ただのマイナーチェンジではない Galaxy S9/S9+はシリーズの集大成モデルだ(1/2 ページ)

» 2018年03月05日 11時29分 公開
[山根康宏ITmedia]

 Samsung Electronicsが2018年2月25日に発表した「Galaxy S9」と「Galaxy S9+」。「Galaxy S8/S8+」と外観上の差は感じられず、マイナーチェンジモデルのようにも見える。しかしGalaxy S9/S9+はこれまでのGalaxyシリーズの集大成ともいえる、隙のない製品に仕上がっているのだ。

Galaxy S8/S8+の不満点を全て改善

Galaxy S9 2月25日に発表された「Galaxy S9」と「Galaxy S9+」

 今から約1年前に発表されたGalaxy S8とGalaxy S8+は、過去のモデルとはサイズやデザインが全く異なるディスプレイ「Infinity Display」を採用し、新世代のスマートフォンとして華々しくデビューを飾った。18.5:9のアスペクト比と、側面のフレームにカーブしたディスプレイのエッジ部分がシームレスに接合しているディスプレイは美しく、Galaxyシリーズの「顔」であった指紋認証センサーも背面に移動させたことで、フロント側は全面がディスプレイに見える、まさしく「無限大(Infinity)」な印象を与えてくれた。

 Galaxy S9/S9+は本体の高さがS8/S8+比でそれぞれ1.2mm、1.4mm短くなっている。このおかげで画面占有率がさらに拡大した。上部は細いベゼルにカメラや虹彩センサーなどが配置され、ほぼ限界までディスプレイ領域が広がっている。ここまで広ければiPhone Xのようなノッチ(切り欠き)を作り、ディスプレイエリア内に非表示エリアを作る必要性もない。ディスプレイの完成度はこれ以上にないものになっているのである。

Galaxy S9 ディスプレイはさらに面積比が拡大

 一方、背面の指紋センサーはレンズ部分への指先の誤タッチがなくなる位置にようやく変更された。Galaxy S8/S8+が発表されたとき、指紋認証センサーの位置はカメラの横となり、これはGalaxy S7の心拍測定センサーと同じ位置であると説明された。しかし初めて心拍測定センサーを搭載したGalaxy S5はカメラの下部に配置していた。Galaxy S6ではカメラの横に配置されたが、問題が起きなかったのはそもそも心拍計を使うユーザーが極端に少なかったからだろう。Galaxy S8/S8+で問題になったのは、指紋を使うロック解除が1日に何度も行う操作だからだ。

Galaxy S9 指紋認証センサーの位置は、カメラのレンズ下に変更され、間違えずに押しやすくなった

 SamsungはGalaxy S8/S8+で、指紋認証よりも虹彩認証をメインに使ってほしいと考えたのだろう。画面をディスプレイに向けるだけでロック解除できる虹彩認証はよりセキュアかつ高速なレスポンスが実現できる。しかし指紋認証は指先を触れるだけでよく、ポケットの中に入れた端末を取り出しながら解除することもできる。だがそんな操作を行えば、なおさらGalaxy S8/S8+をロック解除するたびレンズ部分に触れてしまい、汚れを付けてしまう。写真を撮るたびにいちいちレンズの汚れをふき取る、そんな操作がGalaxy S9/S9+では不要になるのだ。

 ホーム画面も使いやすさが向上した。18.5:9のディスプレイを分割利用する際、2つのアプリを同時に起動できる「アプリペア」のショートカットがホーム画面に配置できるようになったのだ。さらにはアプリのアイコンを長押しすると各アプリでよく使うメニューがポップアップ表示されるようになった。iOSの「3D Touch」は力の押し加減が必要だが、Galaxy S9/S9+ではアイコンの長押しのため操作は簡単だ。

 そしてホーム画面は横向きにも回転可能になった。動画を見ているときなどもホームに戻っての操作がしやすくなっている。これらの細かい改善が積み重なったことで、Galax S9/S9+の使いやすさはGalaxy S8/S8+から格段に高まっているのだ。

Galaxy S9 ホーム画面やメニュー画面は横表示も可能に

SNSでも活用できるカメラの新機能

 Galaxy S9/S9+の大きな進化はカメラ。まずはGalaxy S9がシングルカメラ、Galaxy S9+が広角(メイン)+望遠のデュアルカメラを搭載している。Galaxy S8/S8+は画面サイズの違いだけだったが、S9/S9+ではカメラ機能でも差をつけてきた。

Galaxy S9 Galaxy S9/S9+はカメラ機能を大きくフィーチャー

 2機種ともカメラをF1.5/F2.4を機械式に切り替えることで、シーンに応じた最適な撮影が可能になる。夜景など暗いシーンに強くなったのはもちろんのこと、光の明るいところでの撮影ミスも低減される。なおマニュアルモードに切り替えれば従来通りF値は自由に変更可能だ。

 個人的に気に入った機能は960fpsでのスーパースローモーション。これは既にXperia XZ Premiumでも同じ撮影が可能だが、Galaxy S9/S9+ではカメラのメニューから「スーパースローモーション」を選べば、動画撮影中に動く被写体を自動的にトラッキングしてくれる。つまり通常の動画撮影中に、動きのある被写体を自動認識してスローモーション動画を自動撮影してくれるのだ。しかも撮影後は自動的にBGMを付けることも可能。エディターを使ってSNSでシェアしやすい長さへの編集も簡単にできる。スローモーションを撮影するだけではなく、シェアすることまでも考えているのだ。

Galaxy S9 スーパースローモーションは撮影も簡単、撮影後も楽しめる

 インカメラを使った「AR Emoji」も同様にSNSを意識した新機能だ。インカメラで自分の3Dアバターを作成できる機能だが、撮影後には表情が動く18種類のスタンプを自動作成してくれる。しかもこのスタンプはキーボード(サムスンキーボード)から直接入力も可能だ。メッセージ画面で文字を打ちながら、即座に自分の顔スタンプを相手に送れるのである。自動生成される顔の似具合はもう一歩という気もしないでもないが、楽しい機能であることは間違いない。

 今後は着せ替えの洋服や手に持たせるアクセサリーを有料提供するなど新たな課金ビジネスも行えるだろう。日本でも導入予定のRCS(Rich Communications Services)が普及すれば、LINEやFacebookなどのメッセンジャーやSNS上だけではなく、スマートフォンを使ったあらゆるコミュニケーションでこのAR Emojiが利用できるようになる。コミュニケーションの幅を広げる注目機能だ。

Galaxy S9 18種類の自分のスタンプを自動生成してくれるAR Emoji
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