スマホ向け無料通話・メッセージアプリの現状を探る(後編):世界的な競争はこれから(2/3 ページ)

» 2013年04月24日 04時00分 公開
[佐野正弘,ITmedia]
photo LINEのスタンプは、コミュニケーションに表現力を求める若年層に人気となり、他のアプリにも採用が広まるなど大きな影響を与えた

 こうした要因からフィーチャーフォンから徐々にスマートフォンに移行した若年層は、CMで知名度を高めたLINEなど無料通話・メッセージアプリのトーク機能に着目。従来のキャリアメールがスマートフォンへの移行で利便性を失っていった“敵失”もあり、無料通話・メッセージアプリのトーク機能がコミュニケーションの主役を射止めるに至った。

 またLINEがトーク機能に付加した“スタンプ”も、トーク機能の普及に大きな影響を与えた要素の1つだろう。やはりフィーチャーフォンの時代、若い世代ほど絵文字やHTMLによる装飾メール(デコメ)を多用していたように、若年層はテキストでのコミュニケーションにも高い表現力を求める傾向が強い。

 スタンプは絵文字より一層表現力が高いのに加え、わずかなタップ操作で送信できることから、素早くダイレクトに感情表現ができる。このスタンプ機能が、表現力を重視する若い世代に受け入れられたことで人気を博すようになり、スマートフォンにおけるコミュニケーションのあり方に大きな影響を与えたといえよう。

海外では異なる無料通話アプリの普及要因

 無料通話・メッセージアプリがスマートフォンのコミュニケーションに大きな影響を与えているのは、日本だけではない。海外でも同種のアプリが急速に人気を高め、利用スタイルに大きな変化を与えているのだ。

 海外では3GやLTEといったモバイルのネットワークが日本より遅く、つながりにくいことが多い。スマートフォンの登場でデータ通信の定額制を廃止する国も増えており、モバイルにおける無料通話はニーズが少ないようにみえる。だが海外ではWi-Fiのネットワークが広く普及している所も多く、Skypeのほか、LINEや「カカオトーク」とは逆にIP電話から派生したスマートフォン向けの無料通話アプリViberが人気になるなど、無料通話に対するニーズは少なからずあるようだ。

 ただ海外においても、無料通話アプリが人気を高めた要因は、やはり“通話”より“トーク”機能にある。とはいうものの、海外でトーク機能が人気を博すようになった要因は日本と少々異なるようだ。

 その要因を知るには、海外における携帯電話のテキストメッセージ事情を知っておく必要があるだろう。フィーチャーフォンでインターネットサービスが受け入れられ、発達した日本とは異なり、海外の多くの国では携帯電話によるメールの利用が普及しておらず、テキストメッセージのやり取りはもっぱら「SMS」(ショートメッセージサービス)が主体だ。だがSMSは送受信できる文字数が少ない上、送信するのに1通当たり数円程度の料金がかかることから、不便を強いられてきた。

photophoto 欧米で人気の「WhatsApp Messenger」。有料アプリである上にIP通話機能を搭載していないにも関わらず、LINEより多くの会員数を抱えている

 そうした状況で注目されたのが、トーク機能を搭載したスマートフォンのアプリである。これを使えば、データ通信料金の範囲内で文字数の制限なくメッセージを送受信でき、SMSよりコストがはるかに安くて済む。登録の手軽さや電話帳によるマッチングといった要因に加え、コストや文字数といったSMSならではの障壁が解消され、無料通話・メッセージアプリの人気を高めていった。

 こうした背景のため、海外では通話機能を搭載していないメッセージアプリが人気になるケースもみられる。その象徴的な例が「WhatsApp Messenger」だ。このアプリが提供するにはいわゆるトーク機能のみであり、IP電話機能は備わっていない。さらにこのアプリを利用し続けるには料金の支払いが必要で、無料で使い続けることはできない。にもかかわらず、WhatsApp Messenger上では1日当たり100億通ものメッセージのやり取りがなされ、3〜4億ものユーザーを抱えると言われているなど、欧米を中心に高い人気を博しているのだ。

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