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» 2019年03月19日 12時00分 公開

本田雅一のクロスオーバーデジタル:新「iPad Air」「iPad mini」で見えてきた“2つの未来”とは? (1/2)

3月25日のスペシャルイベントへの期待が高まる中、突如発表された「iPad Air」と「iPad mini」の新モデル。5モデル展開になったiPadの新ラインアップから、スペシャルイベントの発表内容、そして6月に控えたWWDC19へとつながる未来を考える。

[本田雅一,ITmedia]

 米Appleは3月11日(現地時間、以下同)に、スペシャルイベントの招待状をメディア関係者に送付している。3月25日午前10時(日本時間では26日午前2時)開催のスペシャルイベントでは、新モデルの登場が期待されていたが、新製品はその前週となる18日に突如発表となった。

 発表されたのは、「iPad Air」と「iPad mini」の新モデルだ。iPad miniの復活は以前からうわさがあったが、iPad Airがラインアップに復帰すると誰が予想していただろうか。実際には旧「10.5インチiPad Pro」のリフレッシュ版をiPad Airとして再定義したようにみえるが、何とこれでiPadは合計5モデルを展開することになる。

iPad AiriPad mini 発表された「iPad」新モデルは、10.5型の「iPad Air」(左)と7.9型の「iPad mini」(右)

 バーティカル用途市場や教育向けを意識しているベーシックな「無印のiPad」を除けば、いずれもプロセッサに「iPhone XS」などと同様の「A12 Bionic」(iPad ProはA12X Bionic)を搭載。この世代の「Neural Engine(ニューラルエンジン)」を、端末側の機械学習処理のベースラインとして定義する意図が透けて見えてくる。

A12 Bionic Apple独自SoC(System on a Chip)の「A12 Bionic」では「Neural Engine」の性能を大幅に高めている

 また、iPad Air以上の製品は、本体カバー兼キーボードの「Smart Keyboard」(iPad ProはSmart Keyboard Folio)が用意されており、キーボードでの操作という選択肢を用意している点にも注目しておきたい。

Smart Keyboard 新しいiPad Airはついに「Smart Keyboard」が使えるようになった

 シリーズのラインアップとして、パフォーマンスの基礎レベルを引き上げた上で、価格と画面サイズのバリエーションを強化。その先にあるには、翌週のスペシャルイベントと、6月に控えた開発者会議「WWDC19」で一部が明らかになるであろう次期iOS(のうちのiPad向け機能)が、大きく進化する布石ではないかと考えられる。

新iPadはスペシャルイベントの布石か

 25日に開催されるスペシャルイベントの内容は今まで同様に「極秘」扱いだ。しかし、うわさされているのはサブスクリプション型……すなわち、毎月固定金額を支払うことで特定ジャンルのコンテンツを自由に楽しめる新サービスだとみられている。

 招待状はGIFアニメーションの形式になっており、「3」「2」「1」「It's show time」とフィルム映画の冒頭カウントダウンを思わせる作りだ。一つは、ニュースや雑誌といった紙メディアの電子版を見放題にするサービスといわれるが、もう一つは「Netflix」のような固定額での映像コンテンツ配信サービスが始まる可能性が極めて高い。

Special Event GIFアニメで作られたスペシャルイベントの招待状

 米国から始まっていたニュースアプリ「Apple News」だが、広告売り上げが苦戦していると伝えられており、サブスクリプション型での再設計を迫られているのかもしれない。従来のApple Newsと新サービスが並行して提供されるのかどうか、コンテンツ提供者がどこまで広がるのか、そしてグローバルでのサービスになるのか、など興味は尽きない。

 一方で映像配信に関しても謎が多い。Appleがハリウッドにオフィスを構えていることは誰もが知っているが、彼らがどのような動きをしているのか、詳細な情報は伝わってきていない。当然ながらライバルが存在し、1兆円を超えるともいわれるNetflixのコンテンツ投資に対して、独自の価値を提供できなければ成功はないことをAppleは承知しているはずだ。

 いずれにしろ、これらは25日に詳細が発表されるが、画面サイズ、価格、性能ごとに並べられたiPadのモデル数増加は、単に細やかにラインアップを増加させることで売り上げを最大化するだけでなく、これら「サブスクリプション型サービスのコンテンツビュワーとしての役割」があるとみられる。

 新発表の2モデルであるiPad AirとiPad miniは、いずれも広色域の「P3」(Display P3)に対応。色温度を最適化する「True Tone」を搭載し、500nitsの最大輝度を持つフルラミネーションの高コントラスト液晶を搭載している。サイズを別にするならば、表示品質はiPad Proと同等といえるだろう。

 Appleの映像配信サービスがHDR(High Dynamic Range)対応の映像ソフトなどを完備し、画質を訴求するのであれば、こうしたディスプレイの品質を“そろえておき”、体験の質を保証することに意味があるのかもしれない。

iPad 新モデルは、iPad Pro並にディスプレイの品質を上げて見え方をそろえてきた。映像コンテンツ新サービスへの布石か

 ただ、価格面を考えるならば、これら2製品の最大のライバルは無印の「9.7インチiPad」(第6世代)になるはずだ。ディスプレイの品質やパフォーマンスに違いがあるとはいえ、メディアタブレットやネットサービスへのカジュアルな窓として、十分な性能と使いやすさを提供しているからだ。

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