XiaomiがMeituを飲み込みGioneeが破産した理由は? 2018年の中国スマホ市場を振り返る山根康宏の中国携帯最新事情(2/3 ページ)

» 2018年12月31日 06時00分 公開
[山根康宏ITmedia]

IPOは効果なし、Xiaomiが狙う顔認識技術

 ところが中国メーカー同士の競争が激化し、3カ月前の製品ですら古さを感じてしまうくらいのスパンで新製品が次々と登場すると、年に数機種のMeituの新製品は目新しさに欠けてしまうようになった。2017年秋には本革をあしらった高級モデル「V6」を発売。V6でブランド力をさらに高め、30代以上という従来よりも上の年齢層の女性客を取り込む予定だったが、iPhone Xフィーバーに沸く中国では高価格帯のモデルを買う客がV6に振り向くことはなかった。

 追い打ちをかけるように、写真加工に次ぐ人気アプリ「Meipai」が新興勢力に押されアクティブユーザー数を一気に失っていった。ストリーミングで自撮り動画を配信し投げ銭を得られるMeipaiは中国で最も勢いのあるビデオサービスだった。ところが2017年になると「TikTok」「Kuaishou」が急成長し、Meipaiのアクティブユーザーは2017年末から2018年6月の半年間で半減。中間決算も上場以来初の赤字となり、株価も最低まで落ち込んだ。その後も株価は下がり続け、2018年12月時点では上場時の4分の1以下となる2香港ドル台まで落ち込んでいる。

Meitu 動画サービスの代名詞だったMeipaiも、今ではTikTokに追い抜かれた

 このMeituのスマートフォン部門に目を付けたのがXiaomiだ。Xiaomiは2015年の失速以降、製品ラインアップの整理とインド市場への進出により見事な復活劇を遂げた。「1999元」という価格を武器にしたフラグシップモデルも今では倍の価格の高性能モデルもあり、安物というイメージを払拭(ふっしょく)しようとしている。低価格ラインの「RedMi(紅米)」シリーズは1000元前後の価格帯のモデルで他社を寄せ付けない強さを誇っている。

 とはいえ、Xiaomiと聞いて人々が思い浮かべるイメージはまだまだ「価格」「テクノロジー」だ。最新のプロセッサを搭載したスマートフォンを低価格で送り出してきたXiaomiの初期からの製品戦略は中国の消費者にしっかりと根付いている。そのためXiaomiのスマートフォン購入層は圧倒的に男性が多い。

Meitu 女性客獲得を目指すもXiaomiへの反応は鈍い

 スマートフォンがコモディティ化する時代を迎え、これからは女性客を取り込める製品、すなわち「ファッション」「トレンド」を感じさせる製品展開を行わなければ、第2のXiaomiが現れたときに今の地位も安泰ではない。事実、過去には最新技術の搭載でMeizu(魅族)にお株を奪われたことがあった。そして2015年の失速をXiaomi自らが体験している。

 XiaomiにとってMeituとの提携は、女性に特化した機能とブランドを有するスマートフォンを手にすることができ、今の製品ラインアップにない製品を拡充できるというわけだ。一方、Meitu側にはライセンス収入を得ながら、引き続き美顔関連の画像開発やスマートフォンのカメラに特化した投資を行える。自社の強みである「美顔」に特化した企業として生まれ変わることはできるわけだ。

Meitu 提携によりMeituは顔認識技術に注力できる

 とはいえ、Xiaomiが考えているのは、単純に「美しい顔写真が撮影できるスマートフォン」を得ることではないだろう。Xiaomiが狙っているのは一人一人の顔をカメラで取り込み瞬時に美しく加工する技術、つまり「顔認識」そのものではないだろうか。中国では今、アリババを中心に顔認識技術の開発が急速に進んでいる。スマートフォンも不要、手ぶらで出掛けて入り口のカメラに顔を見せるだけで利用できる無人スーパーの試みも始まっている。

 いずれあらゆる本人認証が顔で行われる時代が確実やってくる。Google HomeやAmazon Echoのような音声AIスピーカーによる音声認識が普及するより先に、中国ではあらゆるカメラが顔を認識するようになるかもしれない。Xiaomiがその時代に生き残っていれば「2018年のMeituとの提携は必須だった」と後から評価されるかもしれない。

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