楽天のキャリア事業、10月当初は“限定的なサービス”になる見込み9月上旬に詳細を発表へ

» 2019年08月08日 22時02分 公開
[田中聡ITmedia]

 2019年10月のMNO(通信キャリア)商用サービス開始を控えた楽天モバイル。8月8日に開催された2019年度第2四半期の決算説明会では、三木谷浩史社長自らがMNO事業に関する進捗(しんちょく)を説明し、質疑応答でも、MNO事業に関する話題が集中した。

楽天モバイル MNOサービスの進捗を説明する、三木谷浩史社長

 楽天モバイルでは、クラウド上でネットワーク稼働させる「完全仮想化」をインフラの特徴に打ち出している。さらに基地局側にサーバを置くMEC(モバイルエッジコンピューティング)も活用し、日本に4000ほどのエッジサーバを置くという。これにより、「モバイル(端末)ではできなかった大規模なゲームをする、大量のデータストレージをエッジ側で処理する」といったことが可能になると三木谷氏は述べる。

 「楽天モバイルなら、安くて速いだけでなく、今までになかったようなモバイルネットワークを実現できる」と同氏は自信を見せる。

楽天モバイル 完全仮想化ネットワークを18カ月で構築したとアピールする
楽天モバイル 単に安いだけでなく、5Gに関連する高速、低遅延といった特徴も打ち出す
楽天モバイル 全国4000箇所にエッジサーバを配置する

 完全仮想化ネットワークは海外からも注目を集めているそうで、「海外でもこの技術は使えないのか、同じようなものを作ってもらえないのかという問い合わせを日々多く受けている。将来的には、AmazonのAWSのように、モバイルネットワークを“サービス”として他国でも展開していきたい」と三木谷氏は展望を語った。

 楽天によると、MNOサービスの開始日は「2019年10月1日」を予定しているという。一方、10月の開始当初は「スモールローンチ」になり、限定的なサービス提供になることを三木谷氏は明かす。同氏は「ホップ・ステップ・ジャンプでやっていこうと思う」と話し、3段階で本格展開する。第1段階の「ホップ」でネットワークの安全性を確認してから、次のステップに移る。「全く問題ないとは思っているが、完全仮想化は新しいサービスなので、1〜2カ月ほどは様子を見たい」と話す。

 「ホップ」では、何らかの方法でユーザーを限定する形でサービスを使ってもらい、「ステップ」ではオンラインでの申し込みを開放し、「ジャンプ」で実店舗での申し込みを開放する考えのようだ。

 気になる料金プランについては「まだ申し上げられない」(三木谷氏)という状況。「楽天の出方を見て決めるという所(キャリア)もあるので、手の内を見せるのは良くないと思う」と慎重な姿勢を示した。楽天モバイルの山田善久社長は、サービスの詳細については「9月上旬に具体的な発表をする予定」だと言う。なお9月と言えば、例年、新しいiPhoneが発表されるタイミングだが、iPhoneについて山田氏は「ノーコメントとしたい」と発言を控えた。

楽天モバイル 楽天モバイルの山田善久社長と、タレック・アミンCTO

 基地局の建設は「10月のローンチまでには完全に間に合う」(三木谷氏)とのことで、スモールローンチといっても不完全な状態でサービスを始めるわけではなく、「念には念を入れて」(同氏)安全性の検証期間とする。

 楽天モバイルのタレック・アミンCTOも、順調にネットワークの構築が進んでいることを強調する。「コアネットワークは100%完成しており、社内向けには実用運転を始めている。エッジサーバと仮想化インフラは、スケジュールよりも早く進んでいる。今注力しているのは、安定性の面でのテスト、セキュリティの強化。より強靱(きょうじん)なネットワークにして、10月には世界初のエンドツーエンドの完全仮想化ネットワークが、晴れてローンチされる」

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