報道関係者と嘉戸社長との質疑応答の主なやりとりは以下の通り。
―― ドコモ回線に加えて、ソフトバンク回線のサービスが始まるが、それぞれの回線はどのようなユーザーに選ばれると想定しているか。
嘉戸社長 ドコモ回線は、ドコモのネットワークになじみのある人や、ドコモ端末を使っている人に選ばれると思う。逆も同様で、ソフトバンクのネットワークになじみのある人や、ソフトバンク端末をそのまま使いたい人がソフトバンク回線を選んでいただければと思う。
今回の発表にもある通り、ソフトバンク回線のサービスでは最速チャレンジも実施する。MVNOサービスでもある程度の通信速度を求める人も、こちらになるのかな、と思う。
―― 「スマホそのままでSIMを交換する」という話が今回あったが、ソフトバンクとの提携発表時には「端末調達力の強化」をメリットとして挙げていた。その点はどうするのか。
嘉戸社長 端末については、現在どのようなモノを出すか協議をしている段階。これからどういう風にやっていくか考えている。
―― 「カウントフリー」を「データフリー」と改称したのは、商標上の問題からか。
(筆者注:「カウントフリー」はNTTコミュニケーションズの登録商標)
嘉戸社長 ソフトバンク回線を追加したことと「3つの宣言」は、ある意味でLINEモバイルの「リブランディング」に当たる。
(その一環で)お客さまによりなじみのある言葉(サービス名)は何なのか、ユーザーアンケートを行ったところ、一般的なユーザーには「データフリー」の方がなじみがある(分かりやすい)という結果になったので、今回の変更に至った。
―― 去年(2017年)の夏までに「MUSIC+プラン」でデータフリーにする対象サービスを拡大するという話があったと思う。これはどうなったのか。
嘉戸社長 聞かれると思っていて、ドキドキしていたが、現状では「ペンディング(先送り)」という形にしている。
これからどうしていこうか検討する中で、お客さまにこのコスト(月額料金)でどう提供すれば良いのか悩んでいる。期待させて申し訳ない。
―― 先日官報に掲載された決算公告で、結構な額の赤字を計上していた。「最速チャレンジ」をするには、MNO(ソフトバンク)から借りる帯域をどんどん増やさないとままならず、赤字体質から抜け出せなくなると思うのだが、黒字化の時期のめど、あるいは加入者獲得の目標があれば教えてほしい。
(筆者注:LINEモバイルは2017年12月期決算で、売上高33億8415万円に対し、当期純損失を33億1358万円を計上)
嘉戸社長 結論からいえば、ご心配いただかなくても大丈夫だ。
通信業界はそもそも、最初(事業の立ち上げ時)にお金がかかる。(ユーザーの)獲得時に一番かかる。(初期段階で)赤字になるのは、当然といえば当然のこと。
今回の発表内容でそんなに赤字なのか(赤字額が増える)のかというと、私の中ではもっと赤を掘りたいぐらいの(赤字を増やしてでもユーザーを獲得したい)気持ちだった。
しかし、これからも(事業を)やっていくためにどうしたら良いのか考えた結果、キャリア(ソフトバンク)と提携する形になった。
黒字化のめどや獲得数の目標については、非開示としている。
―― LINEモバイルの立ち上げ当初、NTTコミュニケーションズとの仲が良いイメージだったのだが、一転してソフトバンクと資本・業務提携を締結して驚いた面もある。
NTTコミュニケーションズと何があったのか。(提携によって)同社が怒ったりはしていないのか。
(筆者注:LINEモバイルはNTTコミュニケーションズがMVNE【MVNOを支援する事業者】としてサービスを支えてきた)
嘉戸社長 NTTコミュニケーションズとは今も良い関係を築いている。ドコモ回線のサービスは引き続き同社をMVNEとして提供する。
「怒っているのか」という点については、どうなのでしょうか。お互い良くやっているのが現状であると考えている。
―― 大手キャリアが「+メッセージ」のサービスを一斉に開始した(参考記事)。将来的にはMVNOにもサービスを提供するとしているが、御社として興味はあるか。
嘉戸社長 解放されれば、お客さまのニーズありきで対応していきたいと考えている。
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