「誰もがハリーポッターになれる」――ログバーが「Ring」で提案する未来

» 2014年10月29日 20時19分 公開
[村上万純,ITmedia]
photo ログバー最高執行責任者 山崎貴之氏

 人差し指に指輪をはめて、空中で指を動かすだけでテレビの電源がつき、照明が点灯し、音楽が鳴る――そんなSFのような未来を実現する指輪型ウェアラブルデバイスが「Ring」だ。資金調達をするためのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」でプレオーダーを開始したところ、1日半で目標となる25万ドルを達成し、特に米国ユーザーの関心を集めている。日本時間の10月9日にログバーのWebサイトで販売を開始しており、11月中には出資者たちの手元に届く。これから購入する人は4〜7週間ほどで入手可能。価格は269.99ドル。ユーザーの半数は米国で、日本は3分の1という分布だ。

 10月29日に表参道ヒルズで開催された発表会で、ログバー最高執行責任者 山崎貴之氏は「指を動かすだけで、ハリーポッターの魔法のようにさまざまな動作ができる」と話した。ログバー代表取締役社長 吉田卓郎氏はRingの製品説明を行い、この指輪型デバイスが可能にする未来を提案した。

photo Ring

ワンジェスチャーであらゆるものを操作する未来

photo ログバー代表取締役社長 吉田卓郎氏

 Ringを使うと、iOS/Android向け専用アプリをインストールしたスマートフォン/タブレットとBluetooth接続して、テレビや照明など、電源のある機器やサービスと連携できる。例えば、「△」マークを指で描くとテレビを付けられたり、「□」を描くと照明が付いたりといった具合だ。

 また、LED、バイブレーション、タッチセンサー、6軸センサーなどを搭載しており、連続で約3日駆動するという。サイズはS/M/L/XLの4種を用意し、「カラーやデザインのバリエーションは今後増やしていく」と吉田氏は説明する。ファッション性の高いデザインで、スタンドや化粧箱も洗練されたものに仕上げた。

 「ネットや電話は、今まで時間がかかっていたことを一瞬でできるようにしたことが革新的だった。Ringもそのような存在になる」(吉田氏)と言うように、テレビの電源のオン/オフ、Twitterへのアクセス、名刺交換などの動作も指1本のジェスチャーでできるようになる。ログバーはRingのAPIを公開しており、サードパーティ製アプリとの連携を強化していく。直近ではタクシー配車アプリ「Uber」との連携を進め、登録したジェスチャー1つでタクシーが来るようにする。「これまでのウェアラブルのようにデータを集めて解析する受け身の存在ではなく、こうしたいと思ったことを行動に移せる能動的な存在でありつつ、いつでもどこでも使えるのが従来のデバイスと異なるところ」と吉田氏は説明する。初期状態で約30のショートカットジェスチャーが登録されているが、ユーザーが好きなジェスチャーをアプリ上に登録できる。

photophoto さまざまな機器をRingを使ってワンジェスチャーで操作できる(写真=左)。Ringの特徴(写真=右)
photophoto APIを公開して連携できるサービスを増やしていく(写真=左)。化粧箱(写真=右)

 10月30日から11月3日まで表参道ヒルズに期間限定店舗がオープンし、誰もがRingを体験できる。製品の販売は行わない。

photophoto 表参道ヒルズの期間限定店舗(写真=左)。吉田社長がデモンストレーションを披露した(写真=右)

理想型はRing単独での動作

 指を動かすだけでさまざまな機器やサービスと連携できる――と聞くと、Ring単独で動作が完了すると思う人も多いだろう。しかし、実際はハブとしての専用アプリが必須で、出資者の中には思い描いていたような理想にはまだ届いていないと感じている人も多そうだ。吉田氏も「理想はRing単独での動作。ボディもさらに薄く、小さくなっていく。2016年度中に100万台突破を目指す」と将来像を語った。

 「具体的な夢を見させられるのがログバーの強み」と吉田氏が言うように、クラウドファンディングであっという間に資金を集めてしまった豪腕っぷりは今後にも生きてきそうだ。今後パートナー企業を増やしていく方針で、現在は家電、クルマ、航空、宝石会社などと話を進めているという。魔法の指輪でパートナー企業にも夢を見させることはできるのだろうか。

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