中国の家電量販店の携帯電話売り場のほとんどがスマートフォンの展示で埋め尽くされていますが、格安なフィーチャーフォンもまだ販売されています。それらは中国語で「老人手機」、すなわち年配者向けとして売られているのです。それらはちょっと前までなら通信方式は2Gのみ、質感もあまりよくないものが多く、値段相応という製品ばかりでした。
しかし2018年にXiaomiから販売されている「Qin」シリーズはスタイリッシュなデザインで、一般消費者がスマートフォンのサブ用途に持ってもよさそうな製品です。
Qinには2つのモデルがあり、4Gに対応しているのが「Qin 1s」です。定価は399元ですが、筆者が家電店で見かけたときは369元、約6200円でした。触ってみたところ、本体の仕上げはよく、シンプルなデザインは好感が持てます。色は赤、黒、白の3色展開とのこと。
4G対応ということで海外でSIMを入れてみましたが、しっかりアンテナマークに4Gと表示されます。中国向けのため、LTEの対応バンドは1、2、3、5、8、38、40、41のみですが、もう少し幅を広げて日本で販売してくれたら面白い存在になりそう。Xiaomiが出資するメーカーのゲーミングスマートフォン「Black Shark」を日本で販売するTAKUMI JAPANあたりが興味を示してくれないでしょうか?
OSはAndroidベースながらフィーチャーフォン向けにカスタマイズされた「Mocor5」OS。ストアもありませんし、後からAndroidアプリを入れるということはできませんが、ブラウザなどを搭載して簡易的な検索などに使えます。Wi-Fiも搭載しており、Xiaomiのスマート家電のコントロールアプリも搭載。つまり家電コントローラーにもなるのです。「通話もできるリモコン」にもなるわけです
実はこのQin 1sを買った理由は他にありました。内蔵の翻訳アプリが電子翻訳機として使えるのです。もちろん日本語にも対応します。初期起動画面には翻訳アプリがなかったのですが、ファームをアップデートしたら出てきました。早速音声で日本語を入力、それを中国語に変換してみようと思いました。ところが画面に出てきたのは「20文字/0.01元」「1秒0.01元」の表記。翻訳機能は有料だったのです。
支払いはAlipayかWeChatPayが使えるので、中国に住んでいる人やアカウントを持っている人なら簡単に支払えますが、Qinを紹介するWebページでは「AI翻訳ができる!」と大々的にうたっていたので、ちょっとだまされた気分。内蔵ストレージが少ないため、最低限の言語辞書を入れておくことも難しいでしょう。とはいえ「本体性能が低いフィーチャーフォンでクラウドベースの機能を利用する」という考えは面白いものです。
最近は「スマートフォン疲れの人にガラケーがいい」なんて声も聞かれますが、SNSがコミュニケーションの中心になった今、スマートフォン抜きの生活はありえないでしょう。しかしそのスマートフォンの補佐として、軽い作業のできるフィーチャーフォンをもう1台持つのはありだと筆者は考えます。Qin 1sは質感もいいですし、中国以外への展開もぜひ考えてほしいと思います。
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