「NuAns NEO」開発秘話 高難度デザインスマホを実現したモノ作りに迫るアドバイザーの本田雅一が語る(3/4 ページ)

» 2016年03月05日 06時00分 公開
[前橋豪ITmedia]
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NuAns NEOの着せ替えカバー72パターンからオススメは?

―― NuAns NEOの着せ替えカバーは種類が多く、素材も違いますね。本田さんおすすめの組み合わせは?

本田 冬ならばウルトラスエード。手元が暖かい方がいいので、使うなら下側ですね。上下ウルトラスエードでもいいと思います。ウルトラスエードの白とクラリーノの白は結構合うので、上をクラリーノの白(スムースホワイト)、下をウルトラスエードの白(スエードホワイト)にしてもオシャレですよ。

 ただ、TENTが指定している標準デザイン(Webサイトなどで紹介されている組み合わせ)は、やはりバランスがよくて、その意味ではカーキのクラリーノとダークウッドは相性がいいですね。FLIPは外装色によって、内張のウルトラスエードの色が変わります。

カバーの組み合わせ例 本田氏おすすめのTWOTONE Top Cover Smooth White+TWOTONE Bottom Cover Suede Whiteの組み合わせ(左)。NuAns NEOを象徴するTWOTONE Top Cover Smooth Khaki+TWOTONE Bottom Cover Dark Woodの組み合わせ(右)

 実はクラリーノの色は、何度かビーカー試験を繰り返してデザイナーが色決めした特別な色なのですが、ウルトラスエードに関しても同様に特別オーダー品です。スエードホワイトは白い繊維に少量の黒繊維を混ぜて生産してもらうことで、ランダムな風合いを出しました。これによって人工皮革なのに自然な表情を出そうとしています。これはTENTのアイデアですね。

 TENTは一貫して、スマートフォンにある先端機器の冷たさや日常の生活空間からの乖離(かいり)といった要素を排そうと努力していました。難しいと思いつつ、テナージュの採用を諦めなかったのも、ナチュラル素材の触感にこだわったからです。

ナチュラルへのこだわり テナージュの採用を諦めなかったのも、ナチュラル素材の触感にこだわったから

Windows 10 Mobileスマートフォンの現在と今後

―― 実際にNuAns NEOを発売されて、Windows 10 Mobileの優位性、現在の問題点、今後の可能性をどう見ますか?

本田 エンターテインメントという視点では、Windows 10 Mobileは遅れていると言わざるを得ません。MicrosoftもWindows 10向けに「Groove」とブランドを改称して、音楽サービスを中心としたエンターテインメント系サービスを添加していますし、例えばNetflixやYouTubeなどのアプリもあります。

 しかし、そこから1歩踏み出してサービスの多様性を求めると選択肢が狭まります。これはゲームなどもそうですね。僕はスマートフォンであまりゲームを遊ばないので困りませんが、「どうしてもモンストで遊びたい」となるとどうにもなりません。

 一方で個人が使う仕事の道具としては、なかなかよい面があると感じています。Windows ServerやMicrosoftのミドルウェアで企業システムを構築しているところなら、企業システムに直結して情報へ安全にアクセスしたり、端末の集中管理にも対応できます。企業向けのOffice 365とも連携します。

 個人でビジネスをしている方の場合も、Office 365との相性がよいのは利点でしょう。現在のOfficeはUWP(Universal Windows Platform)で作られているので、Windows PC上で動いているOfficeと基本的に同様の機能をWindows 10 Mobile上でも利用できます。Office 365サービスは、新しく買ったPCのほとんどにプリインストールされているOffice Premiumに1年分付属しているので、OneDriveを中心とした完全にシームレスなワークスタイルを実現できます。

 目新しい機能としては「Continuum」が注目されていて、実際、出先などでちょっと文書を編集したいときや、仕事を自宅に持ち帰って仕上げをしたいときなどには便利です。ただ、それ以前にWindows 10 Mobileは「キーボード、マウス操作との相性のよさ」を感じますね。元がPC用OSだから当たり前なのですが、Continuumなしで、NuAns NEOの画面にキーボードとマウスを組み合わせて操作するだけでも、作業性は高いと思います。

Continuum NuAns NEOはContinuumに対応。NuAns NEO本体にワイヤレスで外部ディスプレイ、キーボード、マウスを接続することで、スマホ用アプリをPC用デスクトップアプリのように操作できる(アプリ側の対応も必要)

 その上で勤めている会社のシステムがBYOD(Bring Your Own Device:私物端末の持ち込み)でWindows 10 Mobileスマートフォンの持ち込みを許して、前述したような連携が可能になっていれば、さらにワークスタイルを洗練されたものにできるでしょう。

 一方で課題としては、日本語入力ツールの改善をお願いしたいですね。最新のアップデートでフリック入力の候補表示などのタイミングが変化し、だいぶ入力しやすくなったのですが、まだまだ改良できると思います。

 また日本語の扱いが、Windows 8.1までのアプリ形式ではあまりよくない(英語版アプリで日本語を使うとき、フォントに中華フォントが選択されてしまう)という問題もあります。これはSilverlightというランタイムの仕様なのでどうしようもないです。主要アプリのUWPへの移行をMicrosoftとして推進してほしいところです。

 恐らく2016年3月末から開催される「Build 2016」という開発者向けイベントで、さまざまな対策が発表されるのではないでしょうか。

 先日もVisual Studio上で動くUWP、iOS、Androidのクロス開発プラットフォームを提供する企業(Xamarin)を買収するなど、Microsoftに動きがありました。クロス開発のツールをVisual Studioユーザーが無償で利用可能になると思いますが、それだけではなく他にも動きが出てくるでしょう。

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