ブロードバンドの浸透により家庭内でルーター中心のネットワークが構築されるようになって以降、一定の需要があるのがネットワークカメラだ。PC不要で単体での撮影に対応できることから、セキュリティ用途はもちろん、赤ちゃんやペットを離れたところから見守るための機器として、1つのジャンルを確立している。
もっとも、実際に購入はしたものの、次第に使わなくなることが多いのも、ネットワークカメラのもう1つの特徴と言える。画質などへの不満もあるが、外出先からのアクセスにしても、ルーターのポートを開放し、かつダイナミックDNSの設定を行うなどハードルが高く、以前は動いていたはずの設定でいつのまにか動かなくなっている、ということも少なくない。「見られればもうけもの」程度の確率では、使わなくなって当然だ。
しかし最近になって、IoTの観点でネットワークカメラを再発明するアプローチが見られるようになりつつある。つまり主体はあくまでサービスであり、それを実現するための機器としてネットワークカメラが存在する、という考え方だ。「自宅内の赤ちゃんやペットを外出先から確認できる」ことにおいては何ら違いはないのだが、これまでカメラというハードウェアが前面に出てきていたのとは異なり、サービス主体であることが大きな違いだ。
今回はその1つである「Safie(セーフィー)」を紹介しよう。
SafieはWebサイト上では「防犯カメラのクラウドサービス」を掲げており、防犯用途をメインに押し出しているが、実際にはそうしたセキュリティ用途にとどまらず、家庭内の見守り用途まで幅広く使えるネットワークカメラサービスだ。従来であれば前面に出てくる機器の名前が目立たないのは、サービス主体であるからにほかならない。
従来のハードウェア主体のネットワークカメラシステムとの違いはどこだろうか。筆頭に挙げられるのは、撮影した映像がカメラ本体ではなく、クラウド上に保存されることが挙げられる。従来は、撮影した映像がカメラ本体もしくはそれに付随するストレージに保存されていたため、外出先からルーターを超えてそれらにアクセスするのは一苦労だった。Safieであれば撮影した映像は全てクラウド上の専用サーバにアップロードされるため、外出先からの閲覧も容易だ。
また保存先がクラウドであることから、カメラが故障したり、設置場所で火災などの事故が発生したりしても、データには一切影響がない。これも、対象物を常に記録し続けるネットワークカメラのコンセプトに合致している。サーバへの再接続も自動的に行われるので、自宅回線がダウンした際に録画がストップし、回線復旧後に放置状態になってしまうこともない。
ネットワーク回線で必要になる帯域は500kbps〜1Mbpsとされており、目に見えて帯域が圧迫されるようなことはない。さすがに自宅でストリーミングビデオを視聴する際などはオフにしておいた方が快適に使えるだろうが、後述するような高画質の映像を、普段はほとんど帯域の消費を気にせずに記録してくれるというのは驚異的ですらある。
常時録画というのもポイントだろう。ネットワークカメラの多くは動体感知などのセンサーを搭載しており、何らかの反応があった場合のみ映像を記録する仕組みを採用している。これは便利に思えるが、録画されていない時間帯に本当に何も起こっていないのか証明できない欠点がある。もしかするとセンサーの不具合などで、特定の時間帯のデータがごっそり抜け落ちている可能性も否定できない。
その点、Safieでは、プランごとに定められた期間の映像を丸ごとクラウドに保存したうえで、動きがあった部分にマーキングを施し、頭出しをしながら見られるようになっている。何かあったときに、マーキングされていない期間をチェックするのも容易というわけだ。データは古いものから消去されるので、容量を心配する必要ももちろんない(詳しくは後述するが、何日分のデータをクラウド上に残しておくかで、価格が決まる)。
では、クラウド上に保存された録画データを、手元に残しておきたい場合はどうすればよいか。さすがに全体を丸ごと、というのは無理だが、ビデオクリップを書き出す機能が用意されているので、必要な部分はムービークリップとして切り出して残しておける。動画だけでなく、静止画を切り取る機能も用意されているので、用途に応じて使い分けることが可能だ。
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