決算については「Softbank 2.0」の説明から始まり、「もう一度ソフトバンクを創業するつもりで」というコンセプトを紹介した。ソフトバンクは「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を掲げているが、この10年くらいは「通信会社を通じて情報革命を行っていると思われてきた」と孫氏は振り返る。しかし、情報革命は「決して1社で行うものではなく、幕末の志士たちのように、志をともにする多くの同志とともにやっていくもの。ビジョン、志をともにする群れで、それを行っていきたいと思っている」と「群戦略」についてあらためて説明した。
その上でソフトバンクグループの営業利益を示し、SVFが加わったことによって「まさにSoftbank 2.0にふさわしい利益の加速が始まった」と胸を張った。
「恐らく今までソフトバンクが体験したことのない利益を出せると思っている。来年(2019年)には今年(2018年)の規模をはるかに超えて、もしかしたら日本経済が体験したことのないレベルの営業利益を出せるのではないかと内心思っている。5年後、10年後の数字を言って、実は一度も外したことがない、下回ったことがないことが、私の自信であり自分に対するプライド。来年以降も(業績を)さらに伸ばしていきたい、言い訳なしで伸ばしていきたいと思っている」(孫氏)
国内の通信事業はソフトバンク株式会社として上場を申請しているが、「国内通信事業は売上、営業利益ともに継続して伸びて」おり、特に営業利益の伸びが9%増。スマホ累計契約数の純増も順調に拡大しているとした。
米国の通信事業Sprintに関しては、「買収してしばらくは大変苦しんだが、たゆまぬ努力で、毎年着実に人員を削減し、経費を削減し、しっかりと耐え抜いてきた」と語り、営業利益を積み上げていること、ネットワークが改善していることをアピールした。ただ、現在は「Sprintを買収した第1日目からの悲願だった」というT-Mobileとの合併を申請している最中だ。
「Sprintの持っている周波数、T-Mobileが持っているネットワークを合わせることで、世界で最も進んだ5Gのネットワークを作れる。そうすることで地方の通信のつながりが良くなり、それによって多くの雇用が創出される」(孫氏)。SprintとT-Mobileの合併は米国の利益となるという自身の考えを述べ、「合併の承認が降りることを信じている」と期待をにじませた。
孫氏はサウジアラビア人記者カショギ氏殺害事件について言及した。サウジアラビアはパブリック・インベストメント・ファンドを通じてソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)に多額の資金を提供している。
孫氏は「今回の事件は決してあってはならない悲惨な事件」だと語り、先日のサウジ投資会議を欠席し、代わりにムハンマド皇太子や政府高官と会ったことを明らかにした。「事件の真相究明が行われ、責任ある説明がなされることを願っている」とした一方で、「既にサウジアラビアのみなさんから、投資に関わる資金を預かっている。これは、今後のサウジアラビア経済の多様化の責務を負った資金。われわれはサウジアラビアに背を向けることなく、将来に対する責務を果たすべきだとも考えている」とも語った。
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