料金最強、ネットワーク最強、端末の機能も数カ月先行――KDDI田中社長らが語る「iPhone 5」と「LTE」石野純也のMobile Eye 特別編(1/2 ページ)

» 2012年09月21日 18時27分 公開
[石野純也,ITmedia]

 9月13日(日本時間)に発表され、9月21日に発売された「iPhone 5」をめぐり、KDDIとソフトバンクモバイルの戦いが激化している。14日にはKDDIが記者会見を開催。同端末が対応しているLTEの実人口カバー率が今年度末に96%になることを解説し、料金プランも明らかにした。さらに、KDDIはテザリングへの対応を正式に表明。iPhone 5では、利用料の525円もキャンペーンで無料になる。

 このKDDIの人口カバー率に対し、ソフトバンクの代表取締役兼CEO、孫正義氏は「KDDIのLTEは2.1GHz帯、1.5GHz帯、800MHzを合わせたもの」と19日の記者会見で反論。同社のLTEは、2.1GHz帯のみで年度末までに91%になることを強調した。合わせてLTEエリアの整備が進んだ2013年1月15日からテザリングに対応するという、KDDIへの対抗策を打ち出した。料金面では、下取りプログラムの強化策なども発表している。ライバルに先駆けLTEのエリアやテザリング対応をアピールしたKDDIだが、ソフトバンクがiPhone 5発売までの間に、一気に差を詰めてきた格好だ。

 このようなソフトバンクの動きを、KDDIはどう見ているのか。20日に、KDDIの代表取締役社長、田中孝司氏らが改めて自社の強みを語った。今回はiPhone 5発売にあたり、「石野純也のMobile Eye」特別編という形で、KDDIへのインタビューを掲載する。

PhotoPhoto KDDI 技術企画本部 モバイル技術企画部 通信品質グループリーダー 木下雅臣氏とコンシューマ事業企画本部 次世代ビジネス戦略部 LTEグループリーダー 門脇誠氏、そして代表取締役社長、田中孝司氏に話を聞いた。田中社長の写真は、筆者が昨年撮影したもの

基地局数では語れないエリアの広さ

 19日にソフトバンクが開催した記者会見では、8月18日時点で総務省に提出された2.1GHz帯を使うLTE基地局の免許数が公開されている。それによると、ソフトバンクが1万673、KDDIが4516で、2社の間には2倍以上の差があることが分かる。この数値について、KDDIのLTEネットワークを担当するコンシューマ事業企画本部 次世代ビジネス戦略部 LTEグループリーダーの門脇誠氏は「あれはあくまで総務省の公表しているデータで、2013年3月時点での基地局数とは全然違う」と語る。実際に整備する基地局の数と、総務省のデータベースに登録された免許数には、大きな差があるようだ。

 「確かに2.1GHz帯だけという話だと、800MHz帯ほどの広さを最初からは準備できない。ただ、2.1GHz帯はグローバル端末にはたいてい搭載されている周波数。我々も基盤バンド化するつもりで、整備していく」(門脇氏)

 確かに、KDDIの公開したエリアマップを見ると、都心部はかなりの範囲がLTE化されている。「他社は3Gで使っている2.1GHz帯をリプレースしないといけないが、我々は新規に導入できる」(門脇氏)のがKDDIの強みだ。都市部でのLTEエリアについては、PHSの制御チャンネルとの干渉を防ぐガードバンドとして2012年5月末まで使用できなかった5MHz×2の帯域を利用できることになり、これが功を奏しているという。

 「ラッキーだったのが、ガードバンドの5MHzを使えるようになったこと。そこには今お客さんがいないため、EV-DO(マルチキャリアRev.A)でも十分速い。しかも、その上にLTEをかぶせていく」(代表取締役社長の田中孝司氏)

 実際、ソフトバンクは山手線の南側、内側のエリア化に苦戦しており、iPhone 5発売時には3Gのみの対応となるところが少なくない。こうした状況に対し、田中氏は「電車だとまだときどき穴があり、3Gに戻ってしまうが、(東京都心部では)広くエリアができている。車での移動ならほぼLTEのまま」と自信をのぞかせる。自身も山手線の始発に乗って一周し、エリアの穴を確認したうえで、基地局整備の指示を出しているそうだ。特に山手線沿線に関してはわずかに3Gエリアが残っているものの、iPhone 5発売時にはほぼLTEエリアの構築が完成している。わずかに空いた穴も「これから間に(基地局を)打っていく」(田中氏)構えだ。

Photo KDDIが公開した東京都内の2.1GHz帯のLTEエリアマップ。iPhone 5発売当初から、幅広いエリアがカバーされていることが分かる
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 2.1GHz帯の運用実績が少ないと指摘されるKDDIだが、田中氏は次のように語る。

「(LTEの変調方式である)OFDMAの特性は(同じOFDMAのWiMAXを2.5GHz帯で運用する)UQコミュニケーションズの社長をやっていたので、よく分かっている。電波がどういう動きをするから、どこに基地局を打てばいいというのは、想像がつく。容量の足りないところに、LTEを面で打っていきたい」

 こうした経験も踏まえ「(2.1GHz帯の基地局は)昨日、今日だけで190局ぐらいは増えている」(技術企画本部 モバイル技術企画部 通信品質グループリーダー 木下雅臣氏)と、都市部では急速にエリアを拡大している。ただし、トータルの基地局数については非公開。「基地局の数値だけを言うのは、数と実態が一致しないため非常に難しい。都市部の品質でご体感いただければ」(門脇氏)というのが、その理由だ。実際、出力や分割するセルの数によって、同じ基地局でもカバーできるエリアは大きく変わってくる。客観的な比較材料がないため、サービスが始まってみるまでどちらの主張が正しいかは判断できないが、数が独り歩きするのはよくないというKDDIの説明にも一理あるだろう。

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