められる。一方で、これまでのパケット料金定額制の仕組みやスマートフォン市場での競争戦略上、実際の利用増に応じた料金の値上げは難しい。このような二律背反な状況の中で、キャリア各社は苦肉の策として、まずは大量のデータ通信を行うユーザーの通信速度制御を実施。さらにはパケット料金定額制の見直し議論まで起きているのだ。

今後の注目は「割安なインフラとの併用」に

ドコモの「マイエリア」は、ブロードバンド回線に接続して住宅などで利用できるフェムトセルを、貸出・設置するサービス(出典:NTTドコモ)

 とはいえ、スマートフォンの普及と市場拡大は世界的な潮流である。またキャリアから見ても、スマートフォンはインフラの収益バランスを崩すという点では悩みの種だが、スマートフォン向けの新たなビジネスやサービスを展開するという点では重要な存在だ。インフラ負担・収益バランスの問題が大きいからという理由で、スマートフォン移行への流れを押しとどめることはできない。

 そのような中で、キャリア各社が注力するのが、高コストな携帯電話インフラ以外にトラフィックを分散する「オフロード戦略」の推進だ。ここでは、どれだけ割安なインフラを活用できるかが鍵になる。例えば、データ通信利用が集中する商業施設や公共施設に設置する「Wi-Fiスポット」や、家庭向けの「Wi-Fi」、「フェムトセル(超小型基地局)」活用、従来の3G (第3世代携帯電話)よりもインフラコストが安い「モバイルWiMAX」などは今後さらに注目となるだろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月29日 更新
  1. 20万円超のXperiaを「買い」に変えた3週間 ソニーが「モニタープログラム」を実施した理由 (2026年09月26日)
  2. 「SuicaでJR東海エリアをまたげない」問題、ついに解消か JR東海社長「勉強している」【訂正】 (2026年09月27日)
  3. なぜドコモはahamoの大幅値上げを避けたのか? 段階制で安くなるケースと「アップセル戦略」の狙い (2026年09月26日)
  4. ドコモ値上げの背景は? 副社長が語るahamoの競争力と、「楽天モバイル意識」の本音 (2026年09月25日)
  5. ソフトバンクとLINEヤフーが「Yahoo!スマホ買取」を始めた理由 スマホ高騰時代に目指す「中古の循環」 (2026年09月28日)
  6. ドコモが低容量プラン「ドコモ mini2」発表 6GB/12GBの2段階で月額3278円/4598円 (2026年09月25日)
  7. 高額な「iPhone Duo」を横目にどう選ぶ? Androidフォルダブルスマホをお得に買う方法【2026年9月版】 (2026年09月27日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. “iPhone 18難民”の買い替え先は? 最新「iPhone 18 Pro」と型落ち「17/17e/16」から最適解を考える (2026年09月25日)
  10. パナの電動アシスト自転車、スマホ連携が可能に バッテリーの盗難防止や残量通知など 12月発売 (2026年09月28日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー