OPPOが世界で急成長を遂げた理由 日本では“キャリア市場”進出を狙う石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2018年03月26日 11時41分 公開
[石野純也ITmedia]

キャリア市場へも徐々に進出、日本もキャリア市場が狙い

 急成長しているOPPOだが、グローバルで満遍なく端末がヒットしているわけではない。地域による差が大きいのは、SamsungやApple、Huaweiといった上位メーカーとの違いといえるかもしれない。もちろん、Samsungでも日本や中国のようにシェアが取れない国もあったり、Huaweiのように米国進出に難航しているケースもあったりするが、OPPOはこれらのメーカーと比べても、より偏りが大きい。

 キャリアマーケット・グローバルディレクター、ヴィンセント・ウォン氏によると、同社が得意としているのは、メーカーが直接販売を手掛ける「オープンマーケット(日本でいうSIMフリー市場)が主で、キャリアマーケットはオーストラリアとシンガポール、台湾」に限られるという。「グローバルの市場を開拓するうえで、キャリア市場は避けては通れない」(同)というのが同社の認識だ。日本より前に参入している、オーストラリア、シンガポール、台湾では、「ローカルチームを作って成功している」(同)という。

OPPO キャリア市場を担当する、ヴィンセント・ウォン氏
OPPO
OPPO 中国や東南アジアでのシェアが高いOPPOだが、キャリア市場は開拓中

 対する日本は、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3大キャリアの市場が大きく、ヴィンセント氏も「キャリア主導だ」と口をそろえる。MVNOの台頭に伴い、SIMロックフリースマートフォンが拡大している一方、約9割は依然としてキャリアが販売する端末が占める。第1号機がSIMロックフリースマートフォンだったOPPOだが、最終的な狙いは、キャリアへの納入にあるようだ。

 実際、話がまとまるかどうかは別として、「3大キャリアとも商談を進めている」(ヴィンセント氏)という。おサイフケータイや防水・防塵(じん)といった機能への対応も研究しているといい、「準備は整っているので、キャリアからの需要があれば、それをプロダクトに反映させていきたい」(リッスン氏)と採用に前向きな姿勢を示す。

 とはいえ、日本のキャリアは要求水準が高いことでも知られ、新規参入のメーカーには特に高いハードルになっている。同じ中国メーカーでは、Huaweiもかつてドコモやソフトバンクにスマートフォンを納入していたが、販売が振るわず、戦略変更を余儀なくされた。Wi-Fiルーターやタブレットをキャリアに納入し、実績を作ったうえで、SIMロックフリースマートフォンでブランド力を高め、auで「nova 2」の発売にこぎつけたが、まだ主力になるには至っていない。

 「競合他社はエコシステムの構築を目指し、タブレットやIoT製品などもいろいろと開発しているが、OPPOは集中と選択を原則として、全てのリソースをスマートフォンに集約している」(スー氏)というだけに、Wi-Fiルーターやタブレットといった“2台目端末”からキャリアに試してもらうという戦術も取りづらい。足掛かりとして、まずはMVNOやサブブランドでの取り扱いを増やし、評判を高めた後、ユーザーの声に後押ししてもらうのが現実的といえるだろう。

OPPO OPPOは他社とは異なり、スマートフォンに特化したメーカーだ

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