優勝校には100万円! アプリで「英単語バトル」に高校生がハマる理由(2/2 ページ)

» 2016年06月21日 06時00分 公開
[鈴木美雪ITmedia]
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他の英語学習アプリとの違いは「ストイックさ」

宇佐美 mikanの特徴は他の英語学習アプリと比べてとてもストイックなんです。「2日で約3000語を暗記」という切り口からも分かると思いますが、英単語を覚えることにかなり特化しているので、どうしても単語力が足りないときに活躍します。

―― 世の中に英語学習のアプリってたくさんありますよね。自身の英語学習が軌道に乗るまでは、アプリは1つに絞って勉強したほうがいいのでしょうか?

宇佐美 それは、英語を使って「何をしたいか」の目的によりますね。単語力も大切ですが、英語を「話せるようになりたい」が目的ならば、単語力を鍛えるというよりも実際に口から英語を発する時間を増やすことが重要です。

―― mikanは、暗記カードをめくっている感覚がちゃんとありますよね。なぜ、高校生にヒットしているのでしょうか?

宇佐美 高校生にウケている理由は、UI(ユーザーインタフェース)にあるのかなと。高校生はスマートフォンに慣れている「デジタルネイティブな世代」なので、片手でも手軽にサクサク覚えていけるように工夫しています。アメリカの若者の間で流行している「Tinder」という出会いアプリがあるのですが、Tinderの直感的に「会ってみたい」「会わない」と分けていけるUIのように、次々と英単語がスワイプできるような仕組みになっています。

Twitterに100万円払うよりも価値があるものにしたい

―― 100万円というと、高校生には大金(たいきん)ですよね。参加する高校生はうれしいと思いますが、採算が取れないにもかかわらず、なぜこのようなイベントを?

mikan 英単語 アプリ 高校生 優勝賞金は100万円、予選は6月30日まで

宇佐美 まず、運営として「mikanを使って盛り上げてもらいたい」という強い気持ちがあったんです。もちろん、もともとはTwitterの広告で100万円使ってユーザーを増やす方法も考えていました。

―― 広告に手を出さなかった理由は?

宇佐美 継続率で考えたら「広告じゃないな」と思ったんです。広告を出してスマートフォンにアプリをインストールしてもらっても、継続して使ってもらわないと意味がないので。mikanを盛り上げてもらって、継続して使ってもらうにはどうしたらいいかと考えたところで「Twitterに100万円かけるより、高校生にあげちゃおう」ってなって。思い付いたのが全国高校mikanバトルです。広告よりも価値のあるものにしたかったんです。

―― なるほど、Twitterやプラットフォームに依存した広告ではなく、ユーザーの半数を占める高校生に宣伝塔になってもらおう、と。

宇佐美 実はアプリが有名になってきた証拠なのか、たまに高校生の中に「私(僕)、mikanアンチだから」という人もいるんですよ。「自分は意地でもmikanは使わない。でも、mikanを使う人たちの頭がよくなっていくのが悔しい」みたいな。本当に気軽に使ってくれるだけで良いのですが(笑)。そういう現象も含めて、引き続きアプリを盛り上げていきたいですね。

決勝は7月8日、単語力ナンバーワンの高校が決まる

 最後に、mikanの完成度について宇佐美氏に聞いてみたところ「30%ぐらいです。もっとアプリ内のデザインや機能でやりたいことがある」と話してくれた。

 筆者は、取材を通して、毎年夏に日本テレビ主催で行われる「全国高等学校クイズ選手権」に似た熱気を全国高校mikanバトルにも感じた。スマートフォンを高校生が1人1台持つようになった中で、今後ITを使ってどのような面白い取り組みが教育分野で行われるのか、引き続き楽しみである。

 全国高校mikanバトルは6月いっぱいまで予選が行われ、決勝は7月8日に行われるとのこと。どの学校に賞金100万円が手渡されるのか、結果を見守りたい。

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